未経験のOLが料理の世界へ
料理をするようになったのは、大学に入ってひとり暮らしを始めたころから。でもそのころはコンロもひとつしかなくて、料理をちゃんと作れるような環境も整っていなかったので、必要があれば少しする程度でした。卒業後は金融関係の会社に就職したのですが、息抜きで料理教室に通ったり、テーブルコーディネートを習ったりするうちに、だんだんと食の仕事に憧れを持つようになったんですよね。そうは言っても、料理はあくまで習い事レベル。毎日料理をするようになったのも、結婚してからです。
もともと結婚後は、前の仕事もやめて専業主婦になる気満々だったんです。ただ、時間もできたことで、本格的に料理をするようになり、だんだんと食の仕事に携わりたいという想いが強くなって…。そんなとき、好きだった料理研究家の先生がアシスタントを募集しているのを知りました。未経験ながら勇気を出して面接を受けて、アシスタントとして働くことに。そこで少しずつ経験を積むことはできたのですが、次は料理家という仕事に興味をもつようになりました。そのためには基礎的なことも勉強しておく必要があると思ったんです。いろいろなサイトを探して、当時Nadiaで行われていた「Nadia Food Academy」を見つけて申し込みました。
Nadia Food Academyで意識が変わった
Nadia Food Academyとは、当時Nadiaで実施していた料理家養成講座のこと。料理写真の撮り方など料理家として必要なことを、一から具体的に教えてもらいました。「料理写真の撮り方」ひとつとっても、意外と奥が深くて「こうやって撮ったらより美味しそう」といった気づきがあり、自然と意識が変わっていきましたね。いろいろなジャンルについて教えていただいたので、これまで自己流だったところもひとつひとつレベルアップすることができました。
入った当初は私以外の受講生がすでに経験豊富な方ばかりで、実をいうと少し焦りもありました。でも、私にとってはすべてのことがはじめてだらけだったので、その分先入観なく取り組むことができたと思います。また、料理研究家さんのアシスタントやNadia Food Academyの受講を通して、頑張れば本当に料理を仕事にできるかもしれないと思い、本気で料理家を目指す決心もつきました。
Nadia Artistになって料理家の仕事の幅を知った
Nadia Food Academyを卒業して、すぐにNadia Artistになりました。名だたる企業のお仕事を任せていただいたときはうれしい反面、「そんなすぐに大きなお仕事に挑戦させてもらえるの!?」と驚いたのを覚えています。いつまでもアシスタント気分ではいられないな、と気が引き締まりました。大きなお仕事を任せていただけるのはうれしいし、すごく自信にも繋がりましたね。
Nadia Artistになって、企業とのタイアップレシピの開発やコラムの執筆、スタジオ撮影や料理イベントのアシスタントなど、いろいろなお仕事に挑戦させていただいて。「料理のお仕事ってこんなにいろいろあるんだ!」と、驚きつつも、ワクワクしました。
中でも楽しいと感じたのは、企業のレシピ開発のお仕事です。大学のとき、マーケティングの勉強をしていたので「この商品はどういった年齢層の方にどのように打ち出したいんだろう」とか、そういうことを考えてレシピを作るのが面白いなと思いました。
以前、企業主催の座談会で、企業の方と話す機会があったんです。企業の方って、やっぱりすごく商品に対しての想いがあるんですよね。そんな企業の方の考えに触れて、私もその想いに貢献できるようなレシピを考えられたらなと改めて感じました。レシピを通して、企業と消費者をつなげることって料理家にしかできないことですし、企業の方の話を聞きつつ「こういうアプローチもあるんじゃないか?」などと考えながらレシピを開発するのはやりがいを感じます。
ユーザーさんが喜んでくれることが励みに
料理家という仕事の一番の魅力は、まずは自分に近い家族に喜んでもらえることです。レシピの発信をする前に最初に料理を口にするのは家族だし、そこで「美味しい!」がもらえると、私にとっても大きな喜びになります。
また、NadiaやSNSのコメントを通して喜んでくださる方の声を知ると励みになりますね。特に今は育休中で、おうちでしか活動ができない状況。そんな中、携帯ひとつあればユーザーさんの声が聞けるのはとてもありがたいです。
育児から得た経験をレシピに活かしたい
プライベートでは、昨年出産したことで子ども中心の生活にがらりと変わりました。だから最近は、今しかない赤ちゃんとの生活をいかに楽しめるかを考えています。赤ちゃんとおでかけできる場所を探したり、絵本を手に取ってみたり。最近は離乳食も始まったのですが、私にとってはある意味、はじめて知る食の世界です(笑)。
今はまだ子どもも1歳未満で、日常に追われているということもあり、やはり時間をかける料理がどうしてもできない状態。料理を作る時間も限られているので、今まで以上に時短レシピの考案に取り組むようになりましたね。
また、子どもができて以前よりも頻繁に作り置きを活用するようになりました。作り置きレシピは、今後強化したいジャンルです。ただ、ひとつの作り置きを何日も食べ続けるのではなく、作り置きのアレンジレシピも提案していきたいですね。どんなに忙しくても、毎日おなじ料理だと飽きてしまいます。作り置きに少しアレンジを効かせて別の料理に変身させられたら、作る人にも食べてくれる人にももっと喜んでもらえるのでは? と思っています。育児から得た経験は、今後のレシピ作成に活かしていきたいです。
無理なく「美味しそう!」が理想
Nadia Artistとして心掛けているのは、たくさんの料理家さんがいらっしゃる中で、自分らしいレシピ・スタイリングを見失わないようにすることです。簡単に作れるレシピでも、「美味しそうに見える」というコンセプトは取り入れていきたいですし、スタイリングも自分の色を出していけたらと思っています。
テーブルコーディネートやスタイリングというと、特別なイメージを持たれるかもしれません。でも、食材を切るときにちょっとしたあしらいをするだけでも、ワンランクアップしたひと皿を作ることはできますよね。無理なく「美味しそう!」を実現できたら、食べてくれる人も喜んでくれるし、作った人もうれしくなります。NadiaやSNSのレシピに「盛りつけのポイント」について記載しているのはそういった想いからです。今後も、簡単だけど手抜きに見えない、料理の見た目にもこだわったレシピを発信していきたいと思っています。
Nadiaは、料理家としてスタートするチャンスを与えていただいた場所でもあります。自分のレシピ本を出したいというのがひとつの夢だったので、『Nadia magazine』に自分のレシピが掲載されたときは本当にうれしく思いました。これからも、レシピを通して人との繋がりも大切にしながら、Nadia Artistとしてユーザーさんに貢献できたらと思っています。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
※Nadia Food Academyは現在お休みしておりますが、Nadia Artistは常に募集しております(審査制となります)。料理家としての活動に興味がある方は、ぜひNadia Artistにご応募ください。
中井かな's profile
Nadia Food Academy1期生。「誰でもできる素敵な家庭料理」をモットーに、料理初心者の方、プレ花嫁さんや新米主婦の方でも作りやすいレシピを発信中。お花を使ったスタイリングや、モダン・エレガントなテーブルコーディネートが得意。
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