体を動かした「後」の食事にも注目したい理由
アスリートや運動をされるお子さんにとって、基礎体力を作る食事は大切ですよね。試合前や練習前には体に吸収が良くてエネルギーになるものを摂り入れたほうがいいことはご存知かと思いますが、体を動かした「後」の食事にも今後の練習や本番に影響する重要なポイントがあります。
運動後の体は、エネルギーを使い果たしてビタミンやミネラルも失い、特に筋肉は壊れて消耗している状態。そんな状態のときに、筋肉量を増やしたいからとタンパク質だけをメインに補給しようとするのは危険です。なぜなら、エネルギーが不足したままではさらに筋肉の分解を早めてしまうからです。
筋肉を作る良質なたんぱく質、エネルギー不足を補給する炭水化物。さらにビタミンやミネラルを適度に摂取し、しっかり体を休めることが体づくりには大切なのです。
運動後の疲労回復に適した食材は?
エネルギー不足を補給するご飯やうどん、いも類とともに、良質なたんぱく質を含む肉や魚、卵、乳製品、大豆食品を積極的に摂りましょう。中でも疲労回復に適した食材は鶏むね肉です。鶏むね肉はイミダペプチドというアミノ酸を含み、疲労で傷ついた細胞を回復します。またビタミンB群も豊富で、食べ物の吸収を高め代謝もアップします。
運動後はたっぷりの汗とともにカルシウムも流れています。カルシウム不足のままでは筋肉が痙攣を起こしやすくなり、骨折の危険も伴います。そこで摂り入れたいのがチーズ。チーズはたっぷりのカルシウムを含み、少量でもカルシウムが摂れるのが魅力です。そんなカルシウムの吸収をアップさせてくれるのがビタミンDを含むきのこ類。特にまいたけに多く含まれるので、チーズと一緒に摂ることをおすすめします。
鶏むね肉やきのこ、チーズ入りの簡単リゾット
今回ご紹介するレシピは「鶏むね肉ときのこの味噌チーズリゾット」です。炊いたご飯を使う簡単リゾットで、鶏むね肉、まいたけやエリンギなどのきのこ類、チーズを加えて作ります。ご飯は、前日の残りものでもOKです。
激しい運動の後は大変体が疲れており、消化力が落ちやすいので、消化をサポートする酵素たっぷりの味噌もプラス。失われた塩分の補給にもなります。トロッととろけるチーズの甘さと味噌やきのこ類、鶏むね肉のうま味が合わさり、疲れていても食べやすいレシピですよ。
作り方のコツは、ご飯を水洗いすること。ご飯のぬめりが取れて、味がなじみやすくなります。炒めた具材とご飯を牛乳で炊いていくのですが、「疲れていて食事がすすまない」という時は水分が多めの状態で早めに火を止めると良いでしょう。スープご飯のようになり、さらっと食べやすくなります。
詳しいレシピはこちら
●鶏むね肉ときのこの味噌チーズリゾット
食べることもトレーニングのひとつ
練習後の食事にもこだわることで、体に疲労を残すことなく、体力、筋肉を回復させて次に備えやすくなります。スポーツのパフォーマンスはまさに食事に左右されると言っても過言ではないということです。
食生活も練習も、日々の積み重ねが大事。体の基礎を作る食事を習慣化していくことで、その時その時で自分が選択すべき食事が明確に分かるようになっていきます。
疲れを素早く回復させるのも、食事を意識することも、アスリートの大切な仕事。食べることもトレーニングのひとつとしてとらえ、コンディションを整え、さらに強いアスリートを目指してもらいたいです。
今回お話を伺ったNadia Artist
管理栄養士、予防医療診断士、野菜ソムリエ、発酵マイスター 岩崎小百合
https://oceans-nadia.com/user/96410
編集協力:六甲バター株式会社