料理を喜んでもらえるなら、なんぼでも作れる!
もともとは母が料理上手で、私は食べる専門。結婚を機に料理教室に通ったら、料理の楽しさを知ってどんどん料理にはまっていきました。
はまると納得するまでやってしまう性格で、シフォンケーキの作り方を習ってからは、「やせたい~」と言いつつも毎日2、3回シフォンケーキを焼くほど(笑)。みんなが私の料理を食べてくれること、「美味しい!」と喜んでくれることがうれしくて、そのためならなんぼでも作れる! と思ってしまいますね。
SNSは、忙しい日々の中で作った料理の記録を残したくて始めました。発信することや編集が好きなので、ストレス発散にもなっていたと思います。Nadia Artistになったのも、SNSをご覧になったNadiaの黒澤編集長からお声がけいただいたのがきっかけ。現在は企業さまのレシピ開発や、インフルエンサーとしてのお仕事をさせていただいています。
レシピを考案するときは、「節約しつつも、栄養はしっかり取り入れること」を心がけています。そして「従来の型にとらわれないこと」も。例えばコロッケも、じゃがいもをゆでて、ひき肉を炒めて、というのが本来の作り方ですが、私は具材もレンジだけで完成させています。
品数にこだわるよりは、「一品入魂!」がモットー。これからも型にとらわれず、時短だけど時短に見えない、美味しいレシピをどんどん研究していきたいですね。
起立性調節障害で悩む長男に寄り添って
今は、高3と中2の息子と3人で暮らしています(2025年3月現在)。長男はもともとサッカー少年で、明るく活発な子だったんですが、中2のころにだんだん朝のめまいがひどくなり、起きられなくなって。学校に行けなくなり、大好きなサッカーも辞めてしまうほどになったんです。
最初は胃腸の風邪のような症状でしたが、何日たっても治らなくて。総合病院で検査をしてみたら、起立性調節障害と診断されました。診断されるまで、私は息子に「なんで学校に行けないの? テストが嫌なの?」と、ずっと言っていたんですよ。理解ができなくて、無理に布団を取り上げたりして…。
息子は「そんなんじゃない。しんどいねん」と言っていて。でも、病名が分かってからは、お医者さんからも「無理やり起こしちゃだめだよ」と。息子に対しては「本当にごめんね」と謝るしかなかったです。
中3のころは体調が良いときに登校していたんですが、ある日、担任でない先生から「どこの高校に行きたいんや」と聞かれて、息子が志望校を伝えると「そこに進むのは厳しい。志望校をひとつ下げても無理だろう」と言われてしまって…。息子は帰宅後、「もう僕の人生、何をしてもだめなんや」ってワンワン泣いてしまったんです。
それ以来、長男は学校へも行けなくなり、生気のないうつろな目になってしまって。「もしも、自分で自分を傷つけるようなことがあったら」と私も心配で、夜は何回も息子の部屋をのぞき見て…。あのころの私は、できるだけ栄養のあるご飯を作って、息子の生きる気力を止めないよう、ただ必死だった気がします。
展望台から景色を見ながら語り合った日
そんな中、気分転換に大阪の展望台へ長男と2人で出かけたこともありました。景色や人の流れを一緒に見ながら、「こんなにようさん(たくさん)人がおって、みんなたぶん悩みがあるんよね。ここから見るとちっぽけやけどな」なんて話をして。
高校がすべてじゃないし、海外留学っていう手もある。目の前の道だけが道じゃない。いつでも方向転換できるからね…と。とにかくこの時期は寄り添うことに徹し、「ママはずっと味方だから。何でも協力するよ」と話したのを覚えています。
卒業式も「人前に出るのが怖い」という気持ちがあったようで、当日は泣く泣く欠席。すると、卒業証書授与で校長先生が長男の名前を呼んだときに、クラス全員が立ち上がって返事をしてくれたんです。先生も「みんなと一緒に卒業できましたよ」と言ってくださって、私は号泣でしたね。お友だちには本当に恵まれたと思っています。
中学卒業後はフリースクールのようなクラスに通い、今年は大学を受験したんですが、志望する大学に合格することができました。そして春からは、ひとり暮らしをスタートすることに。まだ心配事は尽きないですが、病気を乗り越えて道を切り開いた息子を誇りに思っています。
料理好きの次男からはアドバイスをもらうことも
次男は、料理や食に興味があるタイプ。私のレシピに対しても「ごま油足したら?」とアドバイスをくれたり、「レモン汁入ってる?」など興味を示してくれます。自分で作るのも好きみたいで、私が風邪をひいたときにも、ミールキットでビビンバとスープをきれいに作ってくれたんですよ。最初は目分量で作ったりしながらも、いろいろ工夫して「これでいい味になった」なんて言っていました。
学校の課題には口出ししたら不機嫌になることも多いですが、料理に関しての口出しは全然怒らないんですよね。この前も美容院で料理の雑誌を見ていたそうで、「美味しそうなイタリアンプリンが載ってたから、写真撮ってきてん。作ってみたい」って。また、学校から帰ったあとに、クレープを作ってくれたり! 料理が本当に好きなんだろうなと思います。
また、次男は食欲もすごくて! テニスをやっていて、体力づくりのために「お腹いっぱいになっても食べなきゃだめ」とコーチから言われたことがあったんですけど、「どうしよう、ぼくお腹いっぱいにならへんねんけど」って(笑)。無限の胃袋を持っているみたいです。食べ物の好みも次男は私にそっくりで、おやつもお互い食べたいものが一致したりしています。
家族3人、風通しがいい関係でいたい
次男は反抗期の真っ最中なので、こっちが何か言うと「うっとうしいな~」って言うことも多いですが、たまに長男が「お前、ええかげんにせえよ」と間に入ってくれたりします。兄弟で年は4つ離れているんですが、お兄ちゃんがパパ代わりみたいなところもありますね。お風呂も兄弟一緒に入っていて、1時間ぐらい出てこないこともあるほど。すごく兄弟仲はいいと思います。
家族で食事をするときは、その日にあったことや恋愛話なども、オープンに話をしています。家族3人、風通しがいい関係でいたいなとは思っていますね。息子たちが朝「お腹が空いた」と起きてきてくれること、愛情を込めた料理を「美味しい」と食べてくれること、食事中にいろいろ話をしてくれること、それが本当にうれしいです。私から息子たちに言いたいことは、「私はいつも味方だよ」、もうそれだけですね。
レシピ本は重版になり、今年は新連載も開始!
2022年12月には、初めてのレシピ本『大満足! DOKINの節約がっつりごはん』(宝島社)も出版しました。この本は、長男が病気で食欲が落ちていたときにも「美味しい」と言ってくれたおかずや、食べ盛りの次男が絶賛してくれたレシピを載せていて、ひとつひとつ息子とのシーンを思い出すものばかりです。
「同じ年ごろのお子さんを持つ方のお役に立ちたい」という気持ちと、「母の味として、レシピを息子たちに残したい」という気持ちで作った一冊です。本はありがたいことに重版になって、とってもうれしいですね。
新しいレシピに挑戦するとなかなか味が決まらなかったり、1日に3、4回作り直すこともあったり。レシピを生み出すのってやはり大変だなと思うんですが、読者の方やSNSのフォロワーさんからの「美味しかったよ!」のお言葉が本当にうれしくて、励みになっています。
Nadia12周年記念パーティーで「2024年 Best of Nadia賞」を受賞(撮影:巣山 サトル)
去年は2024年の「Best of Nadia賞」を受賞しました。たくさんのすてきな料理家さんがいるなか、こんなにうれしい賞をいただき…ただただ驚きでいっぱいでしたが、その名に恥じぬようがんばっていきたいと感じました。
そして今年(2025年)は、Nadiaで私の新連載も開始。レシピだけでなく、思春期・反抗期の難しい年ごろの子を育てる母のひとりとしての発信もできたらいいなと思っています。レシピに対する私の想いや、息子の感想なども取り入れて、クスッと笑ってもらえるようなひとこまもお届けしたいので、ぜひお読みください!
これからの目標は「DOKINのレシピは間違いない」と思ってもらえるNadia Artistになること。そして私自身が、いつか誰かがNadia Artistを目指すきっかけになれたらうれしいです。
Nadia Artistになって、人生が変わった!
もし料理を仕事にしたい方がいるならば、とにかくチャレンジしてほしいです。私はNadia Artistになって人生が変わったし、出版という大きな夢を叶えることができました。私が言うのもおこがましいですが、Nadia Artistって努力家で向上心が高くて、すてきな方が多いんです。キラキラしている方たちから刺激をもらいつつ、切磋琢磨しながらがんばれる世界がNadiaです。
Nadiaは私の人生を変えるきっかけとなったので、Nadiaを作ってくださった葛城社長、Nadiaに入るきっかけをくださった黒澤編集長には本当に感謝しています。私はNadiaが大好きです!
Nadiaユーザーさんからは、いつも「作ったよ」のコメントをたくさんいただきありがとうございます! 最近では、コメント欄でのユーザーさん同士のやりとりがほほえましくて、一日の終わりに楽しく拝見させていただいています。これからも役に立つレシピをお届けできるよう精進していきますので、応援よろしくお願いします!
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
DOKIN's profile
料理研究家、料理インスタグラマー。兵庫県在住。Instagramのフォロワーは42万人を突破。初のレシピ本『大満足! DOKINの節約がっつりごはん』(宝島社)は重版となり、テレビやラジオなどでも活躍中。節約・時短を叶えつつ栄養も見栄えも満たすレシピや、野菜嫌いを克服するレシピなどが人気を集めている。
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