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    • 公開日2019/02/28
    • 更新日2019/02/28

    子どもと一緒に楽しむ、ほっとする料理を作り続けたい|#11 楠みどり

    NadiaのArtistにスポットを当て、ここでしか聞けない裏話や料理研究家さんの想いをお送りする「Artist History」。今回は、野菜ソムリエとしても活躍されている楠みどりさん。子どもから大人まで楽しめる家庭料理が得意な楠さんに、普段の生活や料理との関わりについてお聞きしました。

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    子どもと一緒に楽しむ、ほっとする料理を作り続けたい|#11 楠みどり

     

    料理家を志すようになるまで〜食関連の資格を取得したきっかけ〜

    大学を卒業して輸入青果会社で働いていたとき、当時としては珍しい「チェリモヤ」「スターフルーツ」などの南国の果物や、「トレビス」「チコリ」といった野菜の名前を目にするうちに「これってどんな果物(野菜)なんだろう?」と興味がわいたのがきっかけで、野菜ソムリエプロの勉強するようになりました。スーパーで野菜を選ぶ際にも、鮮度の良さを見分けるポイントなどが学べて生活に役立ちましたし、栄養価なども学べて自分の食生活を見直すきっかけにもなりました。

    それから毎日の料理にも自然とこだわるようになり、今度は「せっかく作った料理を、もっと素敵に盛り付けたい、もっと美味しそうに見せたい」と思うようになり、フードコーディネーター養成学校に通い、フードコーディネーターの資格を取りました。平日は会社員として働き、週末にフードコーディネートを学ぶという日々でした。

    楠みどりさんキッチンにて

    また、その後出産してからは子どもの味覚の敏感さに驚かされることが多々ありました。子どもの持つ純粋な味覚を育てたい、という思いから離乳食や幼児食にも興味が出て、幼児食インストラクターの資格も取得しました。

    フードコーディネーターの資格を取った頃から「いつか料理の仕事をしたいな」と考えるようになりました。平日は派遣社員として働きながら、週末にレンタルキッチンを借りて少人数制の料理教室をやっていた時期もあり、その時に、みんなで料理をする楽しさや、「美味しい!」と言ってもらえた喜びが原動力になり、料理家の道を志すようになりました。

    今考えると、自分のライフスタイルが変化する中で興味を持ったのが料理に関わるものが多く、自然な流れに導かれるようにして料理の道に進んできたのだなと感じます。

     

    毎日の食事を丁寧に、大切に

    私が好きで作りたい料理は旬の食材を使った、地味でもほっとするようなごく普通の家庭料理。 スーパーでも旬の食材を購入するようにしていますが、特に長野に住む義母が育てて送ってくれる野菜が美味しくて! 長野の澄んだ空気ときれいな水、義母の愛情を受けて育つせいか、どの野菜もみずみずしくて絶品です。

    今の時期ですと、大根や白菜はお味噌汁に入れるととろけるようにやわらかくて美味しいですし、夏のトマトの甘さといったら、言葉で表せないくらい! 娘も「ばあばのトマトが一番美味しい」と言い、スーパーで購入したトマトとは食べっぷりが全然違います。義母の送ってくれた旬の野菜を無駄なくシンプルに美味しく食べられるような料理を日々考えています。

    義母から送られてきた野菜たち

    義母から送られてきた野菜たち

    料理についても、毎日のこととなると実践するのはなかなか難しいのですが、「心を込めて作る」よう心がけています。例えば目玉焼きを焼くにしても、忙しいからといって適当に焼いたのと心を込めて焼いたのでは仕上がりが全然違います。調理をする時の気持ちというか精神状態が料理に反映されると思うので、どんなに作り慣れている料理でも、丁寧に作りたいと思っています。

    子どもが小さいので、なるべく手作りで栄養バランスを考慮したご飯を作ってあげたいという思いはもちろんありますが、ママが疲れたりイライラしたりしながら作ったご飯は、子どもにも伝わると思っています。

    いくら品数が多くても、ママが疲れ切った顔で食卓に着いたら楽しくないですよね。なので、「今日は疲れたな、夕飯を作る気力がないな」と思う時はスーパーのお総菜を頼ったり、家族でファミリーレストランに出かけたりすることもあります。手を抜く時は抜いて、外食したら次の日は子どもと一緒に野菜をたっぷり入れた餃子を作ろう、とか、具だくさんのお味噌汁を作ろう、などとバランスを取りながら、日々の食事を笑顔で楽しめるように心掛けています。「外食も楽しくて美味しいけれど、やっぱりママの作るご飯は美味しいね」と言ってもらえるような環境作りを大切にしています。

     

    Nadia Artistになったきっかけ

    楠みどりさん

    フードコーディネーターの資格を取って30歳を過ぎた頃から、漠然と料理に携わる仕事がしたいと考えるようになりました。とはいえ、資格を取得したからといってすぐに料理の世界で仕事ができるわけもなく、どうしたらいいのか全く分からない状態でした。

    そんな折、フードコーディネーターの卒業生によるパーティに参加した際、創業間もない頃のNadiaの関係者の方にお会いし、「Nadiaというレシピサイトがあるのでレシピを投稿してください」と言われたんです。Nadiaにレシピを投稿していくうちに、そこから少しずつコラムのお仕事やレシピ開発のお仕事をいただけるようになりました。

    特に出産したばかりの頃は、家に引きこもりの状態だったので、大げさに聞こえるかもしれませんがNadiaにレシピを投稿することが唯一の社会とのつながりでした。娘がお昼寝している間に料理を作って写真を撮り、夜寝かしつけてからパソコンに向かってレシピを投稿する日々。育児のストレスを発散する手段にもなっていたかもしれません。その頃はただ自己満足で投稿していましたが、思いがけず2016年のNadiaパーティーで「レシピ投稿賞」を頂き、それがすごく嬉しくて励みになりました。

    見てくださる方がいるんだと実感したことで、少しでもみなさんの役に立てるような、分かりやすくて作りやすいレシピを投稿しようと思うようになりました。工程写真をなるべく入れるようにしたり、誤解のない表現方法を用いるようにしたりと、日々試行錯誤しています。

     

    家事・育児・料理家としての仕事の両立

    楠みどりさん

    娘がまだ赤ちゃんの頃は、在宅でできるコラム執筆やレシピ開発の仕事をさせていただいていました。子どもといる時間も確保しつつ仕事ができるというのは非常に恵まれていたと思います。

    今は娘も幼稚園に通うようになり、自由になる時間も増えたので外に出る仕事もできるようになってきました。料理家さんのアシスタントをしたり、イベントのお手伝いをしたり、料理教室の講師やスタイリングなど、何でも楽しくて勉強になります。カメラマンさんやデザイナーさん、クライアント様と一緒に撮影のお仕事をする際は、緊張感もありますが、みんなで力を出し合ってひとつのものを作り上げるという達成感や喜びはかけがえのないものです。

    思うようにできなくて自分の未熟さに落ち込むことは多々ありますが、料理の仕事自体がつらいとか大変と思ったことは一度もありません。もちろん、夫のサポートや娘自身が成長してくれたおかげでもあり、家族の協力のもとで好きな仕事をさせてもらっているので、とても感謝しています。

     

    子育て世代のママたちを応援するレシピを作っていきたい

    ここに画像の説明

    これからは、幼児食の分野に力を入れていきたいと思っています。以前、おだしを使った料理教室の講師をさせていただいた際、だしのメーカーの方の「子どもの味覚を育てることは親が子どもに残してあげられる財産です」という言葉を聞いて感銘を受けました。

    私も、子どもの健全な味覚を育てることは将来的に生活習慣病を予防することにつながり、健やかな心と体を作ることにもつながる、と考えています。子育て世代のママ達が作りやすくて、なおかつ子どもと一緒に安心して食べられるような優しい家庭料理を提案していきたいと思っています。

    私が子どもの頃と比べて今はライフスタイルも多様化しています。核家族化が進み、共働き世帯数が専業主婦世帯数を逆転し、子育て環境も大きく変わっています。そんな今だからこそ、家庭料理をはじめ日本の食文化を伝え続けていきたいです。

     

    料理家を目指す方へ

    人が生きていくうえで食事は欠かせないものですから、料理というのはとても学び甲斐のある分野だと思います。私も30歳を過ぎてからこの道を志して、非常にスロースターターだと思うのですが、離乳食や幼児食、成長期の子どもの食事、生活習慣病を予防する食事、高齢期の食事など、一生学び続けることができる仕事だと思っています。

    料理の仕事を始めるのに早い遅いもないし、定年もゴールもないと私は思っています。料理に関する仕事はコラム執筆やレシピ開発、料理関連のイベントやスタイリング、講師など多岐に渡ります。在宅でできるものもあるのでライフスタイルの変化に合わせて仕事ができるのも魅力。私自身もまだまだ苦手分野や知識不足のことがたくさんあるので、この先もずっと地道に勉強していきたいと思っています。

    楠みどりさん

     

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    お気に入りのキッチングッズ

    ある料理コンテストで準グランプリをいただいた際に、夫がサプライズでプレゼントしてくれた日本橋木屋の雪平鍋と菜箸、まな板です。私は調理器具にあまりこだわりがないので、めったに買い替えることもなく、結婚前から使っているような鍋や食器がたくさんあるんです。雪平鍋も相当年季が入ったものを使っていたので、見かねた夫がプレゼントしてくれました。良いものを使えば仕上がりも違ってくると思うので、大切に使い続けていきたいと思っています。まな板は薬味などちょっとしたものを切るのに丁度良いサイズですし、菜箸も太さがあって使いやすく重宝しています。

    写真:高橋 しのの

     

    楠みどり's profile
     
    野菜ソムリエプロ、フードコーディネーター、幼児食インストラクター身近な食材で、野菜たっぷりのほっと和むおうちごはんを提案している。親子料理教室や食育活動にも力を注いでいる。

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    Nadia編集部では、食や料理、暮らしにまつわるコラムをお届けしています。 また、テーマごとのおすすめレシピを紹介するレシピまとめや季節のトピックに合わせた特集ページなど、さまざまなコンテンツを日々制作・発信しています。 これからも時短・簡単レシピからおすすめ献立、最新の食トレンドまで、幅広いテーマでみなさまに役立つ情報をご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね♪ <Nadia編集部について> Nadia編集部では、レシピサイトNadia全体のコンテンツ制作・サイト運用のほか、レシピ本の出版、SNS運用、レシピのクオリティチェックなどを行っています。 出版社・編集プロダクション・食品メーカー出身のメンバーや、栄養士の資格を持つメンバー等が在籍しており、食のコンテンツを扱うプロフェッショナルとして日々活動しています。

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