秋の味覚といえば、やっぱり「さんま」
「目黒のさんま」の落語でも知られる通り、江戸時代から日本の庶民の味として愛され続けている“さんまの塩焼き”。パリッと香ばしく焼けた皮に、脂がたっぷりのった身を口に入れた瞬間の幸福感はたまりませんよね。
今回は、美味しいさんまの選び方から、下処理の方法、焼き方を詳しくご紹介します。少しのコツで「いつものさんまの塩焼き」を「絶品さんまの塩焼き」に変身させてみませんか。
美味しいさんまの選び方
さんまは鮮度が落ちやすい魚なので、できるだけ新鮮なものを選ぶのが美味しさのポイント。背中が青黒く、腹側の銀とのコントラストがくっきり分かれているもの、目が澄んで、くちばしの先が黄色いものが新鮮です。また、肩からこんもりと身が盛り上がってコロンと太っているものは脂がのって美味しいですよ。購入するときは、魚は内臓から傷んでいくので、お腹に張りがあり肛門がキュッと閉まっているものを選んでくださいね。
本当に美味しいさんまの塩焼き
さんまといえば、七輪で焼くイメージもあると思いますが、七輪で焼くのはとても難しく、表面だけ焦げて中は生なんてことも。実は、ご家庭の魚焼きグリルやフライパンは美味しくさんまを焼くのに最適の調理器具なんですよ。まずは魚焼きグリルでの焼き方をご紹介します。
【材料(2人分)】
さんま 2尾
塩(振り塩) 小さじ2/3(4g)
大根おろし・すだち・醤油 各適量
【作り方】
1.さんまの尾から頭に向かって包丁で優しくこすり、ウロコや汚れ、ヌメリを取る。流水でサッと流して洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
【POINT】
・さんまにはウロコがないイメージがあると思いますが、実はさんまにもウロコがあります(さんまのウロコはとても弱く、漁のときにほとんどは剥がれてしまいます)。ウロコや汚れ、ヌメリが残っていると臭みの原因になるので、包丁で優しくこそげ取って洗い流してくださいね。
・さんまには胃がなく、口に入った餌は30分〜1時間以内に排泄されるので消化器官に余分な物が溜まっていません。そのため、新鮮なさんまは内臓(ワタ)ごと美味しく食べることができます。
2.さんま1匹に対して塩小さじ1/3(2g)を、20cmぐらいの高さからまんべんなく表裏にまぶし10〜15分置く。出てきた水分をキッチンペーパーで押さえて拭き取る。
【POINT】
・塩は均一に付くようにサラサラのものを使用します。塩を手のひらにのせ、指の間から振ると全体にまんべんなく塩を振ることができます(お腹の太い部分は多めに、細い部分は少なめに振って味(塩気)を均一にしてくださいね)。塩をしっかり振ることで、皮はパリッと、身はふっくら美味しいさんまの塩焼きができますよ。
・さんまに塩を振って10分〜15分置くと、浸透圧の作用でさんまから余分な水分が出てきます。この出てきた水分を拭き取ることでさんまの臭みが取れます。
・水分を拭き取るときは、洗ったり、こすったりせず、キッチンペーパーで優しく押さえて水分だけを取ってください。
3.さんまの表側に切れ目を入れ、尻尾をアルミホイルで包む。
【POINT】
・さんまに切れ目を入れることで(1)火が通りやすく(2)見た目が良く(3)皮と身が一緒に食べやすくなります。(さんまの頭が左になる方が表側になります)
・さんまの尻尾は焦げやすく、きれいな形のまま焼き上げるのは難しいので、アルミホイルを巻いておきます。尻尾に塩をたっぷりつけて(飾り塩)焼いていただいても大丈夫です。
4.魚焼きグリルの網にハケやキッチンペーパーで油を塗り(お酢でも)、さんまを焼く5分ほど前に火をつけて温める。
【POINT】
・さんまに塩を振って置いている時間に魚焼きグリルの網に油を塗って強火で予熱するのがポイントです。温めた網で焼くことでさんまの皮が網にこびり付くのを防ぎ、皮が剥がれずきれいに焼くことができます。
5.盛りつけるときに表になる方を下にして、中火で5分→裏返して5分焼く。皿に盛り、大根おろし、すだち、醤油を添える。
【POINT】
・魚焼きグリルに水を張って焼くことで、蒸気でさんまがふっくら、ガス火で皮がパリッと焼き上がります。
・ガス火の強さやさんまの大きさで加熱時間が変わります。皮にしっかり焼き目が付くまで焼いてくださいね。
●このレシピをお気に入り保存する
基本のさんまの塩焼き【魚焼きグリル】
フライパンで簡単に作れる!さんまの塩焼き
【材料(2人分)】
さんま 2尾
塩(振り塩) 小さじ2/3(4g)
大根おろし・すだち・醤油 各適量
【作り方】
1.さんまの尾から頭に向かって包丁で優しくこすり、ウロコや汚れ、ヌメリを取る。流水でサッと洗いキッチンペーパーで水気を拭き取る。
2.さんまの中央を斜めに半分に切る。さんま1匹に対して塩小さじ1/3(2g)を、20cmぐらいの高さからまんべんなく表裏にまぶし、10〜15分置く。出てきた水分をキッチンペーパーで押さえて拭き取る。
【POINT】
・お腹の穴(肛門)の手前を切ると内臓が途中で切れずにきれいに焼けます。
・お好みでさんまに切り目(飾り包丁)を入れて焼いていただいても。
3.フライパンにフライパン用ホイルシートなどを敷き、さんまを等間隔で並べる。
【POINT】
・ホイルシートを敷くことでさんまの皮が剥がれずきれいに焼けます。また、後片付けも簡単になりますよ。
・焼いているときにさんま同士がくっつくと、皮や身が剥がれるので少し離して焼いてくださいね。
4.弱めの中火で蓋をして7〜8分、裏返して7〜8分焼く。お好みで大根おろし、すだち、醤油を添える。
【POINT】
・蓋をして蒸し焼きにすることでさんまの中までしっかり火が通り、ふっくら仕上がります。蓋をすることで油ハネも防ぐことができますよ。
●このレシピをお気に入り保存する
フライパンで簡単!さんまの塩焼き
さんまの内臓(ワタ)の簡単な取り方
さんまの内臓(ワタ)は苦味の中にうま味があり、好きな方にはたまりませんが、苦味が苦手な方やお子さんには食べにくいですよね。そんなときは、簡単に内臓を取る方法があります。
1.さんまの頭の下を骨まで切る。
2.腹側の穴(肛門)の上に切り目を入れる。
3.頭と胴体を持ち、頭側をスーッと引き抜く。
4.流水でさんまをきれいに洗い、キッチンペーパーで水気を拭く。
【POINT】
・頭を切り落としてしまうと内臓が一緒に取れないので、骨を切ったら包丁を止めるように注意してくださいね。
・さんまは無理に中まで指を入れて洗わず、流水で水が濁らなくなるまで洗ってください。
子どもが食べやすい骨なしさんま
骨が多いさんまは、お子さんやご高齢の方には少し食べにくいもの。見た目はそのままで骨だけ取った「骨なしさんま」なら簡単に食べていただけますよ。
1.さんまの腹側に頭の下から肛門まで切り目を入れる。
2.包丁で内臓をかき出す。
3.さんまを流水できれいに洗い、キッチンペーパーで水気を拭く。
4.基本の焼き方の工程2〜5でさんまを焼く。
5.さんまが熱い間にさんまを開いて骨と小骨を取り、元の姿に戻す。
【POINT】
・尾頭付きに仕上げるため、腹側から内臓を取り出します。
・お子さんに作る場合、内臓を包丁でかき出すときに身に付いた黒い部分もきれいに取るようにすると、苦味がなくなって食べやすくなりますよ。
・さんまが熱いうちは、お箸で簡単に骨と小骨が取れます。冷めてしまうとうまく取れないので注意してくださいね。
いかがでしたか? 「秋刀魚」という漢字で表される通り、秋が旬のさんまは、9月〜10月が1年で一番脂がのって美味しいとき。また、美味しいだけでなく、良質なタンパク質や、必須脂肪酸のEPA、DHAを始め、ビタミン類やカルシウム、鉄分など栄養もたっぷり含まれています。まさに今が旬まっただ中のさんまを召し上がって、心も体も元気に秋を満喫してくださいね。
●こちらのコラムもチェックしてみてくださいね。
・圧力鍋がなくても大丈夫!骨まで食べられるさんまのやわらか煮
・フライパンで簡単!洋風も中華風もあり?さんまを美味しくアレンジ!