レシピが生まれたきっかけ
15年前、私は料理とは全く無縁の会社に努める普通のOLでした。異動で自社サイトを立ち上げることになった為、勉強がてら自分のホームページを開設。夕食の写真とレシピをアップしていたところ、それを面白いと思ってくれた編集者の方から出版のお話をいただきました。
この出版をきっかけに出演したのが「TVチャンピオン・3分料理人選手権」。その名の通り、いろんな料理を3分で作って競うというものなのですが・・・最初は絶対無理だと思いました。
3分って言ったらカップ麺を作る時間、太麺なら4分かかる物だってあるわけだし、材料によってはそもそも火が通らないレベル。それでも挑戦してみようと思えたのは、単純に「他の人がどんな物を作るのか見てみたい」という好奇心でした。
1Rで「豚の角煮」、2Rで「サバの味噌煮」を作り、嬉しいことに勝ち進んでしまった私は完全に困り果てていました。まさか決勝まで残れると思っていなかったので、準備どころかアイデアも何も考えていなかったんです。頭の中真っ白状態のまま買い物シーンの撮影がスタート。
緊張とかパニックとかの域を超えてしまったのか?急におなかがグーグーなり出し、前日に中華料理店で食べた蒸し鶏が美味しかったなぁ~とボンヤリと思い出していました。たぶんスライスして片栗粉をまぶして蒸してるんじゃないかな?表面はつるんとした舌触りで、お肉はとってもジューシーで柔らか。美味しかったなぁ~と。
そんな状況で生まれたのが、今回ピックアップした「エビチリ」です。
フライパンに調味料を合わせて煮立て、エビは油通しせず、片栗粉をまぶしてポンポン放り込んで蒸す。あの蒸し鶏みたいに、旨みを閉じ込めプリッと仕上がってくれました。その上、水溶き片栗で仕上げる手間も省ける一石二鳥のレシピ。
『揚げずに煮込む、ぷりとろエビチリ』レシピはこちらhttps://oceans-nadia.com/user/23165/recipe/133012
番組では3分で作らなくちゃなので、キムチを使ってニンニク・ショウガ・豆板醤を省略したり、エビの下ごしらえは背中にキッチンバサミでチョキチョキやったり(こうすると下に引っ張るとつるんと殻がむけるし、切込みも一緒に入れられるんです)、今思うとかなり乱暴な調理でした。
このやり方だと片付けが逆に面倒だったりするので、現在ではNadiaに掲載している作り方で定着してます。手際よくやるのと短時間で作るのは別ですから。
アレンジ色々、料理の幅が広がる調理法
考えてみたら、この調理法は郷土料理にも通じる物があるんですよね。エビを鶏肉に変えてめんつゆベースにして治部煮風、豚肉に変えて甘酢ベースにして酢豚風、白身魚や鮭のオイスターソース煮にしてみたり・・・逆境で生まれたレシピは楽しい思い出になり、今ではいろんなアレンジを楽しんでいます。
それはそうと、エビチリに溶き卵を加えるのって普通じゃないんでしょうか?もともと当たり前のように加えていた私は、そこを指摘されて逆にビックリ。そういえば中華料理店で出てくるエビチリには卵は入っていないし、母に聞いたら「卵は入れないし、そもそもエビチリはほとんど作ったことないよ」と言われてしまいました。
何故?いつから?卵を入れるようになったんだろう?未だに謎のままです。