おいしい料理は、写真に撮っておいしさを記録し、伝えたいですよね。でも、どうやって撮ったらいいかわからないとお悩みの方も多いと思います。そこで、キレイでおいしそうな写真を撮るための、画面構成とスタイリングについてお話します。
料理をおいしくみせる4つの構図
①基本の「日の丸構図」
料理を画面のど真ん中に配置。これが「日の丸構図」です。
安定感のある基本の構図で、器や盛り付けもよく見えます。でも、よく見えるからこそ、ごまかしは効きません。料理をバランスよく美しく盛り付けましょう。
この写真では、里芋の六面剥きの形がポイントになっています。かぼちゃは、面取りの表情やオレンジの鮮やかさを見せることを念頭に、いろいろな面が見えるように盛り付けました。
②器を見切る構図
全体を画面に入れず、端で切ることを「見切る」といいます。器を見切ることでぐっと寄った画面になり、迫力が出ます。
この写真では付け合せのトマトを盛った左側を見切り、ガレットを強調。右側は器のラインを出すことで画面に奥行きを出しました。カトラリーとマグカップを置いてアクセントに。
③ローアングル
カメラをぐっと下げると奥行き感と迫力が出ます。カメラアングルを工夫すると、普段、食卓で見ているのとは違った料理の表情を捉えることが出来ます。
この写真では手前の1個を主役に、シューから覗くクリームを見せつつ、奥の2個をボカすことで空気感を出しました。
④余白を生かす
あえてぽつんと引いたアングルで、余白をたっぷり取るとおしゃれなゆるい画面になります。
スプーンとカップも器にあまり寄せずに、空間を生かしました。テーブルクロスの折り目も素敵なニュアンスになりますね。
料理が引き立つ器と背景
器は料理の着物、料理に似合う器を選べばぐっとおいしそうに見えます。僕が普段撮影に使っている器や背景を紹介します。
木のテーブル
アンティークショップで購入しました。使い込んだ木のテーブルは木目に表情が出て写真写りがよくなります。
和食器
土の味わいがいっぱいの和食器は料理をひきたてます。
作家物だと一枚一枚表情が違うのでじっくり選んで購入しましょう。買うのは1枚ずつでいいです。家族が同じ器で食事しなくても別にいいんですから。
いろいろな器を1枚ずつ揃えたほうが様々なバリエーションの写真が撮れます。
アメリカンアンティーク
ファイヤーキングやパイレックスなど、ミルクガラスの食器はカジュアルなおうちごはんにぴったり。カフェっぽいメニューだけではなく、時には和食を盛ってみるのもおもしろいですよ。
カトラリーたち
ナイフやフォークは、新品よりも使い込んだ物のほうが味わいがあっていいことも。木のカトラリーも味がでます。料理とのバランスが大事なので、いろいろな大きさや色を揃えておくのがおすすめです。
テーブルクロス
クロス類は生地屋さんでロールからカットしてもらい購入しています。撮影したときにトリミングできるので縁をかがる必要はありません。切りっぱなしで全然OK! 手ぬぐいやガーゼを背景にすることもあります。
実際に料理を盛り付けてみよう
和食器に中華料理
和食器を和食だけに使うのはもったいない。洋食や中華料理にもどんどん使っていきましょう。この写真では、パプリカの赤色が緑の器でぐっと引き立ちました。
スープは表情豊かに
表面がフラットになりがちなスープは、撮る前に一工夫。コショウを振ったりパセリを散らすと表情が出ます。スプーンで持ち上げて撮影すると動きがでますよ。ミルクガラスの器は光が透けてきれいです。
写真テクを身につけてかっこいい料理写真を撮ろう
スタイリングや構図などのいくつかのポイントを押さえることで、雑誌のような料理写真が撮れるようになります。もっと詳しく知りたい方は 『いつもの料理に撮るたのしみを 作って撮る ごはんと写真』(日本カメラ社/本体1600円)をチェックしてみてくださいね。
自分で作った料理の写真をおいしそうに撮りたい人のための本です。料理写真の撮り方の基本と、考え方、捉え方を、カメラだけではなく調理、盛り付け、スタイリングにまで踏み込んで解説しています。実際に料理をする時、撮影するときのヒントやアイデア満載のレシピ本です。
※写真、テキストは『いつもの料理に撮るたのしみを 作って撮る ごはんと写真』(日本カメラ社)¥1,600(税抜)より抜粋