こんにちは。料理研究家のヤミーです。
3月のはじめ、1週間ほどスペイン人のタオさんの案内でスペイン旅行に行ってきました。
その目的は、ほんとはスペイン料理ってこうなんだ!を知るため。
普段の旅行では中々知ることが出来ない食のアレコレと料理を学んできました。
ということで、日本人がいままでこうだと思ってたのに実は違った!というスペインの食について3回に分けてご紹介します。
え!ホントはそうだったの!?
実は○○だったスペイン料理 その①パエリア
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こんにちは。料理研究家のヤミーです。
私の料理のテーマは「世界中の料理を日本の家庭でも作れる簡単レシピ」にすること。
でも、そもそもどの国でも日々作る家庭料理は簡単なはず。なんといっても毎日のことですから!
だけれども家庭料理だけに、なかなか日本では知ったり食べたりする機会がありません。
なので昨年はタイで、今年はスペインで地元の方々に直接家庭で作る料理を教えていただきました。
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スペインに行くきっかけになったのは、tadakuという外国人が開催する料理教室のサイトを運営しているスペイン人のタオさんに出会ったから。
まさに様々な国の家庭料理を日本でも触れることが出来る料理教室です。
そのタオさんのスペインのご実家に泊めていただいて料理上手なお父さん、おばあちゃん、おばさん達に沢山料理を教えていただきました。
普段の旅行では中々知ることが出来ない食のアレコレをたっぷり体験してきました。
ということで、スペインの食について「え!ホントはそうだったの!?」と驚いたことを3回に分けてご紹介いたします!
第1回目の今回はやはりスペインと言えば「パエリア」。
スペイン料理と言われて真っ先に思い浮かぶ料理といえば「パエリア」だと思います。
すっごく美味しいですよね~。
魚介をふんだんに使ってうま味たっぷり。サフランの黄金色が美しくて華やかで。
アルデンテのちょっと歯ごたえがあるお米も美味しくて鍋底のおこげもこそげて食べちゃいますよね!
と、思うと思いますが、これ、全部スペイン人からするとちょっと違うのよね~、ポイントばかり。
どこが違うポイントかというと
1、パエリアの具は魚介類である
2、サフランで色付けする
3、お米の扱い方
の、この3つ。そう、つまりほぼ全部ということです。
では、ホントのパエリアってどんなものなのでしょう?
1、パエリアの具は魚介類である
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パエリアの発祥はスペインの南の地中海に沿った地域「バレンシア」です。
そう、オレンジで有名なバレンシアがパエリアの発祥の地なんです。
地中海沿岸ということはやはり具は魚介じゃ、、、と思うかもしれませんが、元々のパエリアの具は実はウサギ。
スペイン(エスパーニャ)という国名はフェニキア語のshaphan(ウサギ)から来ているという説があるくらい、ウサギが多く生息していたそうです。
市場でもあちこちでウサギ肉が売られていました。
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もちろん魚介のパエリアもありますし、スペイン全土に広まった今では様々な具のバリエーションがありますが、元々はうさぎ、お肉で作るものだったんです。
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私はバレンシアから南下したムルシア市に滞在したのですが、そこでも伝統的にパエリアと言えばウサギ。
ここでウサギとカタツムリのパエリアを習ってきました。
カタツムリも昔ながらの伝統的なパエリアの具なんですよ。
ということで、実は具はウサギだった!
2、サフランで色付けする
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パエリアと言えば黄金色に輝くつやつやのお米。
それがピラフとは異なるパエリアらしさな感じがしますよね。
でも、必ずしもサフランを入れるわけではないそうです。家庭で作る時は特に。
なぜかというと、香りが苦手な人がいるということもあるようですが「高い」から。
日本だと本当にビックリするような値段で売っていますが、スペインでも他のものに比べて高い!
パエリアは大なべで大量に作る料理なので、きれいに色付けしようと思うと1回に結構な量を使うことになります。
トマトやパプリカの色で全体的に色味がつくし、風味を好まない人もいるなら、わざわざ高いサフランを入れなくてもいっか、ってことなんでしょうね。
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ムルシアで習ったウサギとカタツムリのパエリアに使ったのはローズマリーとタイム。
タオさんに東京で魚介のパエリアを習った時は、プロヴァンスハーブを使っていました。
そもそもパエリアというのはあの両手のついた平たい鍋の名前。
なので本当はあれで作ることがパエリアの必須条件なんです。
乱暴な言い方をすれば、中に入れる具がどうであれスパイスがどうであれパエリアで作ればパエリアなわけです。
ちなみに、イカ墨を入れるパエリアは、もちろん真っ黒です。
ということで、実はサフランは必須じゃなかった!
3、お米の扱い方
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パエリアといえば「お米は少し芯が残るくらいのアルデンテに仕上げる」と思ってませんか?
私もそう思っていました。
でも、スペインでは芯が残ってるのは「煮方が足りない」ということになるそうです。
わざわざ気を使ってアルデンテに仕上げることはしないそうなんです。
汁気を飛ばすか残すかも人それぞれ好みによるもの。
日本だと、鍋底全体におこげをしっかりつけてるパエリアを良く見かけますよね。
おこげは美味しくてスペインの人たちも好きだそうですが、わざわざおこげをつけるのが正しいわけではないんです。
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事実、タオさんの作るパエリアもムルシアのパエリアもリゾットのように汁気が多い仕上がり。
その美味しさといったら!!!!初めて食べたときは衝撃を受けました。
ちなみに、レストランでは「汁なし」「普通」「汁だく」を指定できるんですって!
そして、これは誰もが驚くこと。
日本のパエリアのレシピは「米は洗わずに加える」というのが多いですよね。
確かにスペインでも洗わずに加えてました。では、本当に洗わなくていいのか?
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答えは「洗った方がいい」です。
なぜならば、ヨーロッパのお米は無洗米が基本。
洗わなくて良いからそのまま加えているわけで、無洗米でないお米は洗って汚れを落とす必要があるとのこと。
もちろん研ぐほどの必要はないので流水でさっと洗い流せばOKです。
タオさん曰く、洗っていないお米だと粘りが出てしまってどろっとした仕上がりになるそうです。
ということで、実はお米は洗うんだった!
実はこうだったパエリアまとめ
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・パエリアの具は魚介に限らない
・サフランはなくてもOK
・お米は芯がなくなるまで煮る
・汁あり汁なしはお好みで
・お米は無洗米でなければ洗う
ウサギとアサリのパエリアをアレンジしたレシピはこちら
鶏肉とアサリのパエリア
ヤミー’s profile.
世界中のお料理を3ステップの簡単レシピにしてお届けする、料理研究家。
美術大学を卒業後、テキスタイルデザインの仕事を経て、輸入食材店に勤務。2006年1月に料理ブログをスタートし、レシピの簡単さと面白さからたちまちネットやテレビで話題に。2007年6月にはブログをまとめたレシピ本『大変!!この料理簡単すぎかも…ヤミーさんの3STEP COOKING』(主婦の友社)として出版され、ベストセラーとなる。他『「食べたい」ときに、食べたいぶんだけ! ヤミーさんの3STEPで作れる1人分お菓子』(主婦と生活社)『輸入食材で作る簡単!おいしい!ごちそうレシピ』など著書多数。
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