秋田の郷土料理「いなり煮」とは?
「いなり煮」とは、どんな食べものかご存じですか? 「いなり寿司」は知ってるけど「いなり煮」は知らないという方も多いのではないでしょうか?
いなり煮は秋田の郷土料理です。地域の60代、70代の女性に絶大な人気のあるお料理の1つ。現地では「揚げまんま」などとも呼ばれています。若い人たちの間では認知度が低く、秋田でも隠れた存在のお料理になりつつあります。
人気の秘密は「甘辛味」と「もっちり食感」
「いなり煮」は、誰からも好まれる甘辛味。沢山作ってみんなにふるまえば、たちまち人気者になれること間違いなしの美味しさなんです! 人気の秘密はもっちり感。甘辛く味付けした油揚げの中におこわとお餅の中間くらいの食感にしたもち米がはいっています。秋田では、地域の集まりの際にふるまったり、農作業の合間に食べていたそうです。
秋田県人は甘み嗜好?なんにでも砂糖を入れちゃう背景とは
「いなり煮」は、もち米を使っているので、主食のように思う方も多いと思います。しかし、一口食べると、まるでお茶うけのような甘い味なんです。
秋田にはこのようにおかずなのか、お菓子なのか分類するのに悩んでしまう砂糖を多く使った甘い料理が他にもたくさんあるんです。いなり煮をはじめ、どうして砂糖を多く使った料理が多いのか、その背景について探ってみましょう。
昔は贅沢品だった砂糖は、主にお祝いやハレの日、行事食に使われてきました。料理に甘みを加えることはごちそう、おもてなしの意味があったのでしょう。砂糖が手に入りやすくなってからもその伝統的調味の習慣は残り、甘み嗜好の形成につながったと考えられています。
いなり煮もそのためか、しっかりした甘みを持ったお料理として地域の人達に愛されるようになりました。地域の集まりの場では、みんなに料理をふるまう機会も多く、その中にいなり煮もよく登場していたようです。みんなでお茶を飲みながら味比べをするような風景もよく見られました。
秋田の味!「いなり煮」を作ってみよう
そんな秋田県民に愛されていた「いなり煮」の作り方をご紹介します。ぜひご自宅で秋田の味を楽しんでみてくださいね。
【材料(作りやすい分量)】
油揚げ(大き目) 2枚
もち米 150g
A 醤油 50g
A 砂糖 大さじ2
A 酒 大さじ1
A みりん 大さじ2
A 水 400ml
【下準備】
もち米は洗い、3時間ほど浸水しておきます。
【作り方】
1、油揚げは2等分に切り、袋状にして口が開くか確かめましょう。開けにくい時は、油揚げの上から綿棒を転がすと開けやすくなります。
2、1をザルにのせて上から熱湯をかけて油切りします。冷めたらやさしく絞ります。
3、ザルで水切りしたもち米を油揚げに入れ、口を楊枝か竹串で止めます。大きめ油揚げならカレースプーンで2杯強くらい入ります。もち米はパンパンに詰めると爆発してしまうので、少し余裕をもって入れてくださいね。
4、Aの調味料を鍋に入れてよく混ぜてから、3を重ならないように並べて火にかけます。
5、落し蓋をして弱火~中火で30分、煮汁がなくなるくらいまで煮ます。頃合いが分からない時は触ってみて、お米の固い感じがなくなるのを目安にしてくださいね。ただし、焦げやすいので火をかけすぎないように注意してください。
6、冷まして味をなじませてから、楊枝を取って食べやすい大きさに切ります。
https://oceans-nadia.com/user/22477/recipe/141095
半日くらいおいておくと、味がしっかり馴染み、より美味しく仕上がります。本場のいなり煮に比べて甘さ控えめで作っていますので、お好みで砂糖の量などを調整してくださいね。
冷めるとしっかりと形成されるので、形崩れも気になりません。お花見に持っていくのもおすすめです。秋田の習慣にならってお料理を持ち寄り、みんなでいなり煮を召し上がってみてはいかがでしょうか。きっといつもとはちょっと違う楽しいお花見を楽しめるはず。
関連コラム
秋の行楽シーズン突入!いなり寿司の作り方徹底解説め
余ったいなりあげで作るアレンジレシピ6選
コクとモチモチ食感が美味しい!沖縄の「ジーマーミ豆腐」がアレを使えば簡単にできる?