料理を始めたきっかけは家族を元気づけるため
本格的に料理を作るようになったのは、2015年ごろ、家族が体調を崩したことがきっかけです。「僕の手料理で、少しでも元気になってくれれば…」と思い、レシピサイトに掲載されているレシピを参考にしながら、料理を作るようになりました。
それまでは料理をすることはあっても、ウインナーと玉ねぎを炒めたり、市販のパスタソースでパスタを作ったりするぐらいの簡単なもの。基本的に、市販の合わせ調味料に頼っていて、回鍋肉(ホイコーロー)が家にある調味料で作れる、と言われてもイメージがつかないくらいだったんです(笑)。
レシピサイトを参考に一から料理を勉強
最初は、まったくの料理初心者だったので、「玉ねぎの切り方」を調べるところから始めました。レシピサイトから、人気のレシピを参考にいろいろなものを作って、経験を積んで、自分なりにこうしたほうがいいんじゃないかと調味料を組み合わせるようになって…。ほとんど実験みたいな感覚ですね(笑)。そうしたら、自分でどんどんアレンジできるようになったのが楽しくて、レシピを見なくても作れるようになっていったんです。
自分なりの配合を見つけたときに、また作るときのために調味料をメモにとるようになったのですが、自分にとってはそれが「レシピを書く」という行為の始まりでしたね。そのうち調理メモもいっぱいになってきたため、どこかにまとめたいと思い、自分でもレシピを投稿するようになりました。
Nadia Artistに応募したきっかけもSNS
はじめ、レシピの投稿はNadiaとは別のレシピサイトで発信をしていたのですが、よりたくさんの方々にレシピを届けられたら…という想いが生まれて、InstagramやTwitterなどのSNSも始めました。Nadia Artistに応募したきっかけも、実はSNSなんです。SNSを見ていたというNadia編集部の方に「審査を受けませんか?」と声をかけてもらい、小躍りするくらいうれしかったのをよく覚えています(笑)。同じNadia Artistの方々とも、SNSを通じて仲良くさせていただいています。
NadiaやSNSでレシピを発信することの喜びは、フォロワーさんとの距離の近さ。さまざまな感想をもらったり、料理を軸にコミュニケーションが取れるので、すごく楽しいです。レシピを作ってくださった方からのメッセージには、いつも元気づけられています。ただ、文章を書いたり、何かを伝えたりするのが大の苦手なので、料理の説明を考えるのに最初はすごく苦労しました。今では多少伝えられるようになったのですが、「美味しいですよ~! お肉がね…本当に美味しいんですよ~!」とか、最初はそんな感じで壊滅的だったんです(笑)。
受け取り手をイメージすることを意識
現在は主にレシピの開発やSNSでのPR、たまに写真の提供などもさせていただいています。この仕事の魅力は、やっぱり食に囲まれること。もともと食べるのが好きなので、このうえなく幸せです。
レシピを開発する際のポイントは、受け取り手をイメージすること。料理を始めたばかりの方でも作りやすいように材料や調味料をセレクトしたり、たとえば「練りごま」など常備していなさそうなものを身近な物で代用できないか考えたり。
また、今は忙しい方も多いので、調理工程も「この工程は不要かな?」という所を探して、できるだけ簡略化するようにしています。意外とこういう点を考えるのが難しかったりするのですが、受け取り手のことを考えて、しっかり目を向けていきたいです。
料理をする上でのモットーは、あくまで「楽しく気楽に」。僕の性格もあると思いますが、ガチガチに「いいレシピを作るぞ~!」と気合い100%で作ったレシピより、日常の中でふと作るレシピの方がすごく人気があったりするんですよね。できるだけひと呼吸おいて、笑顔を忘れず、楽しく料理に取り組もうと心がけています。
Nadiaでは工程写真にもこだわりが
Nadiaでレシピを紹介するときには、工程写真付きで分かりやすいレシピ作りを大切にしています。僕がまだ料理初心者でいろいろなレシピのお世話になっていたときも、工程写真がないと、きちんと作れるか少し不安だったんですよね。
以前、フォロワーさんから「涙が出るくらい嫌いだった料理、レシピが工程写真付きで分かりやすかったので、私でも美味しく作ることができました!」といったコメントをいただいたときは、本当にうれしかったです。そういう意見をいただくと、これからもできるだけ工程写真を付けてレシピを紹介したい、と改めて思います。
また、今後強化していきたいジャンルは「ズボラ飯」や「ワンパン料理」。人気も高くアクセスも多いので、もっと品数を増やせたらいいなと思っています。最近は少しお腹の出っ張りも気になってきたので、個人的には「痩せ飯」レシピにも挑戦していきたいです(笑)。
Nadiaのお仕事ではラジオ出演も!
Nadiaでは、レシピ開発のほか、コラムの執筆など、いろいろな仕事を経験させていただいています。中でも印象的だったのは、ラジオ出演。僕の人生の中でもトップ3ぐらいの大きな出来事です。
お米をPRするお仕事で、自宅からの出演だったのですが、本当に緊張してしまって…。人生で一番ドキドキしたというくらい心臓の音がすごかったです(笑)。Nadiaでは、料理家としていろいろな仕事を経験させていただき、感謝です。
ガッツリ味付けのレシピ本も出版
2022年にはレシピ本『がっつりやみつき!今日のおうちごはん!』も出版させていただきました。本のテーマは、タイトルに「がっつりやみつき」とあるとおり、これでもか! と言わんばかりの肉料理やガッツリ系のおつまみが中心です。副菜もほっこり系よりパンチの効いたものが多いですね。
葛城社長からメールをいただき実現したのですが、「レシピ本を出してみたい」という夢があったので、とにかくうれしくてうれしくて。「これは夢じゃないよね? 今、ちゃんと起きてるよね?」としばらくふわふわしていました(笑)。撮影中も、はじめてのことだらけで、常に頭がパンクしている状態。編集の方にいろいろと助けていただきながら、なんとかやり遂げることができました。
本を出版した後は、料理家としての決意がより強くなりました。新たな課題もたくさんで、日々悩んでいますが、よりいいレシピができるように頑張っています。
常にユーザーを考えられるNadia Artistでいたい
これからの目標は、Nadiaユーザーのみなさんに親しんでもらえるような身近な存在のNadia Artistになることです。調味料や調理器具を手軽には買えない方もいるし、キッチンの大きさやコンロの数など、いろいろな制約がある方もいます。だから僕は、身近な物を使って簡単で分かりやすく、いろいろな悩みに寄り添えるようなレシピを提案したい。僕は料理学校で学んだこともないし、飲食店で働いてもいないし、もともとレシピを必要としていた人間です。だから、常にその立場に立った料理家でいたいと思っています。
編集部の方、営業部の方含め、僕を料理家にしてくださったNadiaのみなさんには言葉では足りないくらい本当に感謝しています。料理家もやはりお仕事なので、いいことも辛いことももちろんたくさんあります。自分らしさを見失うときもありました。そんな悩みにも気付いてくださり、一緒に悩んでくれる優しい方々ばかりで、いつも勇気をいただいています。
たくさんお世話になったことを、いつか少しでも返せるように、まだまだ頑張っていきます。みなさんいつも本当にありがとうございます!
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
今日のおうちごはん!'s profile
家族が体調を崩したのをきっかけに、料理の勉強をはじめ、料理家に憧れて2018年からレシピ投稿開始。「酒好き料理家の優勝レシピ」をコンセプトに、ご飯もお酒もすすむ簡単肉料理を中心におうちごはんを発信中。
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