料理がかなり苦手だった会社員時代
子どもが生まれるまでの私は、通販会社のグルメ企画室で働きながらも、料理はかなり苦手。食品企画の担当だったので、上司から「さすがにちょっとは料理ができたほうがいいと思うよ」とアドバイスをもらったことも…。
それでも長男の出産後、少しずつ料理の感覚が身について、「料理ってそんなに難しいものじゃないんだ」と思えるようになったんです。それに、子どもが美味しそうにご飯を食べてくれるのがうれしくて。
「料理上手なお母さんになりたい」という思いと、私と同じように料理に苦手意識がある人の役に立ちたい思いがあって、YouTubeやInstagramを始めました。すると、「ゆり子さんの動画を見るようになってから、料理が楽しみになった」というコメントをいただくようになって。誰かの役に立てていると思えるようになったんです。
YouTubeチャンネル『ゆり子のおいしい暮らし』は、ナチュラルな雰囲気も魅力
そのころ、Nadiaの編集長の黒澤さんに声をかけていただいて、Nadia Artistになりました。その後、第2子の出産を経て、1冊目のレシピ本『ゆり子の平日5日 簡単まんぷく定食』(ワン・パブリッシング)を出版しました。
「2029年目標」のレシピ本出版が、早くも実現
初めてのレシピ本は、ワン・パブリッシングさんとNadiaのシリーズ「Nadia Books」から出版しました。きっかけは、ワン・パブリッシングの編集者さんが、私のYouTubeを見てくださったことです。
もともとレシピ本は「2029年ごろに出したい」という目標があったんです。それは、長男が生まれて10年の節目となる年だから。Nadia Artistになって、その目標が想像より早く実現したのでびっくりしました!
出版できたのはたくさんの方に応援していただいているおかげなので、感謝の気持ちでいっぱいになったし、よいものを完成させて恩返ししたいと思いました。
本に載せたレシピは、YouTubeで紹介していた「平日5日間献立」がベース。YouTubeで特に人気があった定食屋さん風レシピを中心に、定番おかずを厳選しました。
私の理想の食卓は、「笑顔があふれる食卓」です。栄養バランスや美味しさはもちろん大事だけど、一番大切なのは自分が笑顔でいられることじゃないかと思っています。
だから、レシピを考えるときに大事にしたのは、パパッと時短で作れること。忙しさに追われている方でも、料理は賢く時短することで、心のゆとりが生まれるような献立を目指しました。
2冊目のレシピ本はさらにパワーアップ
ありがたいことに2024年12月には、2冊目のレシピ本『ゆり子の簡単・時短 30分3品献立』(ワン・パブリッシング)も出版されました。新刊の出版が決まったのは、1冊目をたくさんの方が手にとってくださったおかげ。「2冊目はさらにいい本にするぞ!」と気持ちが高まりましたね。
新刊は1冊目よりもパワーアップしていて、「30分で3品作れる」がコンセプト。短時間で3品を完成させるために、主菜はできる限り下ごしらえがないものにしたり、副菜は切って和えるだけ・レンチンするだけのレシピ中心にしたりと工夫しました。
たっぷり6週間分の献立と、「平日5日分の買い物リスト」も掲載
「調理中にパッと見て分かりやすいか?」「読んでいてワクワクできるか?」と自問しながら、デザイン面もこだわった一冊です。調理中でも見やすいよう、レシピは見開きで3品掲載。手書きのコメントで私の想いを書き込み、温かみのある本を目指しました。今回はおやつのレシピも掲載して、暮らしが楽しくなるようなコンテンツも入れています。ぜひ「このメニュー食べてみたいなぁ」と、ごはんづくりを楽しんでいただけたらうれしいです!
本の制作現場では、カメラマンさんやスタイリストさんなど、専門性の高い方々とお仕事させていただいて「やっぱりプロってすごい!」と実感。私も「料理家として、もっと専門性を高めたい」という刺激をいただきました。
多くの人が関わるなかで、理想の一冊への共通認識を持って制作することには難しさも感じました。だからこそ、編集者さんやデザイナーさんと密にコミュニケーションをとりながら試行錯誤して、みなさんに喜んでいただける一冊になったと思います。
管理職としてのフルタイム勤務を経て料理家に
子育てと仕事の両立が一番大変だったのは、長男を育てながら管理職として働いていたときですね。朝は5時半に起き、早めに出社して、18時に子どものお迎え。そこから夕飯を作って、子どもをお風呂に入れて寝かしつけ。子どもが寝た後に仕事をして、寝不足が続く日もありました。
それでも乗り越えられたのは、会社の上司と仲間のおかげです。上司は働きやすい環境を作ってくれて、いつも気づかってくれて。またチームの仲間は、急に子どもの熱で休むことになっても、「できることがあれば言ってね」とサポートしてくれて、精神的にかなり救われました。
現在は会社を退職し、フリーランスの料理家として活動しています。自分の「好き」を発信して、「仕事が楽しい」と思えることは本当に幸せだなと思います。子どもが風邪をひいて保育園を休んだりするときも、自分で仕事量をコントロールできるのもフリーランスの大きなメリットですね。
逆に、大変なのはお金を稼ぐことです(笑)。フリーになって、改めてお仕事をいただくということは本当にありがたいことだと実感しました。「またゆり子さんと一緒に働きたい」と思っていただけるように、お受けした仕事は一つ一つ丁寧に、120%のハイクオリティな結果を残していきたいです。
笑えていない自分に気づいたことも
仕事や生活のモットーは、いつも笑顔でいること。レシピ本の根底にもある考えですが、人間って心のゆとりがないと笑顔にはなれないですよね。
私自身、仕事と子育ての両立をがんばっているときに、笑えていないときがあって。「せっかく子どもと一緒に過ごしているのに、楽しめていないのはもったいない」と気づいたんです。料理をがんばりすぎて余裕がなくなるぐらいなら、料理は簡単に済ませて、笑顔で食べる方が健康的だと思っています。
現在、子どもは2歳と5歳。最近は料理に興味があるようで、クッキーを一緒に作ったりもしています。最近一番うれしかったのは、上の子が遠足から帰って「ママ、全部美味しかったよ!」と、からっぽのお弁当箱を見せてくれたこと! こういう瞬間に、料理をやっててよかったなって思います。
フリーランスだと自分の代わりがいないので、健康管理も大事ですよね。学生時代はバドミントン部や駅伝部に所属して、実はかなり運動していたんですよ。料理の仕事は、実は体力も必要。学生時代に体力作りをしておいてよかったと思う反面、最近は運動不足なので、ちょっと今年は気合いを入れてランニングをしようかなと思っています。
料理はがんばるものでなく、楽しむもの
Nadia Artistのみなさんが一人一人、信念を持って努力を積み重ねている姿を見ていると、「プロ意識の高さ」を感じるし、「私ももっとがんばらないと!」と意識が高められます。
これからは「子ども向けのご飯」のジャンルも、もっと強化していきたいですね。フォロワーさんから子ども用レシピを聞かれることも多く、我が家も子どもの好き嫌いで悩んでいるので、それを解決できるようなレシピを考えていこうかなと思っています。
Nadiaの葛城社長が掲げている「家族の幸せに貢献する」というミッションには共感できる部分が多く、すごくすてきだと思っています。お料理でたくさんの人の生活を豊かにしていくこと、そして子どもたちが「いただきます」や「ごちそうさま」を通してすくすく育っていくこと。それを実現できるように、私ができることをコツコツと積み重ねていきたいですね。
そして、「料理はがんばるものでなく、楽しむもの」ということを伝えていけたらいいなと思います。料理に正解はないので、もっと自由に、もっと気楽に、みなさんにも料理を楽しんでほしいと願っています。みなさんの食卓に笑顔があふれますように!
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
ゆり子's profile
料理家・管理栄養士。著書『ゆり子の平日5日 簡単まんぷく定食』『ゆり子の簡単・時短 30分3品献立』(ワン・パブリッシング)が人気を集める。YouTube『ゆり子のおいしい暮らし』は登録者数20万人を突破。SNS発信、レシピ開発、コラム執筆、ラジオ出演など幅広く活躍中。5歳と2歳の男の子のママ。(2025年2月現在)
●ゆり子さんのプロフィールはこちら
●レシピ本紹介コラム
・YURIKO(ゆり子)さんが初出版!『ゆり子の平日5日 簡単まんぷく定食』の気になる中身をご紹介
・ゆり子さん待望のレシピ本2冊目!『ゆり子の簡単・時短 30分3品献立』をご紹介
●Nadia Artistになりたい方へ。申請ページはこちら