料理はアートの延長上にある

小学生のころ、母の作る料理が美味しくて「どうやって作るの?」と聞いたことがあったんです。でも、母はどういうわけか、「自分が美味しいと思うように作ればいいのよ」と教えてくれなくて。
しかたがないので「自分が美味しいと思う料理って?」と考えながら、冷蔵庫をあさって自分なりに味付けをして作るようになりました。シチューを多めに作ったときには、いつの間にか家族が食べて鍋が空になっていたり。友達が遊びに来たときには、おやつ代わりに炒飯を作ったり。だんだんみんなに褒められることが増え、「自分の料理は美味しいのかな?」と思うようになりました。
もともと手作業や工作は好きで、子どものころは工作番組を見ながら自分で材料を集めて作ったりもしていました。だから料理はその延長という感覚ですね。

大人になっても勉強するのは大好きで、例えば経済、法律、芸術など興味があるものは納得できるまで追求していました。興味が出たら自分なりに考えて結論を出して、次の興味が湧いたら知的好奇心が赴くままにそちらに行く。それが漠然と自分の中に積み重なっていって、料理をしていてもところどころで顔を出してくるんです。
そういうものが、私が思うアートの本質。たぶんアート的な欲求というのはどんな人間の中にもあるもので、睡眠欲や食欲だけでなく、もっと深いところで自分の存在を証明したいという欲求がある。それが私の場合は、料理を通して出てきているのだと思います。
料理は思いを伝える手紙のようなもの

本格的に料理をするようになったのは、誰かへのプレゼントとしての料理に変わったときから。普段、自分が食べているのは、サラダやゆで卵、バナナなど、ほとんど素材のまま(笑)。これが誰かのために料理をするとなると、「美味しいものを作ってみせる!」と、心が沸き立ちます。そして味や見た目、細かい所にも気を配り、想いが込められた作品になっていきます。
言葉ではないけれど、料理はお手紙。料理を通じて、心の会話が始まります。そして対話から場が生まれ、命の広がりが生まれます。こんなにすてきなことはないですよね。
ひと手間かけた長いレシピが自分の持ち味

レシピを考えるときは、私の場合は「絵」が先行することが多いです。普段の生活のなかで美味しそうな料理を前にしたとき、「自分ならどう作る?」と考えます。それをベースに、アレを入れよう、味は中華にしよう、という風にレシピを膨らませていきます。
レシピを書くときに心掛けているのは、信頼のあるレシピを作ること。せっかく作ってくださっても美味しくできあがらなかったらご飯が台なしですから、調味料の組み合わせや分量には細心の注意を払っています。「リピしたい!」と言われるような、信頼されるレシピを作り続けたいし、それがすべての基本だと思っています。

そして私のレシピは、ひと手間が美味しいレシピですので、レシピの文章もひと手間多いです…! 料理の美味しさはレシピでは表しにくい「塩梅」でも変わってきますので、その点もポイントとして書いて、誰もが美味しく作れるように気を付けています。
豚薄切り肉の焼き方を例に挙げると、「裏返したらふたをして、弱火で2~3分蒸し焼きにし、肉が蒸されて表面に脂がじんわり出てきたらOK」と、直感的に分かりやすい書き方にしています。鍋のふり方、絶妙な火加減、加熱時間など、状況は毎回微妙に違うので、塩梅って大事なんですよね。
もちろん「短い方がわかりやすい」という意見もありますが、そういうレシピが得意な料理家さんは多くいらっしゃるので、自分は長くてもいいかなと(笑)。シンプルなレシピはほかの方におまかせして、私はひと手間あるけど美味しいレシピを紹介していこうと思っています。
レシピのコメント欄に、詩や小芝居風のやりとりを書いているのも私のこだわりです。おじいさんやお姉さん、いろいろなキャラが一緒に住んでいる設定で、それぞれが会話をしているような口調で味の特徴を紹介しています。ズラズラと長文で書くよりもわかりやすいし、楽しみにしてくださる方もいるようです。

盛り付けで心掛けているのは、躍動感や臨場感。イメージしているのは、作りたてを豪快に皿に盛って出てくる「町中華のおかず」。写真撮影では自然光ではなくライトを使って照りが強調されるようにし、構図も寄りにしてシズル感を出すのが好みです。
特に食欲をそそる料理の照りツヤ感には気を遣っており、表面が乾燥しないよう、盛り付けてから1分以内に撮り終えるようにしています。煮物などはじっくりと撮れますが、炒め物は盛り付けも一発勝負なので大忙しです。微妙に高さや向きを変えながら100枚ぐらい一気に撮ってそこからレタッチするのですが、美味しそうに撮れるかどうかは、半分は運ですね(笑)。
Nadia Artistになったことで自信がついた

Nadia Artistに応募したきっかけは、もっと本格的にレシピを発信してみたいと考えたからです。数あるレシピサイトの中でも、料理のクオリティーが高く、すてきな料理家さんたちがたくさん所属しているNadiaに魅力を感じ、応募してみようと思い立ちました。
しかし私には何の経歴も資格もなく、YouTubeをかじったくらい。何ごとも経験だと思い、ダメ元でNadiaの審査に応募しました。一度目は通らなかったのですが再審査で通ることができ、Nadia Artistになることができました。
Nadiaを作ってくださった葛城社長、そして何者でもない私の将来性を買ってくださった黒澤編集長の期待に応えたい、Nadiaに貢献したい、という思いも、今ではレシピの発信を続けるモチベーションのひとつになっています。

Nadia Artistになってからは、憧れのNadia Artistと名乗れることがうれしく、積極的にレシピを発信することができるようになりました。また、Nadiaのすてきな料理家さんたちとの勉強会やレシピ開発、メーカーの方々との交流も印象的です。普段会えないような有名な料理家さんと直接お話ができたり、メーカーの裏話が聞けたり、すてきなパーティーに参加したり、普段できないような体験をすることができました。
今後は、幸いにも人気になった「行列の定食屋さん」シリーズをメインの柱として続けていきたいと思います。もともと町中華を紹介するYouTubeを見るのが好きで、私も「もやしの中華炒め」のレシピを発信してみたところ、ポンと人気が出たんです。それまではどちらかと言うと丁寧に作ることを心がけていたので、自分の意識が変わるターニングポイントにもなりました。
https://oceans-nadia.com/user/743048/recipe/499963
愛と癒しを届けるキッチン🍀さんの一番人気のレシピは「行列の定食屋さんの🍚たっぷりキャベツと豚こまの生姜焼き🤩」。
みんな大好きなしょうが焼きに、少し焦がしたキャベツがどっさり。ぷるんぷるんの豚肉も絶品です。
新しいシリーズも、これから試行錯誤しながら見つけていきたいと思っています。洋食レシピも作ってみたいし、焼きりんごの甘~いフレンチトーストなどのスイートなおかずグルメシリーズ、コンビニにある材料を使った簡単コンビニグルメシリーズなども面白そうですね。

今年3月からコラム「愛と癒しを届けるキッチン🍀の「街角の味」をおうちで。」を連載中。
街角の美味しそうな料理をおうちで作れるワザを惜しげもなく披露してくれます。
Nadia Artistを目指す方へ「想いを込めた料理はきっと相手に届く」

Nadia Artistさんたちはみなさん仲が良く、すてきな方ばかり! もしそんなNadia Artistの一員になることができたなら、料理を通じて場が広がり、人生が豊かになると思います。私は料理の資格も経歴もまったくありませんでしたが、「Nadiaで発信がしたい!」という強い思いだけで応募しました。
Nadia Artistになってからも試行錯誤の連続でしたが、得意分野を見つけ、それを伸ばしていくことができました。料理が好きで想いを込めて作り続けていれば、いつの間にか新しい景色が見えてくるはず。Nadia Artistとして一緒に料理を作って楽しんでいきましょう!
最後に。料理とは、あなたの想いが詰まった作品です。その想いが料理という手紙になって相手に届きます。何も言わなくても目を閉じるだけで、相手との心の会話がはじまります。すてきな会話をしてくださいね。そしてすてきな広がりを創っていってくださいね。
~料理という手紙に想いをのせて~ 愛と癒しを届けるキッチン🍀より。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
愛と癒しを届けるキッチン🍀's profile

愛知県在住。家庭料理を中心に、独自の視点と直感で作る「本当に美味しいと思えるレシピ」を発信中。丁寧な解説と分かりやすい工程写真、いつもの料理を底上げするひと手間で、「誰が作っても美味しくなる」と幅広い層の支持を集める。ボリュームたっぷりの定食屋さん風おかずを中心とした「行列ができるシリーズ」が人気。
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