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    • 公開日2023/04/28
    • 更新日2023/04/28

    食事の時間がハッピーなら人生が豊かになる!|#41 福原ゆり

    NadiaのArtistにスポットを当て、ここでしか聞けない裏話や料理研究家さんの想いをお送りする「Artist History」。今回紹介するのは、自身も2人の子育てをしながら料理研究家として活躍する福原ゆりさん。子育て世代でも作りやすいラクうまレシピから、ちょっとマニアックな世界各国の料理まで。幅広いジャンルのレシピを提案してくれる福原さんに、その道のりや仕事のやりがい、今後の目標についてお話を伺いました。

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    食事の時間がハッピーなら人生が豊かになる!|#41 福原ゆり

     

    子どものころは料理漫画が私の先生!

    子どものころは料理漫画が私の先生!

    料理を始めたのは小学生のころ。父が料理好きで、家に漫画『クッキングパパ』と『美味しんぼ』が全巻揃っていたんです。物心ついたときから、それを読むのが大好きで。特に、漫画に掲載されているレシピのページがお気に入りで、レシピばかり見ていました。そのおかげで、中学生のころには、ほとんどの料理の作り方が頭に入っていて生ハムの作り方やビールの作り方、自家製ソースの作り方などマニアックなものまで知ることができました(笑)。

    これらの漫画は、今でも私のバイブルであり、先生のような存在です。そして、幼い私が料理するとき、両親は一切止めずに好きにやらせてくれました。失敗しても何か言われることは決してなく、ただただ料理をすることが楽しかったですね。

    大学は保育系の短大に行きました。そもそも私、物作りが大好きで。保育系の授業は座学もあるけど、実際に何かを作る課題も多かったんです。小学生のころから手芸とか裁縫も好きだったので、大学ではそういう課題に喜んで取り組んでいました。自分で想像したものを立体的にしていくという作業が性に合っていたんですよね。料理も、私にとっては同じような感覚。イメージ通りにいくことも、いかないこともあるけれど、空想から現実に移行する瞬間が、めちゃめちゃ好きなんですよ。それが万人受けするかどうかは難しいところなのですが(笑)。

     

    テレビの料理コーナーから料理家の道へ

    テレビの料理コーナーから料理家の道へ

    短大卒業後は、幼稚園の教諭になりました。それから結婚して、出産を機に幼稚園は退職。出産前は仕事に追われてあわただしい生活をしていたのですが、いざ子どもが生まれてみたら、誰とも口をきかないような生活で。赤ちゃんを抱っこしながら1日中テレビを見て、私、このまま化石になるんかな…っていう生活をしていたんです(笑)。

    子育てに余裕があるわけではないけど、なんだか毎日の生活に刺激が欲しかったんですよね。そんなときにテレビを見ていたら、たまたま家庭料理のコンテストである『レシピの女王』をやっていて。『レシピの女王』とは、全国の料理好きの女性が「日本一家庭料理がうまい女王」の座をかけて競い合うテレビ番組。ちょうど、新シーズンの参加者を応募しているというアナウンスがあり、それを見た瞬間に「あ、これや」と思って即応募。なんとか最終予選まで進むことができました。

    『レシピの女王』で知り合ったほかの参加者たちとは、今でも友人です。実は、Nadiaを教えてくれたのも、彼女たち。撮影中に仲良くなったわけではないのですが、放送後何年か経ってから『レシピの女王』の同窓会があったんです。そこで連絡先を交換して、やりとりをしていくうちに仲良くなって。Nadiaについて、いろいろ教えてもらう機会があったんです。

    2周年目のNadia Partyの写真を見せてもらったのですが、社長の葛城さんをはじめ、みなさんとても楽しそうに映っていたんですよね。みんなキラキラしていて、なんて楽しそうな会社なんだろうって思ったんです。それで私も「料理を仕事にするにはこれしかない!」と、期待いっぱい応募しました。

    福原ゆりさん

    現在は、クライアントさんのレシピ開発が主な仕事です。Nadiaの仕事でおもしろかったのは、テレビショッピングでの調理器具CM撮影。撮影、演者、調理など、各々の役割が決まっているプロフェッショナルな現場で、ひとつのものを作り上げるおもしろさを感じました。

    また、SNSではレシピの投稿も続けています。もともとは、ただ自分が作ったものを記録として残しておきたくてSNSを始めました。コロナ禍になりたてのステイホーム真っ只中のときに、「映え」をまったく気にせずありのままの毎日の食事を載せ続けたところ、「毎日の献立の参考になる」などと思いのほか反響があり、うれしかった記憶があります。やはり、献立決めがなによりみんなが苦労していることなんだと分かり、そこのお手伝いが少しでもできればと続けています。

     

    「作れるものは何でも作ってみる」がモットー

    福原ゆりさん

    料理のこだわりは、できるだけ素材の味を活かし、シンプルな調味料を使うようにすること。あとは「作れる物はなんでも作ってみる!」精神で自作するのが好きです。ケチャップ、マヨネーズ、ポン酢、ベーコン、パンチェッタ、豚骨スープなど…とにかくなんでも! 家の倉庫は、調理家電だらけでちょっとしたカオスです。家庭用のピザ専用の窯があったり、パンのスライサーがあったり、麺を作るマシンだけでも2、3個持っていたり(笑)。夫と一緒に「あれ美味しそうだね」「興味があるね」ってなったら、だいたい作っていますね。

    それから、インターネットで海外のサイトを見て回って、気になる料理があると調べて作ったりもしています。昔から、見たことのない食べ物にチャレンジするのが好きだったんです。子どものころに家族で行った海外旅行先での朝ご飯のバイキングでは、名前も知らない料理が並んでいて、それを見てからとてもワクワクしたことを覚えています。

    福原ゆりさん

    好きなテレビはBSの旅番組ですし、とにかく見ず知らずの美味しそうな物を見ると食べてみたくてしょうがないんですよね。外国の方と知り合う機会があれば、しつこいくらいに食事について聞いたり。海外に行けば、読めないレシピ本を買ってみたり。そして、いろいろな食材が通販などでも簡単に手に入るのですぐに買っては作っています。

    また、友人が茶道の師範であることをきっかけに、3年前からは茶道を習い始めました。日本の伝統文化を知ることで歴史や焼物に興味をもち、学校では退屈だった日本史が今はとてもおもしろいです。茶の湯の茶事の中で懐石料理を作ったり、食べたりして改めて和食のすごさを体感しています。世界を知るには、まず日本をもっと知るべきだと感じました。そして、世界の人にも和食をもっと知ってもらいたいし、私も世界の料理をもっと知りたいです。

     

    美味しい食事は人生を豊かにするもの

    福原ゆりさん

    料理の仕事のやりがいは、人生を豊かにするお手伝いができる点。食事は1日3回もあって、私はそんな食事の時間が少しでも幸せを感じる時間になると、人生の幸福度がぐっと上がると考えています。料理の仕事を通して、「美味しい物を健康的に食べることは人生を豊かにするものだ」ということをたくさんの人に知ってもらうことが私の喜びです。

    大変だと思うことは、「美味しい」の定義は人によって違うというところ。どこに焦点を合わせるのかを考えるのが、とても難しいですね。私の中での「美味しい」の基準は、もう1回食べたいかどうか。1回食べて美味しいけれど、次回はないな、と思うものは「美味しい」に入りません。すぐじゃなくても、またいつか食べたいと思うのが「美味しい」料理。だから、思わずリピしたくなる料理というのを目指しています。

     

    料理は科学!美味しくなる根拠も説明

    福原ゆりさん

    料理は、センスや腕も重要ですが、科学だと思っています。料理研究家になるまでは、ただただ自分の直感でやってきましたが、ときが経つにつれて根拠を求めるようになりました。なぜそのような切り方をするのか、なぜその火加減でないといけないのか…。簡単なレシピでも根拠があるとより美味しくなるということが分かったので、レシピの中でなぜそうするのかの説明を書くように心がけています。

    また、料理って、人によってレシピの解釈がとても変わるので、簡単に思えることでもできるだけ分かりやすいように表記したいと思っています。ただ、あまり長々と書いてしまっても堅苦しくなるので、そこのバランスがとっても難しいですね。

    Nadiaに投稿する写真は、なるべく加工を少なめにし、素材本来の色や質感が分かるように心がけています。加工が強い写真はとてもきれいですが、実際に作ったときに相違が出ると、作った人が「失敗した?」と思ってしまいそうだからです。また、今後はレシピを文字だけで説明するのではなく、動画やライブで伝えられたらいいなと思っています。

    あとは、私のレシピは決して万人受けするものではなく、変態路線だと思うのですが…もっとマニアックなものを極めていきたい。最近はインドカレーにハマっていて、数えきれないほどのスパイスや調味料を使ってカレーを作っているんです(笑)。レシピにしても需要ないかな? と思っていましたが、そのうちレシピ化する予定です! 実は、自宅に自作したタンドールもあって。家で美味しいナンを焼きたいと思って、タンドールをAmazonで調べたらめちゃめちゃでかいし、値段も高い。それで夫と話し合って、タンドールを自作しちゃいました(笑)。

     

    「食べることは生きること」をレシピを通して伝えたい

    福原ゆりさん

    私は、食べることは生きていくことだと思っています。食事は生きていく上で誰にでも必要なことで、それも毎日3回も! それに費やす時間って一生で考えると長いし、どんな趣味があったとしても食事以上に1日3回も一生続けられることってないですよね。そこが豊かになると、人生全部がハッピーになると思っているんです。

    だから、たった1回でも納得いかない料理は食べたくない。全部納得のいく料理を食べたいから、自分で作りたいし、ストイックに美味しさと楽しさを求めたいし、世の中にある食べられるものは全部食べてみたい(笑)。知らないことが悔しいんですよ。テレビでゲテモノとか言われても、食べてみたいと思ってしまいます。たぶん根っからの食いしん坊なんですよね。

    Nadia Artistとしては、たくさんの人にウケるレシピではなくても、少しの人に深く刺さるレシピを作り、常に攻めたNadia Artistでいたい。例えば、私の自信作のひとつが、生ハムの骨を使って作る豚骨スープ! レシピの最初の工程は電動ノコギリを取り出すところから始まるという(笑)。なんでも時短で便利なものがある時代に、わざわざ手間のかかる方法で作ってみたり、安価で買える物も作ってみたり。食べることは生きることだということを、レシピを通して体現していきたいです。

    Nadiaは、料理を通して自分を表現できる貴重な場です。どんな表現をしても決して否定せず、常に肯定してくれる社長をはじめ社員のみなさま。これからも一緒に伴走してくださる方々と共に、唯一無二で最高のレシピを作り出せるように頑張ります!

    写真:高橋 しのの  文:室井瞳子

     

    福原ゆり's profile
     
    「何でもない日のご馳走レシピ!」がモットー。世界の料理研究家として、世界中の料理レシピをバリエーション豊かに発信中。



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    Nadia編集部では、食や料理、暮らしにまつわるコラムをお届けしています。 また、テーマごとのおすすめレシピを紹介するレシピまとめや季節のトピックに合わせた特集ページなど、さまざまなコンテンツを日々制作・発信しています。 これからも時短・簡単レシピからおすすめ献立、最新の食トレンドまで、幅広いテーマでみなさまに役立つ情報をご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね♪ <Nadia編集部について> Nadia編集部では、レシピサイトNadia全体のコンテンツ制作・サイト運用のほか、レシピ本の出版、SNS運用、レシピのクオリティチェックなどを行っています。 出版社・編集プロダクション・食品メーカー出身のメンバーや、栄養士の資格を持つメンバー等が在籍しており、食のコンテンツを扱うプロフェッショナルとして日々活動しています。

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