食材こそが一番の薬!身近にたくさんある薬膳食材
「薬膳」と言うと、「生薬を使って、時間をかけて作るもの」というイメージがあるかもしれませんが、本当の薬膳はとっても身近なもの。例えば、しょうがやネギなども薬膳食材なんですよ。
もともと薬膳は、食べ物で人の体のバランスを中庸(ニュートラル)に整えよう、という考え方のもの。バランスがとれていれば、病気にならないし、薬もいらない。食材こそが一番の薬だ、というのが本来の薬膳なんです。
今回は、春から夏にかけておすすめしたい身近な薬膳食材をご紹介します。
気・血・水の巡りを改善してくれる「シソ」
シソには体を温める効果と発散作用があり、免疫力をアップしてくれます。またアレルギー症状の緩和効果も。
そのほか、冷えからくる胃腸の不調を改善したり、香り成分には胃液の分泌を促進する効果もあるので、消化不良対策や食欲促進効果も。
抗菌効果があるため、これからの時期はお弁当のご飯に混ぜたり、薬味として魚に添えるのもおすすめです。
ちなみに、青しそより赤しその方がより作用が強いと言われています。
疲労回復には「梅」を!
梅は、食べ物の消化吸収を助け、エネルギーを補うので、疲労回復時におすすめ。
「肝」の機能を調整し、血のめぐりをよくする。「脾」と「大腸」を整え、腹痛、腹下し、胃の不快感などのトラブル改善に。過剰な発汗を抑えたり、夏場の喉や口の渇きを癒すので夏バテ予防に。殺菌作用があるので食中毒予防にも、など、たくさんの効果があります。
中国では、青梅を真っ黒になるまで燻蒸したものを「烏梅(wu-mei)」と呼び、お腹の調子が悪い時や熱さましに使うなど、民間万能薬として知られています。
日本でも、梅干しの黒焼きは昔から腹痛や風邪のお手当てとして親しまれていますよね。
ちなみに、青梅は生で食べると毒があるので、必ず梅干しや梅酒、梅ジャムなど加工したものを利用してください。
低カロリーでデトックス効果のある「冬瓜」
冬瓜はほとんどが水分で、低カロリー。ビタミン類も少ないですが、体に溜まった余分なものの排泄を促すので、食べ過ぎ飲み過ぎが気になる方におすすめです。
薬膳的には、「肺」の機能を助けて水と気の巡りを改善(薬膳で言う「肺」は体の水分調節機能をする臓腑です)。利尿作用があり、むくみを解消。体や頭の熱を冷まして喉の渇きを癒す、などの効果があります。
皮や種、わたの部分を干したものは中薬としても用いられ、むくみがひどい時や尿の出が悪い時などに、煮出してお茶やスープとしていだたくことも。
肌の新陳代謝を促し、美肌効果が期待できる「ハトムギ」
ハトムギは薏苡仁(ヨクイニン)と言う中薬で、解毒作用や利尿作用があることから、古くからイボの治療に用いられてきました。
中国では、シミや美肌対策にハトムギの煎じ汁を飲むそうです。ご飯を炊くときにお米に混ぜて炊いたり、ハトムギでお粥を作ったり、スープの具にしても。ゆでるとプチプチ感が楽しいので、サラダにもおすすめです。
丸ごとのものは加熱に時間がかかるので、ひき割りタイプがおすすめ。もっと手軽に毎日取り入れたい方はハトムギ茶もいいですね。
※注意点:妊婦さんはハトムギの摂取は控えてください。
夏バテ予防、冷え対策に「とうもろこし」
とうもろこしは、夏場の主食代わりにおすすめ食材です。
糖質をエネルギーに変えるビタミンB1、2が豊富で、夏バテ予防になります。また、血の巡りをよくしてくれるので、冷房による冷えすぎが気になる方の冷え対策にもおすすめです。
また、利尿作用があり、体にこもった余分な熱を冷ます効果や、食物繊維が多く、便秘解消にも効果的と、いいことづくめの食材です。
ちなみに、とうもろこしのヒゲを干したものは中薬として使われ、お茶としても売られています。実の部分より利尿作用が高く、特にむくみが気になる方におすすめです。
いかがでしたでしょうか。
薬膳ではすべての食材がお薬! 旬のものや自分の体調に合ったものを選べば、それだけで毎日の食事が薬膳になります。
今回は初夏から夏にかけておすすめしたい食材をピックアップしました。これらを参考に、旬の食材、地元で採れたものをいただいて、簡単、ヘルシーな薬膳ライフを楽しんでくださいね!