クラフトビールとは?
クラフトビールには、どのような特徴や歴史があるのでしょうか。「地ビール」と「クラフトビール」の違いも解説します。
クラフトビールとは、作り手の顔が見える個性豊かなビール
クラフトビールは、直訳すると「手作りのビール」。日本ではハッキリとした定義はありませんが、小~中規模のブルワリー(醸造所)で、こだわってつくられたビールのことをクラフトビールと呼んでいます。
ビールの種類は150種類以上あり、色も、香りも、味わいもさまざま。クラフトビールは、銘柄やつくり手、つくるタンクなどによって、見た目も味も個性豊かなところが魅力です。ぜひ好みのクラフトビールを探してみてください。
クラフトビールと地ビールの違いは?
日本では従来、年間2000キロリットルのビールを製造する大手業者でないと醸造免許が取得できませんでしたが、1994年に酒税法が改正され、最低製造量が年間60キロリットルまで引き下げられました。
この法改正を機に全国で小規模醸造所が誕生し、個性を打ち出した「地ビール」が次々と生まれました。この流れは2000年代初頭まで続き、ブームになりましたが、数年で衰退。
しかし、その時期も地道な努力で生き残った一部の醸造所が、今の日本のクラフトビール文化を花開かせる原動力となりました。
2000年代にはアメリカでクラフトビールが人気を集めるようになり、日本の「地ビール」が「クラフトビール」として再評価されるようになりました。
クラフトビールはどうやってつくるの?
ビールの主原料と、基本的なビールのつくり方を解説します。
ビールの味は4つの原料で決まる!
ビールの主原料となるのは、モルト、ホップ、酵母、水の4つ。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
●モルト
発芽させた大麦や小麦のことで、麦芽とも呼ばれています。ビールの味わいと香り、色をつくりだす主原料です。
●ホップ
ハーブの一種で、ビールにアロマ(香り)と苦みをもたらします。品種によって香りの質や苦みの強さはさまざま。また、泡もちをよくしたり、防腐の役割もあります。
●酵母
ビールを発酵させる微生物。モルトが生成した糖分を、アルコールと炭酸ガスに分解する大事な役割を担っています。
●水
ミネラル成分を適度に含んだ水が、ビールをつくるのに適しています。ビールの90%以上が水なので、良質な水は美味しいビールをつくる鍵となります。
基本的なビールのつくり方
ビールは、主に「モルト(麦芽)づくり→仕込み→発酵・貯酒(ちょしゅ)・熟成→充填(じゅうてん)」の工程を経てできあがります。
まずは大麦に2日ほど水分を含ませ発芽させ、デンプンやタンパク質を分解する酵素が発生したら、発芽を止めて乾燥や焙煎をしてモルト(麦芽)をつくります。
次に仕込みの作業で、モルト(麦芽)を煮てビールのもとになる「麦汁」をつくります。
冷ました麦汁にホップを入れて香りや苦みをつけ、酵母を加え発酵させます。その後低温で熟成する貯酒工程が完了したら、缶や瓶などに充填して完成です。
好みのクラフトビールを選ぶには?
150種類以上ある中から、どのように好みのビールを選べば良いのでしょうか。ここでは、覚えておきたい基本の種類や選び方を詳しく解説します。
迷ったら色で選ぼう!
個性豊かで味わいが多様なクラフトビール。選択肢が多く、どのビールから始めたらいいのか分からない…という方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、まずは「淡い色のビール」から挑戦するのがおすすめ。淡い色のビールは飲み口が軽く、比較的クセの少ないビールが多いです。
クラフトビールなので味わいはさまざまですが、淡い色のビールは、ふだん慣れ親しんだ味に近いことが多いと言われています。また、一般的に色が濃くなるほどに味わいやコクなどが濃厚になっていくことが多いため、淡い色から始めて、少しずつ濃い色に移っていくのがおすすめです。
初心者でも覚えておきたい基本のビアスタイル6種
ビールの種類は150種類以上あり、ビールの種類のことを「ビアスタイル」と呼びます。ここでは、飲みやすい王道のビアスタイル2種と、初心者にもおすすめのビアスタイル4種をご紹介します。
基本の2種は「ピルスナー」と「ペールエール」、ほかにも覚えておきたい4種は「ヴァイツェン」、「IPA」、「フルーツビール」、「スタウト」です。
●ピルスナー
日本で流通している大手メーカーの国産ビールのほとんどが、ピルスナーです。淡い黄金色が美しく、のどごしが良くてシャープな味わいが特徴。
●ペールエール
イギリスの代表選手で、少し濃いめの琥珀色をしています。フルーティーで華やかな香りと、豊かなコクが特徴です。
●ヴァイツェン
原料に小麦を使っていて、うっすら白濁しているのが特徴。南ドイツ生まれでバナナに似た香りがします。苦みが少なくさわやかな飲み心地で、ビールが苦手な人にもおすすめです。
●IPA
IPAは「インディア・ペールエール」の略称で、ペールエールにホップを大量に投入したところから生まれました。香りと苦みがしっかりしたビールです。
●フルーツビール
その名のとおり、原料にフルーツが使われたビール。フルーツの種類によって色も味わいもさまざまですが、いずれもフルーツの香りや甘み、酸味が生きていてフルーティーです。
●スタウト
アイルランド発祥の黒ビール。濃い色みと、独特の香ばしさや苦みが特徴です。
ビアスタイル別に紹介!ビールと相性の良い料理のレシピ
Nadiaで人気のレシピの中から、ビールがすすむおつまみのレシピをご紹介。ビアスタイル別に相性の良いおつまみレシピを集めました。ぜひ参考にしてみてください!
ピルスナー×やわらかささみでつくるねぎ塩チキン
すっきりとした味わいのピルスナーは、料理のじゃまをしないビールですが、色で料理と組み合わせるのがおすすめ。薄い色みのピルスナーには、似た色みのささみでつくるおつまみを合わせてみてはいかがでしょうか。ささみに下味をつけて焼き、特製のねぎ塩だれを絡めるだけで簡単にできあがります!
●Yuuさんの絶対ビール!!居酒屋風♡『柔らかささ身 de ネギ塩チキン』
ペールエール×しょうが醤油が効いた和風フィッシュ&チップス
ビールと料理を国で合わせるのもおすすめです。ペールエールも比較的どんな料理にも合うとされていますが、発祥国であるイギリスのパブの定番、フィッシュ&チップスとの相性は抜群です! にんにくとしょうが醤油が効いた和風フィッシュ&チップス、ぜひお試しください。
●ちおりさんの生姜醤油が効いてる☆和風フィッシュ&チップス
ヴァイツェン×ピリ辛ソーセージ炒め
ドイツ生まれのビールであるヴァイツェンは、ソーセージと良く合います。ソーセージと鷹の爪をオリーブオイルで炒めたシンプルなレシピですが、ビールのおつまみにぴったり。辛さは鷹の爪の量で調整してみてくださいね。
●菅智香さんのビールがススム!ピリ辛ソーセージ炒め
IPA×包まないひと口棒餃子
IPAはホップをたくさん使うため苦みが強いのが特徴。そのインパクトに負けないよう、おつまみもインパクトのある餃子を合わせてみてはいかがでしょうか。包まず折りたたんで作る棒餃子なので、忙しい時もささっと作ることができます。冷凍保存もできるので、たくさん作って冷凍しておくのもおすすめです。
●RINATY(りなてぃ)さんのパクパク食べちゃう♡『包まないひとくち棒餃子』冷凍保存OK!
フルーツビール×のり塩チーズのおつまみポテト
フルーツビールの味わいは、フルーツの種類によってさまざま。使っているフルーツに合わせて料理を合わせるとバランスが取れます。甘みのあるものは、塩気のあるチーズとの相性抜群。こちらのレシピは、青のりと粉チーズをたっぷりまぶしたポテトのレシピです。揚げ焼きなので簡単に作れて、とまらない美味しさです。
●今日のおうちごはん!さんの【のり塩チーズのおつまみポテト!】新じゃがあったら絶対作る♡
スタウト×濃厚しっとり生ガトーショコラ
スタウトは香ばしいナッツやチョコレート、コーヒーのような香りが特徴の黒ビール。濃い味わいの黒ビールは、濃厚なスイーツと合わせるのが人気です。こちらは、材料4つで手軽に作れるガトーショコラのレシピ。生チョコのような口どけと、しっとり濃厚な味わいがたまりません。
●スギヤマ ヒサエさんの【材料4つ】本格♥超濃厚しっとり!!悶絶の生ガトーショコラ
知れば知るほどおもしろいクラフトビールの世界!
クラフトビールにはさまざまな種類があり、色も香りも味わいも違います。今回紹介した選び方を参考にして、自分好みのクラフトビールを探してみてくださいね。また、好みのビールと一緒に、ビールがすすむおつまみのレシピもぜひお試しください!
参考文献
『クラフトビール超入門+日本と世界の美味しいビール図鑑110』(主婦の友社)
『エンジョイ!クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』(スコット・マーフィー、岩田リョウコ・KADOKAWA)