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    • 公開日2016/10/23
    • 更新日2016/10/23

    煮物がぐんとおいしくなる!ブリの下ごしらえ

    脂がたっぷりのった赤身魚・ブリ。成長するごとに名前が変わる出世魚で、イナダ、ワラサ、ハマチなどはすべてブリに成長する前の呼び名だって知っていましたか? 秋から冬にかけて、天然、養殖ともに旬を迎えるブリをおいしく調理するために大切な下ごしらえのポイントを、おさかなマイスターの資格も持つ料理研究家・高橋善郎さんに教わりました♪

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    煮物がぐんとおいしくなる!ブリの下ごしらえ

    料理をおいしくする主な要素は脂と砂糖なので、やはり脂ののったブリを選びたいもの。他の魚同様、ブリの脂が多いのは栄養を蓄えている産卵期前となります。ブリの産卵期は3月〜5月頃のため、12月〜2月が旬の寒ブリが最もおいしいとされるのも納得ですね。

    ブリを選ぶ時は光沢、透明感があり、黒ずんでいないものを選びましょう。また、なるべくドリップの少ないものを選びましょう。冷凍モノも多く出回っていますが、水揚げ後、すぐに冷凍されているものも多いので、冷凍=鮮度が悪いと決めつける必要もありません。

     

    このひと手間で味に差が出る「霜降り」

    煮物、和え物などにブリを使う時に行うのが「霜降り」。塩をふってから霜降りをすることで、魚の臭みをとり、味をなじみやすくするための下ごしらえです。このひと手間を加えることで、味にぐっと差が出ます! わずかな時間でできるので、ぜひ覚えておきましょう!

     

    [手順1]塩をふる

    下味をつけ、水分を出すために塩をふります。まず、バットに塩を敷いてブリの切り身を置きましょう。こうすることで片面にはしっかり塩がつき、ブリを裏返す必要もなくなります。

    次に見えている面に塩をふりましょう。塩は多めにつまみ、高い位置からふることで切り身全体に均一に行き渡ります。表面にうっすら粉雪がかかっているぐらいでOK。使用する塩の量はブリの重量の1%ぐらいを目安にしましょう。

    この後、常温で30分ぐらい置きます。こうすることで魚が汗をかき、余分な水分が出てきます。お刺身の「甘鯛の昆布〆」を作るときにもこのように塩をふり、下味をつけ余分な水分を抜くことで、昆布で締めてから美味しいお刺身に仕上がります。

     

    [手順2]熱湯に通す

    塩をふったブリは熱湯に通します。この作業によって表面のぬめりや生ぐさみをとることができます。ただし、熱湯に通す時間が長いと火が通りすぎ、ブリがパサついてしまうので注意が必要です。

    ポイントは熱湯にサッと通す程度にして、すぐに引き上げること。時間は3秒程度で充分です。

     

    [手順3]冷水にとり、ぬめりをとる

    熱湯から引き上げたら冷水へ。粗熱がとれたら冷水の中で表面をやさしく1〜2回なでます。こうすることで一見、気づかないぬめりや細かいうろこをとることができます。血合いがあるときもやさしくなでてとりましょう。

    ぬめりをとった後、冷水の中を見てみると、意外に汚れが浮いているはず。この汚れが煮物に混ざることで味に影響したり、うろこが残ったままで口当りが悪くなったりするのを防ぐために大切な作業なのです。ぬめりがとれたら、キッチンペーパーなどで優しく抑えて、水分をふきとったら下ごしらえは完了です。

     

    絶対に必要ではないけれど、やれば確実に味が変わります!

    これまで霜降りなんてやらずにブリを使って調理していた…という人も多いのでは? 実際、省いたからといって、決して料理がおいしくなくなるわけではありません。

    でも、この3つの手順を行うことで、特に煮物は煮汁と素材がなじみやすくなり、口に入れたときの一体感が全く違います。 霜降りをはじめとする下ごしらえとは、素材をよりおいしくするための日本料理・和食の知恵とこだわりなのです。同じメニューでもプロの料理がひと味違うのは、この“ひと手間”の積み重ねがあるからです。

    せっかく旬のブリを使うのだから、素材のおいしさを最大限に引き出すための手間を惜しまず、ぜひやってみましょう! 絶対にほめられる1品ができるはずですよ♪

    写真:吉田朱里 文:伊ケ崎 加寿江

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    高橋 善郎
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    高橋 善郎

    • 調理師
    • 食品衛生責任者
    • 野菜ソムリエ
    • ソムリエ(ANSA)
    • 日本酒学講師
    • 唎酒師

    1988年神奈川県川崎市生まれ 和食料理人である父の影響で、幼少期から実家の店舗で料理の基礎を学ぶ。 専修大学法学部 法律学科を卒業後、日本食研(株)に営業職として入社。 退職後は和食料理店での店長勤務を経て、フードコーディネーター養成スクールを卒業後、料理研究家として独立。 調理師免許、きき酒師、ソムリエ(ANSA)、野菜ソムリエなど食に関する資格を9個保有し、きき酒師の上位資格である日本酒学講師を当時史上最年少で合格。 素材の持ち味を活かした和食をベースに、エスニックからイタリアン、 オーガニックと幅広いジャンルを得意とする。 2015年には農林水産省・JICAの共催事業にも参画。 日本在住の外国人をはじめ、フランス、パラグアイ、バングラディシュ、セルビアなど、国外でも日本食・食文化を発信している。 また、スポーツをこよなく愛し、トライアスロンの国内大会では年代別で優勝するほどの実力。 2018年6月に行われた「第2回 鞆の浦トライアスロン」で年代別優勝を果たし、2018年 オーストラリア ゴールドコースト、2019年 スイス ローザンヌで行われた世界選手権にも2年連続でエイジグループ日本代表として出場。 2020年9月 カナダ エドモントンで行われる世界選手権の出場権も獲得している。(※新型コロナウイルスの影響により中止) 走る料理家として、スポーツメーカーやスポーツ・健康雑誌とのタイアップも多く手がけ、「食 ✕ 健康 ✕ スポーツ」を普及する活動も精力的に行っている。 そして、アスリートとしての実績が評価され2020年 東京パラリンピックパラ卓球ナショナルチーム 公認アスリートフードコーチに就任し選手をサポート。 2022年2月には第一子(男の子)が産まれ子育てに奮闘中。 【著書】 ・ソムリエ×料理人が家飲み用に本気で考えた おうちペアリング(主婦の友社・共著) ・遅く帰った日のきちんと小鍋(エイ出版社) ・「燃やすおかず つくりおき」(学研) ・「魔法のココナッツオイル(e-Mook)」(宝島社) ・「イケ麺レシピ103」(エイ出版社) ・「BRUNO(ブルーノ)の絶賛ホットプレートごはん」(宝島社) ・「ココナッツオイルで健康になる! (TJMOOK) 」(宝島社) ・「いつもの小麦が不調の原因!グルテンフリー入門 」(宝島社)   etc 【保有資格】 日本酒学講師 / 唎酒師(ききさけし) / ソムリエ(ANSA) / ビアアドバイザー / おさかなマイスター / ジュニア野菜ソムリエ / ジュニアアスリートフードマイスター / 調理師免許 /食品衛生責任者 【レシピ開発】 水産庁さま / 味の素株式会社 / フジッコ株式会社 / キリンビール株式会社 / ヤマキ株式会社 / 株式会社神戸屋 / 株式会社永谷園 / マルハニチロ株式会社 / ひかり味噌株式会社 / 白鶴酒造株式会社 / マルコメ株式会社 / テーブルマーク株式会社 / オタフクソース株式会社 / マルサンアイ株式会社 / カリフォルニア・レーズン協会 / スポーツクラブNAS / ノリタケ / 宮崎経済連 / 日清食品チルド株式会社 / サンマルコ食品株式会社 / 一正蒲鉾   etc 【メディア】 NHK あさイチ / NHK ひるまえほっと / テレビ東京「なないろ日和!」 / テレビ東京「よじごじDays」 / 日本テレビ ヒルナンデス! / 日本テレビ ZIP! / TOKYO MX 「日曜はカラフル!!!」 / テレビ朝日「クリームシチューのハナタカ!優越館」 / フジテレビ 良かれと思って! / テレビ朝日 グッドモーニング! / 東海テレビ スイッチ!    etc

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