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    • 公開日2023/07/18
    • 更新日2023/07/18

    「米粉料理家」として、唯一無二の存在になりたい|#45 中村りえ

    Nadia Artistにスポットを当て、ここでしか聞けない裏話や料理研究家さんの想いをお送りする「Artist History」。今回ご紹介するのは、米粉を使ったレシピが人気の料理研究家、中村りえさん。育児中の方やアレルギーの方にも寄り添ったレシピを提案してくれる中村さんに、料理の道にすすんだきっかけや料理のモットー、Nadiaに対する想いについてお話を伺いました。

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    「米粉料理家」として、唯一無二の存在になりたい|#45 中村りえ

     

    「管理栄養士になる」と決めたのは小学生のとき

    中村りえさん

    子どものころ健康番組がすごく流行っていて、毎週楽しみに見ていたんです。「納豆は体にいい」とか「玉ねぎで血液がサラサラに」とか、「食べ物で体が変わる」ということが、何だかすごくおもしろく感じたんですよね。カロリーメイトなどの栄養補助食品とか、トクホのお茶などの成分表示を見るのも大好きでした。

    小学生のころはニキビができやすかったのもあって、どんな栄養を摂れば改善するか、健康的にすごせるかということばかり考えていて。とにかく「食と体」の関係を調べるのが好きな子どもだったんです。

    中村りえさん

    ある日、本屋で食や健康に関わる仕事を調べてみたら、「管理栄養士」という職業を見つけて。そのまま管理栄養士の資格がとれる大学を調べて、小学生の時点で「この大学に入って勉強する!」と決めたんです。小学校の卒業文集に書いた将来の夢も「管理栄養士」でした。

    大学は、そのときに調べた東京農業大学に進学。お弁当を作ったり、パン作りサークルに入ったり、ケーキ屋さんでアルバイトしたりするなかで、しだいに料理が好きになっていきました。

     

    子どもの病気をきっかけにフリーランスへ

    中村りえさん

    大学卒業と同時に管理栄養士の資格をとって、食品メーカー、健康保険組合などで働いていましたが、「料理を作る仕事をしたい」と心機一転してフリーランスに。1年ほどたったときに「もっと経験を積みたい」と思って、レシピ開発などをしている会社へ就職しました。今は再びフリーランスになって、企業のレシピ開発、コラム執筆、料理教室、米粉の普及活動などの仕事をしています。

    フリーランスとして働くことを選んだのは、家庭と仕事を両立するためです。2年前、長女が体調を崩し、つらい時期があったんです。起立性調節障害で、体調が悪い日が何日も続いて、学校を休んだり、登校しても保健室から呼び出しされたり。朝ご飯も全然食べられなくてやせてしまって、本当に心配な時期でした。

    原因が分かって治療を受け始めたときも、大きな病院だと半日かかってしまうので時間のやりくりが大変で。正社員の働き方は私には難しく感じて、再びフリーランスという働き方を選んだんです。

     

    つらい時期も「通過点」と考え、ポジティブに

    中村りえさん

    つらい時期って、考えれば考えるほどドツボにハマりますよね。子どもはある意味自分の一部のようだから、子どもが苦しそうだと、自分も苦しくなる。でも私は、「これはひとつの通過点なんだ」と考えるようにしていました。2~3年続くかもしれないけれど、いつか必ず元気になる、と。

    自分の気持ちまで倒れちゃうと、子どもも一緒に落ち込んでしまいますよね。だからいい方に、いい方に、考えることを心がけていました。楽しいことを考えたり、美味しいものを食べたり。きっとみなさんそれぞれ大変なことを抱えていると思いますが、大変な事実は変わらないけれど、考え方を変えたり、先を見たりすることで、きっと少しでも気持ちが浮上すると思うんです。

    今は、自分がどんな仕事をしているか知ってもらおうと思って、子どもに仕事のことをいろいろ話しています。Nadiaでの撮影も、子どもの手元を写したいということで、長女と一緒に参加したことがありますよ。長女にとっても私の仕事への理解を深めてもらうきっかけになったし、働き方を変えたことがプラスになったと思っています。

     

    パン作りが趣味なのに家族が小麦アレルギーに

    中村りえさん

    米粉のレシピの発信を始めたのは、家族の小麦アレルギーがきっかけです。それまでパン作りが趣味で、2kgの強力粉の袋が家にいくつもあるような状態だったのに、「小麦を控えて」と言われたときは本当に衝撃で…。

    そこから米粉を使い始めたのですが、蒸しパンを作ったときに「小麦粉よりも美味しい!」とびっくりして。こんなに美味しい米粉をもっと世間に知ってほしいと思って、レシピの発信を始めました。また管理栄養士として、日本の食料自給率が低い状況に何かできることがないかと感じていたので、日本の農業の応援にもつながると思い、米粉のレシピサイト「米粉おやつLabo」を立ち上げました。

    きっかけはアレルギーでしたが、今では「簡単で美味しいから」というポジティブな理由で米粉を使っています。米粉のお菓子は、粉をふるわなくてもふわふわの美味しいシフォンケーキなどが作れたりと、とっても簡単。アレルギー関係なしに、一度試していただきたいです!

    中村りえさん

    出版したレシピ本『米粉のおやつとおかず』(宝島社)も大好評!

     

    「好き」を仕事にしたら世界が変わった!

    中村りえさん

    料理の仕事の魅力は、実際に「美味しかった」「素敵なレシピ」と、いろいろな方やクライアントさんに言っていただけること。もともと人前に出るのは苦手でしたが、料理や米粉のことになると「伝えたい」という気持ちが勝って、多くの方の前で話すことも楽しいと思えるようになりました。「好き」を仕事にしてから、自分の世界が変わったと感じます。

    仕事が行き詰まったときは、誰かと会う時間を作ったり、1日寝かせてみたり。資料を作るときも1日で無理に作らず、「料理の季節感は?」「何を求められているか?」などのテーマに沿って少しずつキーワードを書き出して、あとでパズルみたいに組み立てるようにしています。また、気分転換のためにランニングすると、心も体もすっきりして仕事の効率も良くなる気がします。

    中村りえさん

    レシピを作るときのモットーは、分かりやすいレシピであること。お菓子作りが初めての方も思わず作りたくなるように、工程を詳しく書くようにしています。企業のレシピ開発のときは、商品の魅力を伝えることを一番に考えて、「忙しく働く世代なら電子レンジがいいかな」「子どもと楽しむなら彩りが大事かな」と、そのシーンを考えて作るようにしていますね。

    気をつけているのは、食べ物については何かをほめて何かをけなす、というのはやめようということです。何でも過剰に摂ればカロリーが高すぎるなどデメリットがあるかもしれませんが、その食べ物自体が体に悪いということはほとんどないんですよね。「これは太る」みたいに断言したほうがキャッチーにはなりますが、あくまで管理栄養士の立場を大事にして発言したいなと思っています。

     

    何度も挑戦してやっと合格したNadia Artist

    中村りえさん

    Nadia Artistのことは、料理を仕事にしたいと思っていたときにサイトで知って応募しました。でも当時はどんな撮り方が良いのかも分からなくて、写真の審査で何度も落ちたんです。それでも審査に落ちたら終わりではなく、担当の方が毎回フィードバックをくださって、「前回より良くなっています」と励ましてくださって。落ちるたびNadia Artistの方の写真を見ては研究して、5回目くらいで受かったときは本当にうれしかったし、写真への苦手意識も払拭されました。

    料理家としての第一歩を作ってくれたのがNadiaで、Nadia Artistになっていなければ、料理研究家の中村りえは存在しませんでした。Nadiaを通じて料理研究家としての仕事も増え、2022年にはレシピ本『米粉のおやつとおかず』(宝島社)も出版しました。今、子どもたちに「料理の仕事をしている」と胸を張って言えるようになったのはNadiaのおかげですね。

     

    米粉や国産野菜のレシピで農業を手助けしたい

    中村りえさん

    Nadia Artistとしては、「米粉といえば中村さん」、「体に優しいレシピといえば中村さん」と言われるようになりたいです。Nadia ArtistになったときにNadiaの葛城社長がおっしゃっていた「唯一無二の存在に」という言葉は、私のなかで常に意識している軸。そしていつか、2冊目のレシピ本も出版したいです!

    これから強化したいのは、野菜を使ったレシピ。子どもたちの野菜嫌いもお菓子なら克服できるかなと思うので、野菜を使ったおやつも強化していきたいです。それに厚生労働省の調査を見ると、日本人の野菜の摂取量ってやっぱり少ないんですよ。

    野菜を多く摂ったら、もっと体やお肌も調子がよくなるかもしれないし、国産野菜を食べれば日本の農業を助けることにもなる。いいことずくめなので、料理を作る時間がある方はどんどん国産野菜を使ってほしいですね。

     

    Nadia Artistに興味がある人は「今」やってみてほしい

    中村りえさん

    私が料理の仕事をしようと思ったのも、Nadiaを受けたのも、子ども2人を出産したあとでした。子どもはまだ小さいし看病などもあり、仕事をするうえでは不利な条件だったかもしれません。でも、例えば時短料理や、苦手な野菜を美味しく食べられるレシピなど、子育て中だからこそ浮かぶアイデアもあると思うし、そのときの自分の条件が仕事の強みになることもあると思うんです。

    会社員のころの私は、料理家ってどうやったらなれるんだろう、どうやったらあっちの世界に行けるんだろうってずっと思っていました。でもNadiaに応募したことでお仕事をいただくようになって、今では「料理家です」と言える状態にまで育ててもらえました。だから、いつ始めてもいいんです。働き方は自分で選べるし、仕事もがんばっていれば見てくれる方が必ずいます。

    好きなことを仕事にしたい、昔からの夢を叶えたいと思いながらも、「子どもが小さいから」「年齢が高いから」と思って動けない方もいるかもしれません。でも、子育て中だからこそ、今の条件だからこそ、きっとできることがあるはず。料理でもほかのことでも、「今じゃない…」なんて言わずに、ぜひ挑戦してほしいと思っています。

    写真:高橋 しのの  文:室井瞳子

     

    中村りえ's profile
     
    管理栄養士・料理研究家。レシピ開発、コラム執筆、栄養価計算、セミナー講師、メディア出演など幅広く活躍中。家族の小麦アレルギーをきっかけに米粉に出会い、また日本人の「米離れ」の深刻さについて学んだことから、「米粉料理家」として米粉レシピの普及活動も続けている。キッズ食育Jr.トレーナーの資格も保有。



    中村りえさんのプロフィールはこちら
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