料理好きのPCインストラクターから料理家へ
小さいころから料理に興味があり、母が料理をするのを眺めるのが好きな子どもでした。母親が仕事をしていたこともあり、小学生になると、自分でおやつを作ったり、土曜日の昼ご飯などを作ったりしていましたね。食いしん坊だったので、料理ができあがることが単純に楽しかったのだと思います。
大学卒業後は富士通株式会社に就職、8年間ほどPCインストラクターとして働いていました。出産で退職し、再就職では「料理を仕事にしたい!」と思っていたのですが、洋菓子店やイタリアンレストランのパートにも採用されず…。結局、小さなパソコン教室でインストラクターをすることに。パソコン教室では18年間働いたのですが、現在は休業中です。
ブログやInstagramを始めたのも、もともとは料理ではなくパソコンの仕事がきっかけです。ブログでは、趣味でレシピを紹介することも多かったのですが、次第に、料理を仕事にしたいと望む気持ちが出てきて…。それで私も、Nadiaに応募してみようと思いました。Nadiaは友人のSNSなどでその様子を目にすることがあり、サイトがとても魅力的に思えたんですよね。Nadia Artistの友人から紹介してあげようかとも言われたのですが、自分自身の力を試したいと思い、一般応募しました。
Nadia Artistになって料理が仕事に
はじめてのスタジオ撮影の様子
Nadiaへのレシピ投稿は、2016年ごろから。はじめてコラムを書かせていただいたのが2017年、スタジオ撮影に参加させていただいたのが2019年からです。それがきっかけになり、Nadiaのみならず、ほかの企業さまからもコラムのご依頼をいただくようになりました。また、料理関係の友人の人脈からも仕事が広がり、食品メーカーさんのレシピを作って自宅で撮影するといったお手伝いや、不定期の料理教室などのお仕事もさせていただくようになりました。
Nadia Artistになって印象深かったのが、まだお仕事をいただけるようになっていないころ、葛城社長とお話する機会があり、アドバイスをいろいろいただいたことです。私のレシピを見て、「調味料ってこんなに必要ですか?」と言われてハッとしました。それまでは、独りよがりなレシピばかりで、何のためにNadiaにレシピを投稿しているのかというところを考えていなかったなと、思ったんです。第三者から見て、自分のレシピがどのように見えるのかを知ることができて、それは私にとっての大事な気づきでしたね。また、料理家と名乗る自信のなかった私に、「料理研究家、料理家と名乗っていきましょう!」と言って、自信を持たせてくださったのは、ありがたい後押しでした。
現在では、フードコーディネーターとスパイス香辛料ソムリエの資格も取得しています。Nadiaがプロの料理家集団をうたっている中で、自分には実績がなかったため、せめて肩書が欲しいと思い奮起しました。
料理が好きで、それを仕事にすることをずっと望んでいたので、今、料理の仕事に携わっていられるのは、とてもうれしいことです。依頼していただくひとつひとつのお仕事が本当にありがたく、感謝の気持ちをもって取り組んでいます。
美味しく見える写真のために何パターンも撮影
Nadiaにレシピを投稿するときは、「料理を楽しく作りたい」という人に向けてレシピを考えることが多いです。旬の美味しい食材を使ったり、食材や調味料の組み合わせを工夫して、美味しいハーモニーが生まれるようにと頭をひねっています。
ただ、私はキャッチーなタイトルをつけるのがあまり得意ではないので、文章よりは写真で目に留めていただけるようにと思っています。そのため料理の雰囲気に合わせた器のセレクトや、小物配置もよく考えて、何パターンも撮影しています。
一番好きなお仕事は、スタジオでの撮影。毎回、緊張感を感じますが、営業さん、カメラマンさん、スタイリストさん、スタッフみんなで作り上げているという実感がありますね。
間借りカレー屋で自分の特色が見えた
間借りカレー屋さんで出していたカレーとショップカード
昨年は1年間、間借り店舗で週1回のスパイスカレー店をやっていました。もともと香辛料系のレシピに興味はあったのですが、寄稿していたブログで、スパイスをいろいろともらう機会があり、スパイスが大好きになったんです。
ただ、間借りカレーを始めたきっかけは、実はカレー屋をやりたかったというわけではなくて…。自分の居場所のようなものをどこかに持ちたいと思ったときに、たまたま間借りのシステムを見かけたのがきっかけだったんです。見かけたお店が、すごく条件が良くて。スパイスカレー屋さんなら、カレーのストックを作ってご飯にかけるだけだからやりやすいだろうと思ってスパイスカレー屋さんにしたんです。
だからカレーのためにお店を借りたというより、間借りでお店をやりたくてたまたまカレーにしたという流れです。それでも営業しながら汗をかきつつレシピを考えていた日々は、とても充実していましたね。1年間、スパイスカレー屋さんをやってみたことで自分のレシピの特色にも気づくことができ、目指したい姿というのが見えてきました。すごくいい体験ができたと思うし、自信にもなりました。最近は、Nadia Artistの友人宅を借りて、スパイスカレーの教室を実施したりしています。
今後もスパイスについては、もっと勉強して深めていきたいと思っているところです。今までは、自分で試行錯誤して、独学でスパイスを扱ってきていたので、ちゃんともう1回、活用の仕方を学びなおして、もっといろいろ発信できるようにしたいという気持ちがあります。
Nadia Artistとしてもスパイスカレーやスパイス料理などで、人とは違うレシピを発信していきたいですね。いろいろなArtistさんがいる中で、私はすき間を狙っていきたい。ついついお気に入り数が気になってしまいますが…できるだけ私らしい料理を提案できるといいな、と思っています。それから今後は動画にも挑戦したいですね。内容はまだ漠然としていますが、おつまみレシピで、お酒が飲みたくなるような動画が作れたらなぁと思っています。
料理を通して、笑顔になってもらえたら幸せ
出産で退職し、再就職ではことごとく料理業界から断られ、自分は料理が好きなだけで仕事につながることはないのだとあきらめていました。それが今、いろいろな仕事をいただけるようになったのは、Nadiaのおかげだと感謝しています。
今関わらせていただいているNadiaの社員の皆さんは、情熱がある方ばかりで、その仕事ぶりにいつも頭が下がる思いです。また、一緒に仕事ができることをとてもうれしく思っています。
それから将来の目標は、あんまりたいそうなことは考えていませんが…(笑)。私のレシピを作ってくださる方がいて、その料理を「美味しいね」と笑顔で食べていただくことができたら、幸せだと思っています。クライアントさんからは次もご指名いただけるような、Nadiaユーザーさんからは、リピートして作っていただけるようなレシピを作っていきたいです。私のレシピを見て、作ってくれた人が、「あ、このレシピ面白いな」「作ってみたら美味しかったな」というように、食事中に会話がはずんだりすれば、それ以上にうれしいことはありません。
写真:高橋 しのの 文:室井瞳子
笠原知子's profile
フードコーディネーター、スパイス香辛料ソムリエ、パソコンインストラクター。素材の組み合わせ、スパイスや香味野菜使いなど、家庭料理にひと工夫加えて、普段の食卓がより賑やかになるようなレシピを発信中。
笠原知子さんのプロフィールはこちら
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