「スペインでは1日5食たべる」こんな話を聞いたことはありますか? 朝が早く、日の入りも夕食も遅いスペインでは、3食の間に軽食を挟むのが定番の食スタイル。冗談のように聞こえますが、これ、大げさな話ではありません。
この軽食や夕方のおやつにスペインっ子たちが食べるのが「コカ(coca)」。
用意するのは強力粉ではなく薄力粉。グルテンを意識する必要もなく、捏ねも「水分量が均一になればいい」と、いたってカジュアル。二次発酵もありません。
気泡を作って思い切り立ち上げる生地ではなく、きめの細かくしっとりふわりとした食感。ソースは使わず、野菜やアンチョビをのせてシンプルに焼きます。
昔は発酵せず、カリカリに焼いていたそうですが、現在では発酵させる作り方が主流です。
コカの作り方①生地を作る
ボウルに薄力粉250g・ドライイースト小さじ1・砂糖小さじ2・塩小さじ1/2を合せてさっと混ぜ、オリーブオイル大さじ3・水110mlを加えます。
通常のピザ生地やパン生地と比べ、オリーブオイルを多めに入れるのがコカの特徴。食感や風味に影響するだけじゃなく、火の通りを均一にする役割もあります。
ひとまとまりになったら捏ね台やまな板に取り出し、手の甲で生地を押し出すようにしながら捏ねていきます。
最初はベタベタしますが、すぐに水っぽさがなくなり、ひとまとまりになってきます。
コカの捏ねはグルテンを引き出す目的ではないので、生地全体の水分量が均一になったら捏ね作業は終了です。
コカの作り方②1時間発酵させる
生地を丸め、大きめのボウルに入れてふんわりラップをかけます。常温で1時間休ませると、生地が倍くらいの大きさまで膨らみます。ポンッ!
室温が低いとうまく膨らまないこともありますが、そこは気にせず次へ進みましょう。私にこのレシピを教えてくれたスペインのお母さんは「同じレシピでも、その日の天気によって違うコカになるのが楽しいでしょう?」と笑顔で答えてくれました。
コカの作り方③生地に具材をトッピング
クッキングペーパーの上に生地を取り出し、麺棒と指先を使って天板いっぱいに広げます。厚みが均一になったらオリーブオイル(分量外)をたっぷり塗り、塩コショウをふってトッピング。ソースは使いません。
左から、トマト&オイルサーディン&タイム、パプリカ&ツナ、クルミ&チーズ(ブルー・カマンベールなど)。
230℃に熱したオーブンで10分焼いて完成!
取り分けやすい大きさにカットしていただきます! クルミ&チーズにはハチミツやメープルシロップをたっぷりかけてどうぞ。私はこれが一番のお気に入り♪
色々なコカを作ってみよう!
コカは四角や俵型に焼くのが主流ですが、もちろん丸く焼いてもOKです。こちらは「タマネギ&オリーブ&アンチョビ」「タマネギ&クリームチーズ&生ハム」をトッピングしました。
ナス、ズッキーニ、キノコ、ジャガイモ、ベーコン、チョリソ(スペインのドライサラミ)など、トッピングのアレンジは自由に。
スペインではカスタードクリームをたっぷり絞ったり、聖ヨハネの前夜祭には砂糖漬けのフルーツをたっぷりトッピングした甘いコカも出回ります。
トッピングなしで焼いて、サラダ仕立てで楽しんでも。
ロースハム・クリームチーズ・生クリームで作ったハムディップを塗り、ベビーリーフ・ミニトマト・クルミ・パルメザンチーズをトッピング。
別々に持ち出せばピクニック仕様にもピッタリ。市販のディップを数種類用意して、自由にのせて食べるパーティースタイルも楽しいですよ。
スペインのコカは、とにかくカジュアルに作るのがポイント。家庭によって配合が違ったり、バルによってトッピングが違ったり、地方によって形が違ったり…。それぞれが、それぞれに魅力的なお料理。正解も失敗もありません。自由な発想で、まずは楽しみながら作ってみてください!