家族を喜ばせたいという想いがモチベーションに
料理を始めたのは、中学生のころ。両親が共働きで遅くまで働いていたので、少しでも力になりたいと思って、家族のために夜ご飯を作り始めたのがきっかけです。夜ご飯を作った日は、家族が「ご飯ができてるの? 助かる~!」と喜んでくれて。そうやって褒めてもらえるのが、とてもうれしかったのを覚えています。
高校に入学してはじめてのアルバイトは、ビュッフェレストランのキッチンでした。とても忙しい現場だったのですが、キッチンを支えていくという感覚が楽しくて。高校1年生でアルバイトを始めて、3年生になるまでずっと同じレストランで働いていました。
もともと、子どものころは美容師になりたいと思っていたのですが、家族に喜んでもらえた思い出や、アルバイトでの経験もあって「私、料理のほうが向いているな…」と思うように。ちょうど進学を考える時期だったので、高校卒業後は調理師とパティシエの専門学校へ進みました。専門学校ではふぐの調理師免許も取ったのですが、なかなか使う機会はありませんでしたね(笑)。
SNS発信は、コロナ禍がきっかけ
専門学校卒業後は、ホテルのレストランに就職しましたが、カルチャーが合わずすぐに退職。その後は、10年ほど小学校で給食調理を担当しました。1000人規模の学校だったので、ものすごく大きな鍋をかき混ぜたり、ひとりで1000人分のサラダを担当したり、本当にいい経験になったと思います。子どもたちも、給食を取りに来るときに「今日の献立、なにー?」と聞いてきてくれたり、「この間の給食、美味しかったよ」と伝えてきてくれたり。それがうれしくって、いつも子どもたちの笑顔を思い浮かべながら、給食を作っていましたね。
ところが、2〜3年前からコロナ禍が始まって状況も一転。学校給食を作る機会も激減しました。これまで普通にコミュニケーションが取れていた子どもたちと話す機会も減り、「子どもたちの喜んでいる姿」が見えづらくなってしまいました。そんなとき、もっとほかの形で、たくさんの人に楽しい食事の時間を届けたい、誰かに喜んでもらいたいという気持ちが強くなってきたんです。
実は、給食調理をしているときから、「忙しくて、ご飯を作る時間がない」「食卓のレパートリーが少ない」などの悩みを聞く機会がたくさんあって。私自身、料理を始めたきっかけが、忙しく働く母を助けたいという想いからだったので、そういった意見は心に響くものがあったんですよね。それで、自分がレシピを発信したら「もっと多くの人の役に立てるかな?」と思い、SNSでのレシピ投稿を始めました。
Nadia Artist向け写真講座で写真への苦手意識も克服
SNSでレシピ投稿を始めた当初、写真の腕を磨きたく、いろいろな料理家さんのレシピ写真を参考に見ていました。そういった中で「すごい!」と尊敬する料理家さんがこぞってNadia Artistとして活動されていたんです。Nadia Artistの先輩方の活躍を見るたびに、憧れの気持ちが強くなり、Nadia Artistへ応募しました。実は、1回目の審査は落ちてしまったのですが、そのとき、Nadia編集部の方から写真のアドバイスをいただいたんです。2回目の審査では、そのアドバイスを反映させて、合格することができました。今はNadia Artistとして活動していることをとても誇りに思っています。
Nadia Artistに登録したばかりのころは、写真に苦手意識があったので、とにかくきれいに撮影することを意識していました。でも、まだまだ自信がなくて…ターニングポイントになったのは、Nadia Artist向けの写真講座。とても丁寧で分かりやすく、講座を受けてからは使用するカメラを変えたり、勉強しながら撮影したりするようになりました。写真講座を受けたおかげで、写真を撮ることへの苦手意識も薄れ、SNSのアクセス数も劇的に伸びるようになったんです!
SNSを続ける喜びは、「美味しかった」「家族が喜んでくれた」などの声が届くことです。少しでも役に立てた! と思えることがやりがいであり、私の原動力でもあります。
時間がない人でも作れるレシピが基本
レシピを発信するときのモットーは、「忙しい人に寄り添うレシピ」。忙しいと、買い物に行くのも大変ですよね。そんなときでもおうちにある食材で作ってもらえるように根菜類や缶詰など日持ちする食材を使ったり、無駄な工程はとことん省いたり、忙しい中でも「これなら作れそう!」と思ってもらえるような時短・簡単レシピを心がけています。
スタイリングのコツは、彩りを意識すること。食材に緑黄色野菜を使ったり、食器や小物、観葉植物などを取り入れたりして工夫しています。明るい印象のレシピ写真は、パッと見て「美味しそう!」と思ってもらえるので、こだわっているポイントです!
レシピ本を出版し、料理家としての自信がついた
2022年の10月には初のレシピ本を出版しました。SNSのフォロワーさんが順調に増えてきたタイミングで葛城社長からお声がけいただき、話を伺うと必要な品数はなんと約180品! しかも、すべてが自分での撮影! 当時は、まだ給食調理の仕事をしていたこともあり、とても仕事と並行できる規模ではないと感じたのが率直な感想でした(笑)。
正直、本が売れるという自信はなかったのですが、葛城社長とお話させていただくなかで、不安な気持ちから、料理家一本で挑戦してみたい! という前向きな気持ちに変わって。レシピ本の出版に専念するため、思い切って給食調理の仕事を退職しました。
レシピ本に入れる内容は、時短・簡単なメニューはもちろん、やみつき系の味付けにもとことんこだわりました。また、すべてのレシピの主材料を3つ以下に絞っていることもポイントです。そのほか、一品で完結するどんぶりものや麺料理、もう一品欲しいときにぴったりのレシピなど、たっぷり177品を盛り込みました。特に材料3つで作るスイーツのパートは、自分でも本当に頑張ったと思います(笑)。
当初は、レシピ本は春出版の予定だったのですが、私の生活環境を踏まえて出版時期などをずらしていただき、私の負担が少ないようにとご尽力いただいた葛城社長には感謝してもしきれません。また、出版を通して、多くのフォロワーさんからも温かいお言葉をいただき、自分がやってきたことが無駄ではなかったのだと改めて感じることができました。そして、こんな私を支えてくれた関係者のみなさま、SNSを通して知り合った活動仲間、家族や友だちの存在の大切さについても改めて気づくことができ、これからの活動の糧になりました。
忙しい人に寄り添うレシピを発信したい
今後は、どんぶりものやおかずスープなどの一品で完結する料理を特化していきたいです! 料理を始めたのが、家族が忙しかったからというのもあり、子育て中だったり、働いていたりと、忙しい環境の中にいる人たちから「簡単に作れてうれしい!」や「美味しかった!」という声が届くのが、なによりもうれしくって。どんぶりものや麺、おかずスープなどの、一品で満足できるような料理は、パパッと作れるので、忙しい人からも人気なんです。忙しい人に寄り添いたいという想いから、そういったジャンルをこれからもっと強化していきたいと思っています。
Nadiaのみなさんは、対応がとにかく丁寧。営業アシスタントさんは、私のパソコンの仕様に合わせて資料を作成してくださったり、きめ細かいスケジュールの管理をしてくださったりしていて、本当に頼りになります。写真が苦手だった私に、カメラの使い方をはじめ、写真に関するほとんどの知識を教えてくださったのもNadia編集長です。こんなにも、料理家に寄り添ってくださる企業はなかなかないと感じています。
レシピ本を出版したり、大型案件に携われたりと、私がここまで来れたのも、Nadiaの存在があってこそです。だからこそ、料理家仲間にも自信を持ってNadiaをおすすめできるし、自分で推した以上、Nadiaと一緒に成長していかなければと思っています。これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
maki(まき)'s profile
調理師・パティシエの専門学校を卒業後、保育園や小学校給食のお仕事に携わる。10分以内で作れる「幸せごはん」、材料2つからできる「本格スイーツ」など、数々の人気レシピを制作中。2022年10月に初のレシピ本『makiの胃袋泥棒レシピ』を出版。現在、HPmakiの簡単時短レシピも運営中。
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