こんにちは!
「ヨーロッパの食と文化」をテーマにコラムを担当させていただいております、庭乃桃です。
2月も終わりを迎え、いよいよ春も目前という今日この頃。
今回はそんな冬の終わりに、もうひとつだけ面白いヨーロッパの食材のお話をさせていただこうかと思います。
前回のコラムで、「お芋」なのになぜか少しゴボウの味がするキクイモ(菊芋)というお野菜について書いたのですが(→クリックで記事に飛べます)、逆に今回は、「ゴボウ」なのにその味がしない西洋ゴボウのお話です。
・・・実は、こちらも見た目の地味さとはうらはらに、ヨーロッパではとてもメジャーなお野菜。
ヨーロッパの冬の風物詩の一つでもありますので、よろしければちょこっとお付き合い下さいね。
こちらが、その噂の西洋ゴボウ。
正式な学名はscorzonera hispanica、英語ではblack salsifyなどと呼ばれます。
学名に「ヒスパニカ(=スペインの)」とありますように、南ヨーロッパや近東あたりが原産のお野菜ですが、今はベルギー、オランダ、フランス、ドイツあたりで、代表的な冬野菜として盛んに食べられています。
日本語では、西洋黒ゴボウとか、キクゴボウとか呼ばれていて、その名の通り、こちらも前回お話したキクイモ(菊芋)、そして日本でおなじみのゴボウと同じ、キク科の植物なんです。
でもご覧の通り、見た目は日本のゴボウにそっくりなのですが、味や調理法はまったく違います。
まず周りについた土を洗い流し、皮をむくわけなのですが、アクがとても強いので、そのままやると手がガビガビになって指同士がくっついてきてしまいます。
そこで、流水にさらしつつ手早く皮をむき、適当な大きさにカットしたら、すぐに変色防止に酢かレモン汁を入れた水の中につけていきます。
あとはとりあえず、さっと下茹ででもしておいて、好きな料理に使うだけ――。
一番簡単なのは、バターででも炒めて、お料理の付け合わせにすること。
ここで驚くのが、その見た目と、味と、食感。
日本のゴボウと違って、皮をむいた後の西洋ゴボウは、まるでホワイトアスパラガスのような輝き!
そして食べてみると、いわゆる「ゴボウ」の香りも風味も、まったくしません。
むしろ、さっと火を入れればカリカリと、しっかり火を入れれば甘くクリーミーな味わいがします。
ほのかな甘みがあり、バターやミルクといった乳製品との相性が抜群なので、ヨーロッパではポタージュやスープにしたりするのが定番。
さらに、芽キャベツやコールラビといった王道冬野菜と一緒にクリーム煮にしても素晴らしくおいしい。
逆に火を入れ過ぎないようにしてあげるとコリコリとした食感も楽しめますから、メイン料理の素敵な付け合わせにもなってくれるという優れものです。
そして、見た目と違って、案外淡白でクセがないので和食にもよく合います。
↑ 西洋ゴボウの梅煮。
そんな使いやすい西洋ゴボウは、きっと私たちの食卓にもなじみやすいでしょうから、今後はぜひとも日本でも食べられるようになったら嬉しいですね!
さて、そんな西洋ゴボウは、別名を「冬のアスパラガス」と言い、親しまれています。
たしかにこうして皮をむいてみると、貴婦人の指のような細くて美しいその見た目は、ヨーロッパの人が愛してやまないあのホワイトアスパラガスを思わせますよね。
(※ホワイトアスパラガスについては、どうぞ過去のコラム記事をご覧下さい。→クリックで飛べます。(1) / (2) / (3))
今は、雪が解け、徐々に春の気配が近づいているのに暖かくなるにはあと一息というもどかしい時期。
そんな想いは、ヨーロッパでも一緒です。
ヨーロッパの人が春を感じるのは、ホワイトアスパラガスの解禁と、イースター(復活祭)を迎える頃。
今年のイースターは、ちょうど一か月後の3月27日――。
今はこのシーズン最後の西洋ゴボウを食べながら、ホワイトアスパラガスのおいしさに想いを馳せ、やがて来る春の陽射しを待ちわびている頃ではないでしょうか。
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