ワインのワの字も知らない私と、ボジョレー・ヌーボーの出会い
「ボジョレー・ヌーボー」。初めてこの名前を聞いたのは、20年ほど前の事である。テレビのニュースや飲食店、酒屋のポップなどで「ボジョレー・ヌーボー解禁」などのフレーズを目にしつつも、社会人数年目、一人暮らしは使うお金も限られている。
当時は20代前半で、お酒をたしなむ場所といえば居酒屋か、ちょっと背伸びしてダイニングレストラン。選ぶお酒はビールや当時流行っていたカルーアミルク、ソルティドックなどのいわゆる“女子カクテル”だった。
一方、ワインについてはほとんど何の知識もなく、なんとなく大人になった気分で飲んでみるか、クリスマスやバレンタインなどの特別な日にお買い得なハウスワインを買うか、それくらいだった。
ワインの良さなんて全然分からないお年頃の私でも、この「ボジョレー・ヌーボー」というフレーズは何だかキャッチーで耳に残った。「解禁!」と言ってお祭り騒ぎになるくらいだから、さぞ美味しいワインなんだろうと勝手に想像していたものだ。そんな私に、ついにボジョレー・ヌーボーを手にする機会がやってくる。
ついに手にしたボジョレー・ヌーボー、初めての味わい
ボジョレー・ヌーボーの解禁日は、11月の第3木曜日と決まっている。11月も半ばを過ぎれば、年末に向けて忘年会シーズンだ。この頃はクリスマスを兼ねての忘年会が流行っていて、忘年会の最後にプレゼント交換のコーナーが設けられていた。ここで、私はボジョレー・ヌーボーに出会うのである。
解禁日のタイミングもあり、見栄えや雰囲気もよく、ちょっと素敵なプレゼントとして選ばれていたのが、ボジョレー・ヌーボーだった。なんとこのプレゼント交換で、あのボジョレーが私の手に回ってきたのだ。
これが、噂のボジョレー・ヌーボーか。あれだけ話題になるのだからさぞかし美味しいんだろう。そんな期待をしつつ、飲むことにした。話は戻るが、ワインについては何の知識も持っていない。用意したのはグラスとワインだけ。もちろん、おつまみもない。これが、実に大きな失敗だった。
ひとくち飲んだ瞬間の感想は、「薄っ!」。まるでブドウジュースみたい。あんなに話題になっているのに、美味しさを全く感じなかったのである。
そもそも、ボジョレー・ヌーボーとはどんなワインなのか
私は今年で43歳。同年代の友人との食事でもワインを飲む機会が増え、料理の仕事ではワインを意識した課題などもある。年齢を重ねると同時に、少しずつワインというものに興味を持つようになった。
当然、ワインに合う料理となると、そのワインが持つ特徴などを勉強する必要があるのだが、ここでボジョレー・ヌーボーの“真実”を知ることになったのである。できることなら、タイムマシーンに乗って20代の私に伝えたい。
ボジョレー・ヌーボーについて調べているうちに、初めて飲んだ時に感じた謎が解けたのだ。「ボジョレー・ヌーボー」とは、フランスのブルゴーニュ地方ボジョレー地区で作られるワインの新酒(ヌーボー)であること。毎年大量にワインを購入するバイヤーが、その年の購入量を決めるための指針として、その年のブドウの出来の良し悪しを確認するための試飲酒とされていること。そのため、短期間でワインとして完成させていること。
通常のワインの場合は2、3年熟成させて出荷されるが、ボジョレー・ヌーボーは2、3ヶ月で出荷するためタンニンが少なくなる。そのため、その味わいは渋みや苦味が少なく、フレッシュ&フルーティであることが特徴的だ。
そう、本来は「薄っ!」ではなく、「ライトでフレッシュなワイン」だったのである。20代の私のたしなみ方が大間違いだったのは言うまでもない。人生初のボジョレー・ヌーボーを無駄にしてしまっていたのだ。
フレッシュなボジョレー・ヌーボーは、軽めの料理に合わせて
渋みが少なく、ライトでフレッシュな味わいのボジョレーには、前菜系や魚介のマリネ、生ハム、チーズなど、軽めの料理と相性がいいと言われている。ガッツリ系やボリューム感のある料理だと、ワインが負けてしまうのだ。
当時そのことを知っていれば、美味しく味わえたのに……私自身も無念だが、あの時のボジョレー・ヌーボーだってきっと無念に思っているだろう。
収穫に感謝!今年のワインを楽しむ、お祝いの日の料理
【サーモンのグリルブルサン添え】
ライトでフレッシュなボジョレー・ヌーボーに合わせたいのは、新鮮なミルクの味わいが特長のブルサンプレーン。
素材そのものが持つシンプルな美味しさが、できたてのボジョレー・ヌーボーのフレッシュ感を引き立ててくれる。料理の素材もシンプルに、サーモンをベースに季節の野菜のグリルを添えて。
ブルサンとボジョレー・ヌーボーでブドウの収穫と新しい年のワインを祝い、今年のブドウの出来を占ってみてはいかがだろうか?
くわしいレシピはこちら
●『ワインに合うお料理|【サーモングリルのブルサン添え】』
みなさんもブルサンを使ったお料理を作ったら、「#アンビリーバブルサン」のハッシュタグをつけてSNSに投稿してくださいね!
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今回お話を伺ったNadia Artist
料理家/料理Youtuber SHIMA
編集協力:ベル ジャポン株式会社