ビタミンには水溶性と脂溶性がある
「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」いう言葉を聞いたことがある方も多いと思います。その名の通り、ビタミンには水に溶ける「水溶性ビタミン」と、油に溶ける「脂溶性ビタミン」があり、水溶性はビタミンB群・ビタミンC、脂溶性はビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKと分けられます。
水溶性ビタミンは水に溶け出る
水溶性ビタミンは水に溶ける性質を持っているので、下ゆでなどを行うことでゆで汁にビタミンが流出します。野菜やいも100gあたりのビタミンC含有量と損失割合を表にしました。加熱時間などにもよりますが、約半量のビタミンCが損失することがわかります。
ゆでることで、水溶性ビタミンなどが損失してしまうことを考えると、電子レンジ加熱や蒸し調理は、ゆでるよりも水溶性ビタミンの損失を防ぐことができます。
また、ビタミンCやビタミンB群をそのまま摂取したいと思うなら、汁物などにして水分も食べる調理をするのが◎。溶け出た栄養素も丸ごと食べることができますよ。
アク抜きをするならゆでる
とはいえ、どのように野菜を加熱するのかに気を取られすぎることはないと思います。
「栄養素の損失を防ぐ」のか、「時短で下処理したい」のか、「アクをしっかり抜きたい」のか、その日の料理に合わせて下処理の方法を変えるのが良いと思います。
例えば、ほうれん草のアク抜きの場合はきちんとゆでるのが◎。電子レンジ加熱でのアク抜きは下ゆでにはかないません。一方、もやしなどの場合は電子レンジ調理の方がビタミンCの損失を防げます。
「ビタミンCが熱に弱い」は気にする必要なし
ビタミンCが熱に弱いというのは、長時間加熱によるものが多く、下ゆでなどの加熱時間ならそこまで気にする必要はないと思います。
それよりも、加熱での栄養素の損失を気にして生野菜ばかり食べるのはおすすめできません。
生野菜は温野菜と比べて、かさが減らないのでたくさん食べることは難しいもの。また、生で食べるのに向かない野菜も多いので、生野菜と温野菜を組み合わせて食べるようにするのが良いですよ。
脂溶性ビタミンは油と一緒に
脂溶性ビタミンは油に溶け出て、吸収率がアップします。そのため、炒めたり揚げたり、ドレッシングをかけたりなどと、油と一緒に摂ることをおすすめします。
また、脂溶性ビタミンは、水溶性ビタミンのように尿に溶けて排出されないので、過剰に摂取すると過剰症を引き起こすことも。サプリメントなどを摂取するときは気をつけましょう。
少ない野菜で栄養価をたっぷりとるのは難しい
そもそも毎日の野菜摂取量が少ないということはないでしょうか? 食べる野菜量が少なければ、実際に摂っている栄養価は、下処理などの影響を受けてさらに少なくなっています。
1日に食べたい野菜の量は350gであり、1食あたり約120gというと、温野菜で片手いっぱい、生野菜で両手いっぱいほどです。朝食や昼食で野菜を食べない場合は、1食あたりに食べたい野菜量がさらに増えることになります。
電子レンジで作るおすすめレシピ
もやしは電子レンジで加熱すると、下ゆでした時と比べて、ゆで汁へのビタミンCの流出を防ぐことがきでます。
もやしの和風ナムル
【材料(2人分)】もやし…1袋醤油…小さじ1ごま油…小さじ1顆粒和風だし…小さじ1/2糸唐辛子…適量
【作り方】1.耐熱ボウルにもやしを入れ、ふんわりとラップをして電子レンジ600wで2分加熱する。ざるにあけ、水気を切る。
2.ボウルに醤油、ごま油、顆粒和風だしを入れて混ぜ、1を加えて和える。器に盛り、糸唐辛子をかざる。
詳しいレシピはこちら
栄養価も大切。けれどおいしい料理を、という気持ちも忘れないで
理想はおいしい料理で栄養もたっぷり、というものですよね。ですが栄養価を気にしすぎるあまり、料理の味が落ちてしまうのは本末転倒。
栄養素の損失などを気にして、アク抜きや塩もみなどの下処理をきちんと行わないと、料理の味に悪影響が出てしまいます。
おいしい料理を作るためには、きちんと下処理を行いつつ、できるだけ栄養価が残るように工夫するのが良いですよ。
栄養を食べるのか料理を食べるのか
いかがでしたか? 栄養素、特に水溶性ビタミンの下処理での損失について解説しました。
確かに、水溶性ビタミンは下ゆでなどにより損失してしまいます。下ゆですることによる栄養素の損失をとるか、栄養価が多少落ちてもおいしく食べるために下ゆでをするのかは、作る人次第です。
私は、おいしい料理を食べるために下ゆでをします。その分、たっぷり食べるようにしたり、できるだけさまざまな野菜を食べるようにしています。今回の記事が日々の料理の疑問解決につながったら嬉しいです。
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