お菓子作りによく出てくる生クリームですが、6分立て、7分立て・・・ってよくわからない。クリームがボソボソして美味しくない、手で泡立てるのは大変。と思われている方に生クリームを上手に手で泡立てる方法とコツを伝授します!!生クリームをレシピに書かれた固さ通りに泡立てられると、きれいに仕上げられるだけでなく、食感が良くミルクの風味やコクを感じて味にも違いが出ますよ。
使用する器具についてや純生クリーム(動物性脂肪)と植物性ホイップの使い分けについて詳しくは工程内に書きました。
生クリームは冷蔵庫でよく冷やしておく。 泡立てに使うボール、泡立て器も冷蔵庫に入れて冷やしておく。
生クリームの分量に対し6~10%を目安に砂糖を加える。(量は用途による) 砂糖はできれば目の細かい微粒子グラニュー糖が良い。粒子の大きい砂糖を使用する場合は砂糖を加えてしばらく置いてから泡立て始める。 ボールはステンレス製かガラス製の物を使用し、ボールの底は氷水を入れた一回り大きいボールを当てる。
泡立て器は手首のスナップを利かせ、前後に動かす。ボールの中で円を描くように動かすのではなく、ボールの利き手側半分くらいのところを直線で前後に動かすイメージ。 とろみがついてきたら固さを見ながら必要な固さになるまで時々全体をムラなく混ぜながら泡立てる。
6分立てはとろみがついて、泡立て器ですくって持ち上げるとトロトロと流れるくらい柔らかい状態。 ムースなどにはこの固さで使うことが多い。
7分立てはさらにとろみがついて、持ち上げると一瞬ワイヤーの中にこもるがすぐにタラタラと落ちて跡が数秒残って消えていく。 ケーキのナッぺ(スポンジに塗る)に使う固さ。
8分立てはすくい上げると柔らかくお辞儀する伸びのいい角が立つ状態。 デコレーションケーキの絞り出しなどに使う固さ。
9分立てまで来ると泡立てる手に重さを感じ、持ち上げると泡立て器のワイヤーの中にクリームがこもって落ちてこないくらいの固さになる。短く固い角が立つ。 これ以上泡立てるとボソボソになり分離してくる。 デコレーションケーキのサンドに使う固さ。
*使用するクリームについて* スーパーではいろいろな種類のクリームが売られていますが私が使用しているのは「クリーム」という表示のある動物性脂肪の純生クリームです。 純生クリームの良さはコク、風味がよく、ミルクのおいしさを感じられるところです。 乳脂肪分35%の物は絞り出しに使える固さまで泡立てるのは難しく、47%の物はボソボソしやすいので両方を混ぜて、40~42%に調整して使っています。 47%の純生クリームに牛乳を混ぜて使用することもあります。 少し黄色がかった色味をしています。
「ホイップ」と書かれている物は植物性脂肪のクリームです。 純生クリームと比べると泡立てに少し時間がかかりますが、分離しにくく、安定性があるのでケーキのデコレーションの途中でクリームがダレたり、ボソボソになってしまうという失敗が少なくなります。 純生クリームと比べあっさりした軽い味わいで真っ白に仕上がります。 泡立て方は純生クリームと同じでよく冷やしながら泡立てます。
純生クリームと植物性のホイップを混ぜて使う方法もあります。 純生クリームのコクや風味を持ちながら、ホイップの安定性もあるので、扱いやすいクリームができます。
*器具について* 生クリームの泡立てに使う器具はすべて乾いたきれいなものを使います。熱伝導の悪いポリカーボネート製ではなく、よく冷やすことのできるステンレスやガラスのボールを使います。器具自体もあらかじめよく冷やしておきます。
*そのほかの注意点* 生クリームや器具をよく冷やしておくのが大切だと書きましたが、室温が高いことも失敗しやすい原因になります。 特に夏場はクリームがボソボソしたり、ダレたりしやすいので室温にも気を付けてください。 ボソボソと分離してしまったクリームを元に戻すことはできません。ケーキに塗ったり、絞り袋に入れる作業だけでも固くなっていくので、必要な固さの一歩手前で泡立てを止めるのをお勧めします。少し固くなりすぎてしまった場合は、泡立てていないクリームを少し足して優しく全体を混ぜると柔らかくすることができます。
400039
hoppe
料理研究家
六車樹里(むぐるまじゅり) ひらかた独歩ふぁーむ、広報(SNS周りや旬のレシピ担当) 大阪府出身、在住 2歳年上の主人と、男子3人の5人家族 看護師を経て、お菓子、パンのレシピやコラム作成を数年したころ自己免疫の肝臓疾患を発症するとともに精神的にも底の状態が1年以上続き家からほとんど出られない状態に。 大好きだったお菓子やパンを作ることも苦痛になりレシピサイトはおろかパソコンを開くことすらつらく、人と会うことも外出も避ける日々・・・ そんな中、市の広報に掲載された地域活性化を目指して奮闘する農家の記事を読み、農業を通じた地域活性化の取り組みに興味が沸き、農業への関心が高まりつつあった矢先、偶然先の農家さんの食育に関する講演のチラシを手にすることに。 気にはなったものの当時は精神的に外出が難しい状態で、何とか配信期限ぎりぎりに、講演を記録した動画を見ることができる。 その中で話されていた「自分が農業を続けることで、その風景を守っていきたい」という想いに感銘を受ける。 さらにその方の作る野菜の持つ力強さや味わいの濃さ、甘み、食感すべて、人生で一番と言い切れるほどの美味しさにただただ感動。 すぐにこの農家さんに連絡を取り、翌月からその農家さんの元で働くことに。 畑で働くようになって、みるみるメンタルが改善。自分でも驚くほどに毎日が楽しく生き生きと過ごせるように。 あれほど苦痛だったお菓子を作ること、レシピを作ることも仕事として再開、野菜そのものの持つ旨味や食感を生かしたレシピを考案し消費者の方に向けて発信中。 遠くから運ばれてくる有名どころの野菜より、鮮度が大切な野菜の地産地消のメリットは大きいことを日々実感するとともに、地域で採れたばかりの野菜の魅力を知ってもらいたいと奮闘中です。