こんにちは。料理研究家のヤミーです。
外国人が開催する料理教室サイトtadakuのタオさんに案内していただいたスペイン取材旅行。
そこで出会ったリアルスペインの食レポをお届けする「え!ホントはそうだったの!?実は○○だったスペイン料理」。
第2回目は「スペイン料理と言えば」というお話です。
第1回目も、ぜひチェックしてみてくださいね。
第1回 パエリア
え!ホントはそうだったの!?
実は○○だったスペイン料理 その②スペイン料理と言えば、、、
こんにちは。料理研究家のヤミーです。
「え!ホントはそうだったの!?実は○○だったスペイン料理」第2回目は「スペイン料理と言えば」というお話です。
スペイン料理と言えば、、、
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スペイン料理と聞いて思うかべるのは何でしょうか?
前回のパエリアは1番に思い浮かびますよね。
他に、トルティージャ、ガスパチョ、アヒージョ、ピンチョス、ハモンセラーノなどの生ハムやピリ辛のソーセージチョリソ。
マッシュルームのセゴビア風やタコのガリシア風なども聞いたことがあるかもしれません。
日本のスペイン料理レストランでは定番ですよね。
これらはもちろんスペインのあちこちで良く見かける料理です。
全体的な料理の印象としては、
・オリーブオイルがたっぷりで油っこい
・肉や魚介が中心で味が濃い
・スパイシー
という感じでしょうか。
確かにその通り。
間違いはないのですが、普段の家庭料理はちょっと違いました。
オリーブオイルがたっぷりで油っこい?
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えびをたっぷりのオリーブオイルで煮た料理を見たことはないでしょうか?
それが「アヒージョ」です。
居酒屋のメニューにも見かけるようになったので、ご存知の方が多いと思います。
他にも色々なアヒージョがありますし、スペイン料理はオリーブオイルをたっぷり使う印象があると思います。
その通り、確かに日本ではちょっと抵抗があるくらいたっぷりと使用します。
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でも、“油っこい”と感じることはほとんどありませんでした。
それは料理にレモンをたっぷりと使うから。
食べるときに「レモンをかけて!」と何度言われたことか!
今回は道端に無農薬のレモンが実っている南の地域に滞在していたということもあって、まるで日本でおひたしや焼き魚にしょう油をかけるように、なんにでもレモンをかける印象でした。
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油っこいものにレモンはなるほど~と思うと思いますが、しょっぱすぎるものにも「レモンをかければ大丈夫!」と言われました。
さらに味が濃くなる気がするけど???と最初は半信半疑。
でも確かに食べやすくなるんです。
塩気がマイルドになるかというと、そこはちょっとわからなかったけれど。
肉や魚介が中心で味が濃い?
生ハム、チョリソなどの肉加工食品が多いことや魚介のパエリアやアヒージョの印象から、なんとなく肉類や魚介類中心の、味が濃くてしょっぱいイメージがあると思います。
確かに日本で食べられているスペイン料理はそういうものが多いと感じます。
ホームステイしてみると、実は家庭で食べられる料理は季節の野菜をたっぷり使ったシンプルな料理が中心。
そして、日本で良く知られているスペイン料理はバルやセルベセリア(ビアホール)といった、お酒を飲むところで主に食べられてる料理が多かったと気付きました。
何か所かお邪魔したお宅とホームステイ先で出てきた料理を並べるとよくわかります。
こちらは3か所で出てきたサラダ。
バルセロナの料理教室の焼き野菜のマリネサラダ、エスカリバダ |
タオさんのご実家で。 |
タオさんのお祖母さん宅で。そのまま食べたりパンにのせて食べます。 |
ローストや煮込み料理も野菜です。
バルセロナの料理の先生宅で作ったアーティチョークのロースト。この料理は後日の持ち寄りパーティーでも出てきました。 |
ローストポテト。これも持ち寄りパーティーで味違いを食べました。 |
アーティチョークの煮込み |
もちろん、生で食べる料理もとても多かったです。
ざく切りトマトにいわしの酢漬けをのせたもの。 |
ミニサイズのレタスを半分に切ってアンチョビを乗せたもの。手前のフレッシュチーズを乗せて食べます。この組み合わせ感動的でした! |
グリンピースとミニ空豆。どちらもさやをむいて中の豆を生で食べます。甘くておいしい |
見てわかるとおり、素材を生かしたシンプルな料理が多いんです。
ローストや煮込みの味付けは塩とオリーブオイル、そしてレモン。
ものによってにんにくやハーブ、スパイスを使いますが、基本はその3つが基本調味料です。
そしてアンチョビなど塩気のあるものが乗っている料理は調味してません。
味が足りなければ自分の皿に取ってから調味します。
実は途中で「肉食べたい!!」と思うくらい野菜中心の生活でした。
スパイスを使った料理が多い?
スペイン料理というとにんにくと唐辛子、サフランなど、スパイスを多用する料理の印象があるかもしれません。
真っ赤なスパイスがかかっている料理も良く見かけますよね。
でも、それは見た目と違って全く辛くないんです。
タコのガリシア風。赤いスパイスは唐辛子ではなくパプリカ。全く辛くありません。 |
パプリカパウダー。右上の棚にある赤いものがそうです。ピカンテ(辛い)ドルチェ(甘い)スモークと種類があります。 |
市場のスパイス屋さん。 |
それはあの赤いパウダーは唐辛子ではなくパプリカだから。
パプリカパウダーは甘酸っぱいようなほろ苦いような風味がありますが、かなりマイルドな風味。
カレーや韓国料理に親しんでいる日本人的には、スパイシーさを感じないと思います。
もちろんスパイスを全く使わないわけではないですが、スパイシーさをきかせるというほどの料理はみかけませんでした。
お菓子類はアラブの影響を受けた、シナモンやアニス、オレンジの風味をきかせたものが多い印象です。
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それよりも、ローズマリー、タイム、イタリアンパセリを使う料理が多く、市場の肉屋さんや魚屋さんにはイタリアンパセリがたっぷりぶら下がっていて、肉や魚を買うとタダでくれるそうです。
そこらじゅうにいっぱい生えているから、とのことでしたが、一緒に使うことが多いからでしょうね。
スパイスは使うけれどもスパイシーではない、という感じです。
こんな美味しいお祭りも
今回は冬の時期だけに行われるカタルーニャ地方の珍しい食べ物を体験するお祭りに参加してきました。
カタルーニャ地方はバルセロナがあるあたり。
この地域はもともと言語が違うというスペインのなかでも文化の違う地域です。
料理も他とは異なるものがありますが、特に「カルソッツ」を食べるお祭りはこの地域独特のもので、アテンドしてくれたムルシア生まれのタオさんにとってもはじめての経験でした。
網で挟んだカルソッツ。これをたき火で焼きます。 |
焼き上がったカルソッツ。 |
食べるところ。周りの焦げたところは外して真ん中の部分だけをロメスコスソースにつけて食べます |
カルソッツというのは葉玉ねぎを立派にしたような野菜。
これをたき火で真っ黒焦げになるまでひたすら焼いて、焼き終わったらこんどはひたすら食べるというお祭り。
バリス市というところでは街を上げてのお祭りをするようですが、一般的に親せきや友人たちが集まるBBQパーティーみたいなものです。
今は住んでいない昔ながらの農家。 |
お祭り会場になったその裏庭。 |
生演奏が始まったところ。 |
カルソッツを1人20本は食べて、持ち寄った料理でお酒を飲み、歌ったり踊ったり。
私たちも踊りの輪に加わって、この地方の踊りを教えてもらいましたが、全く踊れませんでした(笑)
実はスペイン料理と言えばこうだったまとめ
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・レモンをかけてさっぱりと食べる
・野菜を使った料理が豊富
・スパイスは使うけれどもスパイシーではない
スペイン風ベイクドポテトのレシピ
シンプルだけどとっても美味しい♪スペイン風ベイクドポテト。
焼き野菜マリネ「エスカリバダ」のレシピ
冷たくひやして美味♪スペインの焼き野菜サラダ「エスカリバダ」
ヤミー’s profile.
世界中のお料理を3ステップの簡単レシピにしてお届けする、料理研究家。
美術大学を卒業後、テキスタイルデザインの仕事を経て、輸入食材店に勤務。2006年1月に料理ブログをスタートし、レシピの簡単さと面白さからたちまちネットやテレビで話題に。2007年6月にはブログをまとめたレシピ本『大変!!この料理簡単すぎかも…ヤミーさんの3STEP COOKING』(主婦の友社)として出版され、ベストセラーとなる。他『「食べたい」ときに、食べたいぶんだけ! ヤミーさんの3STEPで作れる1人分お菓子』(主婦と生活社)『輸入食材で作る簡単!おいしい!ごちそうレシピ』など著書多数。
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