結婚するまでは料理未経験、新婚時代は暗黒期!
20代のころは、外資系の化粧品会社に勤めていました。百貨店勤務で帰りが夜遅かったのもあり、結婚するまでは料理をほとんどしたことがなく...、ひとり暮らしのときも食事は出来合いのものやレトルトの合わせ調味料ばかり。下手したら、お米のとぎ方もよく分かってなかったんじゃないかと思います。
そんなに料理をしてこなかったので、結婚してから数年はひどかったです。張り切って揚げた天ぷらや唐揚げはベチャベチャの仕上がりになったり、朝から夕方までかかった酢豚のにんじんが生だったり...完全に料理の暗黒期でした(笑)。ただ、料理はできなくとも料理番組を見ることはずっと大好き。毎日、昼前に放送している料理番組は欠かさず見ていました。そのときによく出ていた料理家さんが、今でも私の料理の基本になっていたりします。
夫のお弁当作りから料理が好きに
料理が好きになったきっかけは、ずばり夫へのお弁当作り。結婚後は専業主婦になったのですが、独身時代の夜更かしの習慣がなかなかぬけずに、朝起きると夫はすでに出勤している...なんてことも少なくなかったんです。そんなとき、お義母さんがお義父さんに早朝からお弁当を毎日作っているということを知り、「私もマネしてみよう!」と思ったんです。
最初は、「どんなおかずがお弁当に向いているのか?」もまったく分からないまま、ただひたすらに作り続ける日々。毎日同じおかずばかりだし、お弁当を作るのに1時間くらいかかっていました。でも、毎日続けていくうちになんとなくコツがつかめてきたんですよね。そうやって少し自信がついてきたことから、できあがったお弁当をInstagramに載せるようなりました。投稿にコメントしてくれる方も出てきて、より一層お弁当作りへのやる気も出てきました。
コロナ禍でInstagramのお弁当動画が人気に
Instagramは、日々の料理の記録として2015年くらいから始めました。ただ、私のアカウントが大きく飛躍したのは、動画をはじめた2020年ごろ。当時、新型コロナウイルスの影響で学校が休校になったり、外出や外食が難しくなったりと、おうちにいることが多くなったときでした。そんな中、お弁当需要が高まり、お弁当を作りたいけれどどう作ったらいいか分からない、という声があって。こんな私のお弁当が少しでも参考になるのなら...と、お弁当のおかずを作るところから詰めるところまでの動画を作りはじめたんです。どうせなら、最後まで飽きずに観られるおもしろい動画にしたいと思い、くすっと笑ってもらえるような「おもしろテロップ」を入れて投稿してみました。
そのころは動画を投稿している人も少なかったし、おもしろテロップを入れている人なんてほとんどいなかったんです。正直、投稿するたびに恐怖でした。寒い、おもしろくない、とか言われたらどうしよう…と。でも、思い切って自分をだして良かったなと今では思います。
発信を続ける喜びは、自分の作ったレシピへの反応をすぐにもらえること、熱心に応援してくださる方々と交流できること。何者でもなかった自分が、料理を通していろいろな方と繋がることができる…。本当に素晴らしいです。Instagramを始めたときの自分が知ったら、驚くと思います(笑)。人生、何があるかわかりませんね。
憧れの料理家になるためにNadiaに登録
Instagramのフォロワーさんも十分に増え、少しずつ料理の仕事が舞い込んできた! でも、まだまだ料理家なんて名乗れるほどでもないし、ツテもない、これからどうしていこう...と悩んでいたんです。そんなとき、たまたまNadia Artistとして活躍されている方とやりとりする機会があり相談したら、「Nadia Artistになったらどう?」という提案をしてくれました。Nadia Artistとして登録したら、レシピ開発やコラム執筆など、料理家としてのお仕事を依頼していただける...。そんな話を聞いた私はすぐにやる気満々。
もともと、レシピサイトNadia自体は知っていたんです。すごくきれいにスタイリングされた、とても美味しそうなレシピ写真。同じ料理でも、私とは違う世界の産物だと思っていました。当時私は「目分量万歳!」みたいなノリで料理動画を作っていましたから(笑)。でも、そんなすてきな料理家さんたちの一員になれたら! と一念発起し、Nadia Artistに応募しました。
そこからは、Nadia Artistの審査にむけて努力の日々。正直、応募したときは「Instagramのフォロワー数も多いし、合格できるかな?」と考えていたりもしたんですけど、そんな打算があった、当時の自分を怒りたいです(笑)。Nadia Artistになるには、実力で通過しないといけません。私は最初、写真が下手で下手で…。使っているカメラのクセやモードなど、すべてNadia編集部の方からご指導いただき、料理の写真を撮っては何度もアドバイスしてもらい、ついに合格が出たときは、うれしくて涙が出ました。
思い入れのある仕事は、Nadiaでのお弁当連載
Nadiaでは、お弁当の連載もしています。普段のお弁当動画のように、自分の世界が思う存分出せるので、書いていてとても楽しいんです(笑)。はじめて継続的にいただいたお仕事でもあるので、かなり思い入れもあるお仕事のひとつです。
連載コラムでは、とにかく簡単で、お弁当作りのハードルを下げてもらうことを意識しています。お弁当って正直、毎日同じおかずでいいし、冷凍食品を使っても全然いい。まずは、自分の作ったお弁当に自信をもってほしいと思います。朝早くからキッチンに向かう自分をほめてあげるところからはじめてほしい。そんな気持ちで私もお弁当作りをしているので、コラムではその気持ちが伝わればいいなあと思いながら執筆しています。
離乳食や幼児食、韓国料理のレパートリーを増やしたい
これから強化していきたいジャンルは、離乳食や幼児食といった子どものためのご飯と韓国料理です。離乳食や幼児食は、フォロワーさんからのリクエストが多いジャンルなんです。離乳食を始めたママさん、3~4歳のお子さんがいらっしゃるママさんは、手の抜きどころが分からなかったりする方も多いんですよね。離乳食や幼児食って、ストイックになろうと思えばどこまででもなれるので、その塩梅が難しいのだと思います。
私も、長男のときは「手作りのおやつを食べさせないといけない」、「添加物はよくない」と、思っていました。「いいお母さん」神話に惑わされてたんですよね。でも、2人目が生まれたら、この子が離乳食をまったく食べない子。10か月ぐらいで大人と同じものを食べさせたら食べてくれて...「もう、これでいいじゃん!」って、思ったんですよね(笑)。離乳食や幼児食で悩むママは多いし、私はそんなママでもラクに美味しく作れる離乳食や幼児食のレシピを提案していければと思っています。韓国料理は、アラフォーになって韓国ドラマにハマったのがきっかけです(笑)。私自身は、あまり辛いものが得意ではないのですが、子どもは少しずつ辛いものが食べられるようになってきたし、ちょっとずつレシピを増やしていきたいと思っています。
「名前で検索してもらえるNadia Artist」が目標
今後の目標は、Nadia Artistとしてもっと認知してもらえるようになること。できれば、名前で検索してもらえるようなNadia Artistを目指しています。Nadiaに掲載されているレシピって、どれも美味しいのは当たり前ですよね。その中で、「アヤコ ちくわ」みたいに、自分の名前で検索してもらえる料理家さんになりたい。私自身、有名な料理家さんのカルボナーラってどんな感じだろう、って名前で検索することがあるんです。そんな風に、この人のレシピなら絶対美味しいだろう、はずれはないだろうって、思われるようになりたいと思っています。
普通の主婦がレシピ本出版まで…夢はかなう!
2022年の8月には、初のレシピ本を出版させていただきました。Nadia Artistになってすぐ、葛城社長とお話する機会があって。今後の目標などを語らせていただいたときに、いつかはお弁当についてのレシピ本を出版したいという話をしたのですが、それを聞いてすぐに動いてくださったんです。正直、主婦の夢物語と思われても仕方ないと思っていたので、すごくすごく驚きました。
子育て真っただ中の専業主婦がひたすら料理を突き詰めていたら、いつのまにかお仕事になっていた。なんて夢がある話でしょうか! まさか、本まで出せるとは思っていなかったので、後押しをしてくださったNadiaのみなさん、出版してくださった宝島社のみなさんには感謝してもしきれません。信じられないと思いますが、あのころ何者でもなかった私は、末っ子が幼稚園に入ったら私は無事に社会に復帰できるのか、どんな仕事に就くのか、雇ってくれる会社はあるのか、不安で眠れない日も少なくなかったんです。葛城社長と面談したとき、「夢はかなう」と言っていただきましたが、私も本当にそう思います! レシピ本を出版したことで、私も自信をもって「料理家です」と言えるようになりました。
本を出して一番うれしかったのは、予約段階で「一時予約分完売」になったこと。これは、私が今まで作ってきたお弁当やレシピを1冊にまとめてほしいと思っていてくださったファンの方のおかげでしかありません。実際に手に取ってくださった方からのうれしいメッセージをいただき、自分の作る料理に自信がついた反面、自分自身の未熟さを再確認もしました。改めて、長年料理を仕事にされている方々の知識や経験、技術に尊敬の念を抱き、続けることの大切さと大変さをひしひしと感じています。いつか2冊目も出せるように、自分のできることからコツコツと頑張っていきたいです。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
アヤコ's profile
食育インストラクター。3人の男の子の子育てをしながら、SNSを通じて日々のお弁当作りを発信。Nadiaでは、10分で作れるお弁当連載「必殺!アヤコの10分弁当」を執筆している。
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