東京で暮らしたあと、熊本にUターン
料理を始めたのは、中学生のころです。母が仕事をしていたこともあり、チキンライスやパスタ、ハンバーグなど、自分が食べたいものを率先して作っていました。私がキッチンに立つのを全く制しない母だったので、母の料理を見ながら作り方を覚えたところがあります。
出身は熊本県ですが、大学進学のため東京へ。仕送りもない貧乏学生だったので、自炊はマストでした。食材を使い切る、予算を考える、献立を考える…。いろいろ工夫しているうちに、料理も楽しくなっていきました。友人にふるまうと「美味しい!」と喜んでくれて、「私の作る料理って実は美味しい?」と自覚してからは、ますます楽しくなったように思います。
2006年には都内の劇場に就職し、夫と結婚。企画や広報の仕事をしながら、2008年に第1子を出産しました。それから2012年に第2子出産後、東日本大震災を機に故郷の熊本県に移住したんです。
というのも地震発生当初、夫も私も働いていて帰宅難民になってしまい、子どもを迎えに行くことができなくて…。また同じようなことが起きたらどうしようと考えたんですよね。それで東京出身の主人も連れて、熊本に帰ることにしたんです。熊本でも大きな地震はあったのですが、職場と生活圏が近かったのでそこまでストレスに感じることもなく、やはり地元に帰っていてよかったなと感じました。
経営者の母のもとで学び、食品PRの会社を起業
熊本では、まずは母親の興した会社に就職。そして2016年に第3子を出産してから、地元の大学院に通って1年間、経営学の科目を履修しました。その後は、母の会社に籍は残しつつ、自分自身の会社を起業して、食品関係の広報の仕事をしています。
実は母も50歳を超えてから起業して、小さなお店から大きな会社に育て上げていて。私もそれをずっとそばで見ていたので、母のもとで学びながら、いつか自分もやりたいことを形にしてみたいと思っていたんですよね。
現在、私の会社が担当しているのは、叔母が開発した「ミラクルスパイス ふ~塩」や、環境負荷を考えたペットボトルを使わないミネラルウォーター、母の会社が作っている「炭酸氷」のPRなどです。SNSを運用したり、メディアの対応や展示会の準備をしたり。人手が足りないときは私が営業もしますし、出荷作業のお手伝いにも行きます。
仕事の喜びは、なんといっても「美味しい!」「いつも使ってます!」という声をいただくことです。ただ、多くの方に便利さを伝えるためには工夫をこらしたキャンペーンが必要で、アイデアをひねり出すのにとにかく苦労しています。
SNSを始めて、家族とのコミュニケーションも増えた
新型コロナウイルスの流行が発端で、SNSでの料理の発信も始めました。コロナ禍の影響で母の会社の一部の商材がまったく流通しなくなり、何か新しいことを始めないと…と、SNSマーケティングを学び始めたんです。まずは自分でSNSをやってみようと、「好きなこと」「毎日続けていること」を考えて「料理だ!」と思い立ち、レシピ関連のSNSアカウントを立ち上げました。
SNSの発信では「好き」が原動力になりますが、それだけでなくさまざまな工夫が必要だと思っています。自分の発信が魅力的だと感じてもらえるようにはどうするか、いつも試行錯誤の日々です。だからこそ、レシピに対し「美味しかった!」「リピートしています!」とメッセージをいただけたときは、「よっしゃー!」と叫びたくなるほどうれしいですね。
忙しいなかでSNSを更新するのは大変でもありますが、SNSを始めたことで逆に、子どもと過ごす時間が増えた気がします。子どもたちは上から15歳、11歳、8歳の3人兄弟ですが、彼らはデジタルネイティブなので、母親のInstagramのフォロワーが増えたり、TikTokでバズッたりするのが誇らしいみたい。私自身も子どもたちにアドバイスをもらうこともあるし、家族の協力のおかげで楽しくやれているなと本当に感謝する日々です。
ドンキ・業スーの達人としてレシピ本を出版!
昨年(2023年)には、初のレシピ本『ドンキ・業スーの達人! ラッコママの頑張らない時短・節約おかず』(宝島社)を出版しました。
業務スーパーへ通うようになったきっかけは、コロナ禍で食費が増えてしまったので、節約のため。学校が休校になり、子どもたちにお昼を作る日が続いて、忙しさにかまけて外食やコンビニを多用していたら、1カ月の食費がなんと12万円に…!
「これはまずい!」と思って、いろいろ友人に相談していたら「業務スーパーがおすすめだよ」と。初めて行ったら、もうパラダイスでした。あんなものからこんなものまで、低価格でたくさん! 初めて行った日は買い物かご2つに山盛り買って、1万2千円ぐらいだったことを覚えています。
その後、Instagramのフォロワーさんから「ドン・キホーテもいい食品たくさんあるよ!」と教えてもらって通うようになりました。ドンキには業スーにはない、ちょっと珍しくて面白い商品がたくさん並んでいるので、どちらも活用しています。業スー、ドンキで節約したおかげで、現在の食費は6~7万ほどに抑えられています。
レシピ本の撮影は一大プロジェクト
本に載せるレシピを考えるうえで意識したのは、特別な調味料を使わないこと、手間がかからないこと、難しくないレシピであること。子どもが小さいうちのほうが家事育児は大変、と思っていたのですが、小学生を過ぎると、また別の意味で忙しくなってきますよね。そんな大変な毎日を過ごしている方たちに届けばいいな、と思って本を作りました!
フルタイムで仕事もしているので、撮影はかなり緻密に計画をして進めました。有給休暇も限られているので、撮影用の料理を1日に15品まとめて作った日も。早起きして朝6時から料理を仕込んで、自然光での撮影のベストタイムが13時~17時しかないので、そこに15品が美味しそうに仕上がるように逆算して…その間に子どもを学校に送り出して。
一大プロジェクトでしたが、ちょっとしたタイムトライアルみたいで楽しかったですね。自分の中では、テレビ番組『料理の鉄人』のイメージで、「あと何秒!」と考えながら料理していました(笑)。
業務スーパー&ドン・キホーテのおすすめ商品は?
業務スーパーでおすすめしたい商品は、まずは「冷凍チキンカツ」。鶏むね肉にパン粉もついた状態で売っていて、時短で調理できるし、900gぐらい入って数百円。しかも美味しいので、必ず我が家の冷凍庫に入っていますね。また業スー初心者さんには、油や調味料もおすすめです。国産メーカーが作っている商品も多いので、味も信頼がおけるしコスパも抜群!
ドン・キホーテのおすすめは、業務用ウインナー。量もたくさん入っていて、1本が太いので食べごたえもじゅうぶん。お弁当にも活躍します。それから、フルーツの缶詰もおすすめですね。2号缶という大きい缶に入っていて、そのままおやつにするのはもちろん、ゼリーなどにアレンジするのにも便利です。
味噌や焼き肉のたれも、ドンキでは有名メーカーの商品がディスカウントされていたり、あまり見かけないフレーバーのものが売っていたりするので面白いですよ!
我が家ではお買い物を週末にまとめてすることが多いので、冷蔵庫もパンパン。サブ冷凍庫もあるのですが、その中もぎっしり! 最近では、ハンバーグやシュウマイをまとめ買いしてあって、お弁当のおかずにも役立てています。
元気の秘けつは、仲良しな夫との晩酌
最近では料理家としてテレビに出演する機会もあり、とても忙しくさせていただいています。それでも、大変だ…とは、実はあまり思っていません。こんなに刺激的な毎日を送れることが幸せすぎます!
元気に過ごす秘けつは、夫との晩酌です。どうでもいい話をしながらめっちゃ飲みます(笑)。2人でワインを赤白2本開けてしまうことも。食の好みも似ているので、おつまみを作って、それを一緒に食べるのも楽しみで。きっと私、夫がいないと生きていけないと思います。
それに夫はすすんで家事をしてくれる人なので、本当に助かっているんですよ。日々の生活でも、私はほとんど洗濯物に触ることがありません。むしろ私が干すと、「形が崩れる」と怒られるぐらい(笑)。
私は料理や掃除担当で、夫は洗濯やゴミをまとめる担当。子どもはお風呂掃除の担当です。子どもたちも大きくなってきたし、生活力をつけてもらいたいので、家事に参加してもらっています。
朝食も、我が家はおのおの好きなものを作るスタイル。私が朝が苦手なのでボーッとしていると、ふと気づくと子どもが卵焼きやオムライスを作っていたり。お昼は夫と2人で食べることがほとんどですが、1回のおかずを150円~200円ぐらいに抑えて、その分、夕飯にしっかり食費を使えるようにしています。
家にある身近な材料を使ったレシピがモットー
Nadia Artistになったのは、Instagramで料理の発信をしている方が続々とArtistになっており、「どんなサイトなのかな?」と覗いたのがきっかけです。
レシピを考案するときのこだわりやモットーは、たいていのおうちにあるような身近な調味料を使うこと。また「こだわりのレシピ」よりも、帰宅後に冷蔵庫のありあわせで作れるようなレシピを意識しています。その方がより、ユーザーさんの日常に寄り添えると思っているので…!
これからは、難しくないけど華やかに見える「ごちそうレシピ」にもチャレンジしていきたいですね。今後の目標は、いつか表彰されるようなArtistになること。そして、いずれ2冊目の出版も目指しています!
Nadiaのみなさんのアットホームな雰囲気が大好き!
Nadiaのみなさんは、いつも私たちを手厚くサポートしてくださって、本当に感謝しています。社員のみなさんのアットホームな感じも、とても大好きです。私も少しでもお役に立てたらと思っています。
Nadia Artistを目指している方も、人生は1回しかないからこそ、思い切ってチャレンジしてほしいなと思います。私も最初はへっぽこな料理写真でしたが、編集長が優しく厳しく導いてくださいました。
最後にユーザーのみなさまへ。いつもレシピを見てくださってありがとうございます! レシピを検索したときにたくさんひっかかるように(笑)、これからもがんばってレシピをアップしていきます。毎日「何作ろうかな…」と悩んでいる方のために、「こんな材料の組み合わせ、ありなんだな!」という驚きも、一緒に届けられたらと思っています。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
ラッコママ's profile
1982年生まれ。熊本県在住。3人の男の子を育てる、フルタイム勤務のワーママであり経営者。子どもも大人も満足できる、おかずやおつまみのレシピが得意。業務スーパー、ドン・キホーテなどの商品を活用した節約レシピが人気で、著書『ドンキ・業スーの達人! ラッコママの頑張らない時短・節約おかず』(宝島社)も好評発売中。
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