お菓子作りやおせち料理が原点
料理に興味を持つようになったきっかけは、実はお菓子作りなんです。小学生のころにお菓子作りにはまり、図書館でレシピ本を借りては読んだり、母や友だちとお菓子を作ったりして楽しんでいました。また、毎年祖母と一緒に手作りでおせちを作っていたのですが、型を抜いたりこんにゃくを手綱にしたり、すごく楽しかった思い出があります。
ひとりで料理を作るようになったのは、高校生のころから。当時の彼氏にオムライス弁当を作ったのが、本格的に料理を始めたきっかけかもしれません。スタートはお菓子からでしたが、成長し、大切な人と一緒に美味しいものを食べたいと思ってからは料理専門になりました。
高校卒業後は、管理栄養士になるために岡山県立大学栄養学科へ進学。管理栄養士の道に進もうと思ったのは、料理が好きだったこと、そしてシェフとしてお店で働くのではなく普段の生活の中での料理に携わりたかったからです。また、高校時代に体調が良くないときが多く、もっと健康について勉強したいと考えたのも理由のひとつ。無事資格を取得し、現在は管理栄養士歴12年になります。
社会人になってからは、保育園、社員食堂、タワーマンション内カフェの専属管理栄養士、料理教室アドバイザー、児童養護施設など、さまざまな環境で管理栄養士の資格を活かしながら働いてきました。そのほか、フリーランスとしてレシピの開発や監修、コラム記事執筆、セミナー・イベント講師などの経験も。現在も、保育園での栄養士をしながら、企業のお仕事などをフリーランスとして請け負っています。私自身、1歳になる子どもがいることもあり、離乳食・幼児食、ダイエットや栄養と食事の関係から健康全般についてのお仕事が多いですね。
不器用な自分でも作れる料理を考案
料理はずっと好きだったのですが、私、実はすごく不器用なんですよ。だから、料理も「こうしたらいい」と聞いたことを試してはみるものの、すぐ失敗していて…。例えば、「お好み焼きに牛乳を入れたら美味しいよ」と言われて、作ってみたら牛乳味のお好み焼きができあがったり。レシピを見て真似して作ってみても、最後まで食べきれないぐらいまずかったり…。その当時は、「レシピさえあれば、完璧に料理を作れるんだ」と思っていたけれど、実際はそんなにうまくいかない場合も多かったんです(笑)。
それで、自分で考えてうまくできたレシピや、自分の口に合うレシピをメモするように。そのころからブログやSNSが流行り始めて、私のようにいろいろなレシピを見てもうまくいかない人はたくさんいるだろうし、自分と同じような人に届いてほしいと思いながらSNSでの発信をスタートしました。
SNSを続ける上でうれしいことは、「美味しかった」「リピ決定」などのフォロワーさんからいただく言葉です。その中でも一番うれしいのは、「〇〇(その方の大切な人)に喜んでもらえました♪」と言われることですね。私のレシピを目に留めてもらい、それを大切なお子さんや彼氏などに作り、喜んでもらえたことを報告してくれたときは、コメントを見ながらニヤニヤが止まりません(笑)。
日本人の口になじむ家庭的な味が理想
料理のこだわりは、家にある調味料や調理器具、スーパーで買える食材を使うこと。また、大人だったらお箸で、子どもだったらスプーンやフォークで食べやすいことです。外食に行ったときに上手に食べられないと、そっちに気がいってしまって存分に味わえないんですよね。おうちではそんなことを考える必要がないように、おしゃべりしてお酒を飲みながらでも食べやすいものを作っています。
それから、洋風でも中華でも少し和風に寄せて、ほっこりした味にすることを意識しています。私のレシピは基本的に家庭料理なので、本格派の味というよりは、食べてほっとできる料理がいいなと思っているんです。というのも、私、あまり奇抜なものって食べられないんですよ。本格的すぎる洋食や外国の料理だと、途中で食べあぐねてしまうんです。かと言って残すのは嫌だし、最後まで食べきりたい。だから、本場の味を追求するというよりは、日本人になじむ味を目指すようにしています。例えば、カレーやポークソテーに醤油を少し加えたり。中華料理でもみりんを使ったり。子どもからお年寄りまで、みんなが飽きずに食べられる家庭的な料理が理想ですね。
レシピ開発をするときも、自分の食卓でリピートしたいものかどうかということが前提です。テクニックはないので、逆に不器用でも失敗せずに作れる料理を提案するようにしています。スタイリングは、きれいにというよりは、料理が一番美味しそうに見えるように撮るのがポイント。見るとお腹が空いてくるような写真を目指しているので、飯テロになると何度も言われています(笑)。
憧れの料理研究家を追ってNadia Artistに
Nadia Artistになったきっかけは、憧れの料理研究家のYuuさんがNadia Artistとして活動されていることを知り、私もNadiaでレシピをみなさんに届けたいと思ったからなんです。レシピも見やすく、写真がどれもきれいで、見ていて楽しいサイトだったので、ここで一緒にレシピ提供をしたいと思ってNadia Artistに応募しました。
Nadiaに投稿するときは、「どんなときにどんな人とどんなふうに食べると良い」という情報を書いて、作ったり食べたりするシーンを想像できるようなコメントを意識しています。写真は、朝食であれば朝の光、お酒に合うものであれば夜の部屋の中の光を利用して、シーンに合うように撮影しているのもこだわりです。
Nadiaでのお仕事で一番印象的だったのは、BRUNOのホットプレートレシピです。Nadia Artistになってほぼはじめてのお仕事で、何度も試作して撮り直した覚えがあります。特に、「えびのビスク鍋」は思った味にたどり着くまで赤えびを毎日のように買いに行きました。その後しばらく、大好きだったえびはもういらないというほど試食もしました(笑)。そのおかげで、自分でもお気に入りのビスク鍋を家庭で食べられるようになって、そのレシピは宝物になっています。
https://oceans-nadia.com/user/111095/recipe/382796
何度も試作した濃厚スープで野菜が美味しい♪海老のビスク鍋
これからNadiaで強化していきたいのは、下味冷凍や作り置きの分野です。ワーママ1年生なので、いかに平日に手をかけずに美味しく料理をするかを考えています。やっぱり平日でも、子どもや夫と一緒にいる時間を大切にしていきたいんですよね。特に増やしていきたいのは、下味冷凍した食材をそのままオーブンに入れて完成させるといった、ほぼほっとくだけレシピ。オーブンで焼いている間に、副菜もパパッと作れるので、そういった献立バリエーションを増やしていきたいですね。
料理が苦手な人を手助けできるNadia Artistが目標
不器用でレシピを見て作っては失敗してきた人、使う材料や工程が多くて作る前に諦めてしまう人、料理に時間をかけずに美味しい手料理が食べたい人が、「今日は何食べようかな」と料理の時間が楽しみになるようなレシピを作れるArtistになりたいです。また、レシピ本を出版することも目標のひとつ。食べやすさ重視の料理がメインで、見るだけでも楽しく、気軽に作ってみようと思えるレシピ本を出版したいと考えています。
Nadiaでレシピを掲載するようになってから、自分自身のレシピの幅が広がりました。企業とのタイアップはもちろん、営業部や編集部の方が、「今はこんなレシピが求められている」や「献立として紹介してほしい」など、いろいろなアイデアを共有してくれるので、飽きずにずっとレシピを考えては作って撮ってを繰り返しています。
Nadia Artistとしてたくさんの方にレシピを見ていただけていることは、何にも変えられない喜びです。こんなに毎日充実していているのは生まれてはじめてで、Nadiaには本当に感謝しています。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
熊橋麻実(くまみ)'s profile
「簡単・美味しい・失敗なしレシピ」がモットー。管理栄養士の資格を活かし、ダイエットにもおすすめのヘルシーレシピや料理初心者や不器用な人でも作れる簡単レシピを発信中。
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