苺の専門家が「おいしい苺の見極め方」を伝授!
僕は長年、苺などのベリー類を取り扱う仕事をしていたためか、「おいしい苺を教えてください」と聞かれることがよくあります。
そこで今回は、苺の専門家として、スーパーでおいしい苺を選ぶ方法や自宅でおいしく食べる方法、裏ワザをお教えします!
売り場でおいしい苺を選ぶためのコツ
産地が近場のほうがしっかり熟している!
お住いのスーパーに近い産地の苺なら、収穫日の夜には市場に出荷され、夜中のうちに店舗配送の車につみこまれ翌朝にはお店に並びます。
つまり、産地が近い苺のほうが、しっかり熟し、かつフレッシュな状態で売り場に置かれている、ということ。
例えば九州から東京に出荷すると、輸送に中1日プラスされるので、熟度を7割で出荷することも多くなってきます。
おいしい苺は色、つや、形、重さで選ぶ!
僕がおいしい苺を選ぶ基準は色、艶、形、重さです。
◎ヘタの下の白い部分が小さく、表面に光沢が出ている
◎ヘタは反っていて色が濃く、苺の肩の部分よりひとまわり小さいぐらいの大きさ
◎種の周りが盛り上がっていて、はりがあるもの
◎重すぎない(ずっしりと重いものは水分を多く含みすぎていて薄味の可能性も)
逆に「これは選んじゃだめ!」という苺の基準もお教えします。
◎ヘタの色が薄く、枯れている
◎ヘタが小さい
◎果肉の色が薄い、又は赤黒い
◎重い
これを避けるだけでもだいぶ違いますよ!
苺にレモン水!?おいしくなる洗い方
洗うときは、ヘタを取る前に軽く水洗いしてください。ヘタを取ってから洗ってしまうと切り口から水を吸い上げ、果肉の糖度が薄くなってしまいます。
ボウルに水を張り、レモンを絞った「レモン水」を作り、この中で苺を軽く洗うと、水洗いだけの時より苺がしまるので、さらにおいしく食べられます。
ヘタのほうから食べるほうが甘味の余韻が残る!
苺は豪快に一口で食べるのが一番おいしいと思います!
でも、一口では食べきれないときもありますよね。二口で食べる人は、ヘタのほうから食べると、二口目でより甘味を感じるので後味に甘味の余韻が残りますよ。
もらった苺がおいしくないときの裏技
苺はギフトやお見舞いなど人からもらう事も多いフルーツです。苺の仕事をしていると、サンプルでいただく事も多々あるのですが、中にはあまりおいしくない時もあります。
そんな時は苺のヘタを取り、縦に四等分します。そこに三温糖大さじ1とレモン汁小さじ1を加え、あえてから10分くらい冷蔵庫で冷やしましょう(調味料は苺1パックに対しての分量)。
そのまま食べてもおいしいですが、バニラアイスやヨーグルト、パンケーキのトッピングにもぴったりです。
ジャムにするときは冷凍を!
ジャムにする場合は、一度冷凍して繊維を壊してから煮詰めたほうがおいしく仕上がります。
ジャムは果肉の重さの1/3の砂糖に、レモン汁適量がベースです。あとは好みで甘味強めか、酸味強めかで砂糖とレモン汁の量を調整してください。
火力が強いと焦げたりジャムの色が濃くなったりするので、80℃以下で煮詰めていくときれいな色になります。
苺県Best5とおすすめ品種
栃木県 とちおとめ、スカイベリー
おすすめなのは、東日本No1品種のとちおとめと今後生産者が増えていくスカイベリーの2本立て! スカイベリーはサイズが大きくなる品種なので、ギフトとして珍重されそう。
福岡県 あまおう
西の横綱、あまおうは福岡の広範囲で栽培されており、海外でも人気の品種。マニアックな苺ファンは農協ごとに食べ比べ、おいしい地区を限定してるとか。福岡県の独自のマーケティングと農家さんとの連携によって良い品種に育っています。
熊本県 ひのしずく
品種名は「熊研い548」といい、かけ合わせの中に「さちのか」が入っています。最近、「さちのか」を親に持つ苺が増えているのですが、その特徴は酸味と香りの強さです。
静岡県 紅ほっぺ
かつては静岡といったら章姫(あきひめ)でしたが、章姫にかわり静岡の主流は紅ほっぺに変わりました。
紅ほっぺも「さちのか」を親に持つ品種の一つ。糖度も高く、程よい酸味と香りが売れてる要因だと思います。クリームとの相性もいいのでロールケーキに使うパティシエさんも多い品種。
長崎県 さちのか
糖度が高く、果皮はあまおうより濃い赤になり、食べたときの香りは一番いいと思います。
「とよのか&アイベリー」をかけあわせた品種で、長崎はこのほかに「ゆめのか」や「みつこ」も栽培しています。
おいしい苺はあなたが決める!
ここまで、プロ目線で苺のことを解説してきました。
しかし「おいしい苺」の基準は食べる人によって様々です。プロになって流通を知れば知るほど、どれか一つの「おいしい苺」を選ぶことって難しいんです。
例えば、同じ県で栽培されていても生産方法や蜂の量などでも大きく味はかわります。
また、天気がいいからといって一概においしいとは限らず、曇りでゆっくり日数をかけて赤くなった苺と天候が良く一気に色着いた苺では、見た目は変わらなくても甘さの深さが変わるんです。
ですから、「おいしい」の基準は人それぞれ、自分にとっての「おいしい苺」をぜひ売り場で探してみてください。
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