家族の「美味しい」が原点
料理を本格的に始めたのは、大学入学後。母のすすめで、日常生活の中での「食」の問題を総合的に研究する「食物学」を学ぶ学部に進学してからです。大学時代は、西洋料理、日本料理、中華料理など基礎から応用まで「食」についてあらゆることを学びました。大学時代の調理ノートは20冊以上にも及びます。また、「実習でお料理ができないと恥ずかしい」と思い、料理学校にも通っていました。大学生のころは、大学や料理学校で学んだ料理を、家で復習しては家族に食べてもらって...の繰り返しでした。
そんなある日、父の好物の「里いもの煮っころがし」を作ったら、「美味しい、美味しい!」「明子が作ると美味しいなあ」と喜んで食べてくれたんですよね。「こんなに喜んでくれるなんてお料理ってすごいなあ」と感じ、そこから料理が好きになりました。
大学時代の調理ノート
大学卒業後は、日清製粉株式会社に入社。企画開発部に配属され、商品の開発やパッケージの裏面レシピ、パンフレットのレシピの考案などをしていました。実は開発した商品の中には、ロングランヒットの商品もあるんです。結婚と同時に食品会社を退職し、その後は、フジテレビ商品研究所に転職。産経新聞の料理面を一新するというプロジェクトチームで1000レシピを作るという仕事に携わりました。
子育て中は子どもと料理を楽しむ
その後、妊娠・出産を機にフジテレビ商品研究所も退社し、しばらくは子育てに専念しました。食育も兼ねて、子どもが幼少期のころは積極的に一緒にお料理を楽しむようにしていました。もちろん、自分ひとりでやったほうが早いし汚れないですが、お料理はできた方がいいと思い、しっかり教えるようにしていました。
パンケーキやクッキーを作ったり、「いかの足は何本?」とさばきながら数えたり、魚を解剖したりと、台所はさながら実験室(笑)。子ども用の包丁とまな板を用意してあげたら、すごく喜んでいましたね。
令和の時代は、男女問わずお料理は必要だと思います。息子はすでに独立していますが、今ではお料理はお手のもの。私が父を亡くして落ち込んでいたら、「うちに来て」と私をアパートに招待してくれて、野菜のテリーヌやきのこのホワイトソースのオムライスなどを作ってくれました。そのとき、お料理を教えておいて良かったなあと思いました。
息子の言葉からSNSをスタート
息子が小学校にあがったタイミングで、恩師に頼まれて献立作成やレシピ開発など少しずつ、料理家としての活動をスタートしました。はじめは料理教室の講師や記事執筆などを行っていたのですが、大学生になった息子に「これからはネットの時代だよ」と言われて2017年からブログを始めたんです。その後「今はInstagramだよ」と言われて2018年からInstagramを、今年はまた何か新しいことをと思い、TikTokを始めました。
Nadiaに応募したのは2019年のことです。実はブログを始める前に、いろいろネットで検索をしてNadiaについても調べていたんですよ。ただ、当時は審査を通過する自信がなくって申請できずにいたんです。でも、知り合いの方が「あーぴんさんなら絶対受かるよ」って言ってくれて。それで、もう50代だし、この年齢で応募するのもどうかなと思いつつも応募したのですが…おかげさまで一回の審査で合格をいただきました。こんなことならもっと早くに応募すれば良かったと思いましたね(笑)。
レシピ発信は常に「フォロワーさんファースト」で
SNSやNadiaは私にとって、フォロワーさんと関われる大切な場所です。常に「フォロワーさんファースト」の気持ちでレシピを発信しています。Instagram、ブログ、Twitterは毎日、Nadiaは週に5~6回、TikTokは3日に1回アップしています。投稿を継続するのは、やっぱりすごく大変。それでも「継続は力なり」だけを信じて続けてきました。
それから、コメントへの返信の早さも心がけているポイントです。たとえば、「今日の夕飯に作りたいけど、この材料の代用はできますか?」という質問のコメントが、夕方4時ぐらいにくることがあります。今から買い物に行くんだな、夕飯に作るんだな、と思うと、自分の作業の手を止めてでも、即座に答えるようにしています。
私のレシピで笑顔になってほしい
料理の仕事をするときのこだわりは、食べてくれる人の笑顔を想像しながら作ること。企業で新製品を作っていたときも、「この製品を食べた人が笑顔になれますように」という想いで、作る人が失敗しないようにパッケージの裏面レシピを何度も試作していました。新聞でレシピを考えていたときも、「献立に悩む多くの人の役に立ちたい」という想いがありました。現在も、「私のレシピを作った人が笑顔になりますように」と願いながら発信しています。
そういった想いがユーザーさんに届いたとき、やりがいを感じます。レシピのコメントなどで「あーぴんさんのレシピは間違いないので大好きです」や、「なすが嫌いでしたが、あーぴんさんのレシピを作ってから食べられるようになりました」といった感想をいただいたときは、本当にうれしいです。また、料理教室の講師をしていたとき、はじめて包丁を持つような70歳のおじいさんがご病気の奥さまのために料理を習いにいらっしゃって…。「あーぴんさんのレシピを作って、妻が喜んでくれました」と、クシャクシャの笑顔で涙を流して報告してくれたことも。私も思わずもらい泣きしました。
Nadiaでは若い方に「伝統食」も伝えていきたい
Nadiaでレシピを投稿するときは、バリエーション豊かなレシピを発信したいと考えています。「お気に入り」が少ないのが分かっていても、あえて発信している分野のレシピもあるんです。たとえば、伝統食。日本には四季があり、旬の野菜があり、伝統行事と共に伝統食がありますよね。それを若い方々に伝えていきたいと思っています。
大学時代に、基本の料理から本格的な料理まで学んだことで、本物の味を簡単に応用できるのが私の強みだと思っています。「これなら作れそう」と思ってもらえる伝統食を積極的に発信しています。十五夜に簡単にお豆腐と白玉粉で作るお団子、漬物樽がなくても袋で漬けてペットボトルを重石にする梅干し、失敗しない梅シロップ、栗の渋皮煮、おせち料理など...。たったひとりでも私のレシピが役に立ったと思っていただければ、Nadia Artistとして大変うれしいです。
また、Nadiaでレシピを発信していて一番気をつけているのが「失敗した」「まずかった」とならないように、きちんとレシピを分析すること。何度も試作して、電子レンジレシピなどは容器を変えたらどうか、お菓子などはオーブンとオーブントースターではどう違うかなどを比べたりと、徹底的に試作しています。私が何度も試作して失敗したので、作る人には失敗させません!
Nadiaでは、レシピコンテストの審査員でYouTube配信に参加したり、企業様とフレンチのレストランに行ったり、いろいろなお仕事を経験させていただき、料理家としての幅が広がりました。ユーザーさんが私のレシピをみて、これを作りたいとわざわざそのメーカーさんから商品をお取り寄せして、レシピを作ってくださった報告をうけたときは、特にうれしかったですね。
Nadiaのロゴのオレンジの花の由来は、社長のお母さまが食卓にお花を飾っていらしたことからというすてきなエピソードも伺いました。たとえ1輪でもお花があると食卓がぱっと華やぐし、笑顔がこぼれますよね。私もNadiaをご覧のみなさまがレシピを作ってくださることで、笑顔あふれる食卓のお手伝いができればと思っております。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
あーぴん(道添明子)'s profile
料理研究家、栄養士。大手食品会社にて新製品やロングラン商品の開発やレシピ開発、販促パンフレットの作成に携わる。その後、テレビ局や系列新聞でのレシピ開発を経験し、独立。現在は「手抜きに見えない時短・カンタン美味しい・ちょっとお洒落なごはん♪」をモットーにSNSやNadiaなどさまざまな媒体でレシピを発信。
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