陸上競技から食の重要性に気づく
学生時代は陸上競技に打ち込んでいました。高校は陸上の強豪校へと進学し、駅伝の有名選手とも一緒に練習していたんです。そのときに学んだのが、速く走るためには練習も大事だけれど、食事も大事だということ。
レースや試合で勝つために監督から食事の指導もありましたし、食事内容は徹底的に気を付けていました。たとえば、大会の数週間前までは糖質を抑えて、本番何日か前からは糖質を摂るようにすると、走るためのエネルギーを効率よく蓄えることができる。そういう専門的な食事法をトレーニングの一環として取り入れていたので、自然と食に対しての興味がわくようになったんですよね。
「食を仕事に」という想いから食品事業部に転職
スポーツ選手にとって食事がいかに重要かということを知り、大学ではスポーツ栄養士を目指して栄養学を専攻しました。栄養士や食の資格を取得したのですが、卒業後は料理とは無関係の会社に就職したんです。
ただ、やっぱり「食」に対しての想いは捨てられなくて...。資格を活かすために食品事業部のある商社に転職し、国内外問わず、外食、中食などさまざまなジャンルのメニュー開発に携わりました。その仕事がすごく楽しくて、フードコーディネーターになりたいと思うようになったんです。
商社に10年ほどつとめてから、結婚・妊娠して、育児休業中にフードコーディネーター養成のスクールに通いはじめました。夫に子どもを預けて面倒をみてもらったり、姪っ子にベビーシッターをお願いしたり...。周りに助けてもらいながら無事スクールを卒業し、フードコーディネーターの資格を取得。その後、本格的に料理家として独立することになりました。
子育てと両立できたのは、周りの支えがあったから
料理家としての仕事がはじまってからは、日々子育てとの両立につとめていました。特に大変だったのは、子どもが1~2歳のころに料理教室の主宰をしていたとき。料理教室がある日は子どもをおんぶしながらレッスンをしていました。おんぶしながら狭いキッチンに立っていたので、生徒さんの理解は得ていましたが、だいぶご迷惑をおかけしたと思います。レッスンが終わるといつも腰と背中がバキバキでした(笑)。
育児中ってとにかく時間に余裕がない! そんなときは、子どもがテレビに集中する朝の30分とお昼寝の時間だけと時間を設定して、集中してレシピ開発のお仕事をやるようにしていました。「周りを頼ること」、「限られた時間の中で集中してやること」。この2つが、これまで私が仕事と育児を両立できた大きなポイントだと思っています。
誰かの喜びが自分のやりがいになる
現在の仕事は、国内、海外問わず企業や飲食店のメニュー開発、料理講師、フードコンサルタントの仕事が中心です。海外の案件では、イスラム教を信仰するムスリムが食べられる「ハラル」に対応したレシピ開発にも携わっています。また、栄養士として栄養バランスを考えたレシピを提供したり、フードコーディネーターとして、調理やスタイリングなどのお仕事もしていますね。今はお休みしていますが、料理教室も主宰しています。
仕事のやりがいは、私の作ったレシピや料理で誰かが喜んでくれること。レシピを一品作るのって、何度も何度も試作を繰り返し、時間と労力とお金がかかって大変。でも、誰かが喜んでくれていると思うと、「またいいレシピを作ろう」という前向きな気持ちになれるんです。
誰かの役に立ちたいとNadia Artistに
Nadia Artistに応募したのは、「私のレシピって世の中の人にどれほどの需要があるのかな?」という気持ちと、「私のレシピが少しでも誰かの役に立てれたらうれしいな」という気持ちがあったから。また、数あるサイトの中でもNadiaを選んだのは、「審査で合格した料理家」だけが投稿できるサイトの方が信頼度も高いと思い、魅力に感じたからです。
Nadiaへのレシピ投稿のときに心掛けているのは、「難しくないレシピ」にすること。「ハードルは低く、クオリティーは高く」をモットーに掲げています。難しいレシピはなかなか作ろうという気持ちにならないし、できるだけ簡単に、「これなら私にも作れるかも!」と思ってもらえるようなレシピを作ることを心掛けています。また、分かりやすい表現を意識したり、イメージが沸きやすい工程写真をつけています。
スタイリングのコツは、料理が目立つようになるべくシンプルにすること。それから、美味しそうに見えるように料理が完成したらすぐに撮影すること。やっぱり時間をおくと、全然美味しそうに見えなくなるんですよね。また、ライトは当てずに自然光で撮ることも心掛けています。でも、写真については毎回苦戦することばかり。カメラの機能もまったく使いこなせていないし、もっと勉強しなきゃなと思っていますね。
絶対的な信頼感のあるNadia Artistになりたい
2021年には、Nadia Booksシリーズからレシピ本を出版させていただきました。Nadia Artistになって半年たったころに、Nadia編集部の方からお声がけいただいて。最初は「え、私? 何かの間違いなのでは?」と疑っちゃうほど驚きました(笑)。でも、素直にうれしかったです。その反面、出版社の方からいただいた企画書に、100品ほどレシピを掲載すると書かれてあって、「そんなにたくさん!? ハードル高すぎる…!」と不安もたくさんありました。それでも本が出版されて、周りの方々から「レシピ本買ったよ」や、「あのレシピ作ったけど、美味しかったよ」という声をいただいて...。もっとたくさんの方に喜んでもらえるようなレシピを作りたい! という気持ちがより強くなりましたね。
今後は、「この人が作るレシピなら間違いないよね」という絶対的な信頼感、安心感のあるNadia Artistを目指しています。たとえば「ルーロー飯と言ったらこの人のレシピだよね」というように、自分の得意分野を確立したいですね。Nadiaはたくさんの方々が利用しているサイトですし、これからもNadiaを通してユーザーのみなさんに喜んでいただけるようなレシピを発信していきたいと思っています。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
スギヤマ ヒサエ's profile
料理家、フードコーディネーター、栄養士。長年、大手企業にてレシピ開発・メニュー提案・商品開発に携わる。独立後は、フードコーディネーターとして活躍する傍ら、料理教室を主宰。レシピのモットーは「ハードルは低く、クオリティーは高く」。
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