一般的に魚の“おいしさの旬”は産卵期前と言われています。産卵のために栄養を蓄えているので、脂質もたっぷり。そのため、さんまを選ぶ時はお腹の部分に注目。太く張っているものが、たっぷり脂がのっている目安となります。
もう1つ大切なのは鮮度のよさ。チェックの目安は、やっぱり「目」を見ることで、目がにごっているものはNG。透明感があり、澄んだ目のものを選びましょう。
また、青魚はずっと水に浸けた状態だと傷みやすくなります。魚全体の色も変わりやすいので、もし可能ならパック詰めされたものを選ぶのがベストです。
ふっくら柔らかく仕上げるには“焼きすぎないこと”
塩でうまみを引き出して、表面はパリッと、中はジューシーに焼き上げるのがさんまの塩焼きのポイントです。そのためのコツとおいしく見せるためのプロの技とは? さっそくチェックしましょう。
[作り方:1]ぬめりを取る
さんまは水揚げされた時点でうろこの大部分が落ちてしまっています。焼き魚ならやわらかいうろこも一緒に焼けてしまうので、刺身など生で食べる場合以外は取る必要はありません。下処理はぬめりを取るだけでOKです。
包丁の刃を魚に対して垂直に当て、一定方向に数回、軽く滑らせるだけで表面のぬめりが取れます。背側についていることも多いので忘れずに。
ぬめりを取ったさんまはきれいな布巾で表面を拭き取り次の工程に進みます。さっとであれば水で洗い流してもOK。
[作り方:2]飾り包丁を入れる
尾から頭に向かって5mmぐらいの深さで包丁を入れます。刃渡り全体を使ってやさしく包丁を引くと、きれいに入れることができます。長さは10cm前後でよいでしょう。
飾り包丁を入れることで火の通りがよくなり、見た目も美しく仕上がります。飾り包丁の入れ方は、3本線やバッテンなど、魚の種類や大きさによって変えるのがベストです。
[作り方:3]全体に塩をふる・化粧塩をふる
焼く準備を整えておき、グリルに入れる前に塩をふります。高い位置からふると、魚全体に均一に行き渡らせることができます。霧吹きに料理酒を入れ、全体にかけてから塩をふると、旨みも増し、塩もつきやすく、仕上がりがよりきれいになります。
塩は魚の両面にうっすら、まんべんなくかかる程度に。ひとつまみより多いぐらいで、魚の重量の1%程度が目安です。塩はお好みのものを選んで。
もう1つ、欠かせないのが「化粧塩」をふること。これは尾の両面に塩をつけることで焼き過ぎを防ぎ、また、焼き上がりも美しくなるため、和食料理店などでも行われている方法です。
やり方は簡単! 塩の上でさんまの尾を軽く押さえるようにして、尾全体にまぶします。「化粧塩」はどんな魚にも施し、魚によっては胸びれにつけることもあります。食べる部分ではありませんが、こういった仕事も料理上手になるためには欠かせません。
[作り方:4]魚焼きグリルで焼く
表面をパリッと焼き上げるためには250度以上の高温が必要です。網に油を薄く塗り、いよいよ余熱をしておいたグリルへ。
さんまは火の通りが早いので、一般的な魚焼きグリルなら中~強火で5分前後焼けばよいでしょう。皮目に焼き目がついたらすぐに取り出して。焼きすぎるとパサパサした食感になってしまいます。
新鮮なさんまなら少しレアぐらいの焼き加減で仕上げた方が、さんま本来のおいしさを味わえるはず。
さらに料理用のガスバーナーで両面をあぶると、いっそうパリッと仕上がるので、ぜひ挑戦してみてください。
ガスバーナーには、冬のお鍋などで使うガスボンベに取り付ける形で使用します。ホームセンターなどで2000〜3000円ほどで購入できます。魚だけでなく、肉やお菓子にも使用することがあるので、持っておくと重宝します。
魚焼きグリルがない場合は、フライパンに油を薄く引き、中火〜強火で、フライパンをあまり動かさず焼き付けるようにして両面を焼きます。その後、アルミホイルで包んでおくと、余熱で火が通ります。
さんまの栄養もしっかり摂れる食べ方とは?
焼き魚に添えることが多い大根おろし。実はこの組み合わせには意味があるって知っていましたか? 生の大根にはアミラーゼ(ジアスターゼ)などの消化酵素がたっぷり含まれていて、一緒に食べることで脂ののった魚の消化・吸収を助けてくれるのです。
おすすめは大根と唐辛子をすりおろしてつくる「もみじおろし」。大根おろしよりも辛みがあり、彩りもプラスできます。
作り方は簡単! 100g分の大根を2枚にカットして唐辛子1本を3等分にしてはさみ、一緒にすりおろすだけ。おろし器などを使い、手ですった方が適度な食感を残せます。チューブタイプのものも最近は売っているので、時間がない方は市販のものでも。
さんまなどの青魚には生活習慣病予防などに効果があるといわれるEPA(エイコサペンタエン酸)、脳の活性化に深く関係しているDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。但し、どちらの成分も酸化しやすいため、新鮮なものを早めに食べることが大切。「さんまの塩焼き」も熱々のうちに食べましょう!
くわしいレシピはこちら
●『さんまの塩焼き 紅葉おろし添え』
https://oceans-nadia.com/user/11937/recipe/1419495