今が旬の「あじ」。手に入りやすく価格も手頃で、毎日の献立に積極的に取り入れたい魚です。
とはいえ、一尾単位で売られているのを見ると「家でさばくのは無理…」と躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか。
じつは「あじ」は、下処理さえすれば、二枚や三枚におろすことなく、丸ごと調理できる優秀食材。一尾まるごとの状態で焼いたり、煮たりできるうえ、和やイタリアンなどさまざまな味付けにもなじみます。
それではさっそく、「あじ」を丸ごとおいしくいただくための下処理の手順とコツを見ていきましょう。いくつかのポイントを押さえれば、初めてでも簡単にできますよ!
素材選びで美味しさが決まる! 新鮮なあじの選び方
魚選びは、鮮度の見極めが肝心。一番のポイントは「目」を見ることです。目が澄んで透明感があるのは鮮度がよい証拠。逆に、にごっているものは鮮度が落ちています。
続いて魚体全体をチェック。頭から尾のほうまで全体的に太いものは、身が詰まり脂も乗って、まさに旬の味! 逆に注意したいのは腹周りのみがぷっくりしている魚。これはエサを食べた直後で腹が膨れているだけ、という可能性が。
あじの下処理は全部で5工程。まな板と、研いだ包丁を準備
まな板と包丁があれば、あじの下処理は準備OK。魚の身をおろしたり、硬い骨を切るわけではないので出刃包丁でなくてもできますが、包丁はよく研いであることが条件。切れない包丁では、せっかくの魚を傷つけてしまうことに!
下処理1:うろこを取る→背も腹も、全体をまんべんなく
包丁の刃のあご(根元)の部分を魚に対して垂直に当て、尾から頭に向かって一定方向に細かく動かします。
ポイントは包丁を当てる角度。垂直~やや内側に倒すと、魚を傷つけずにうろこだけを取ることができます。背や腹の下の部分なども丁寧に、忘れずうろこを取って。
下処理2:ぜいごを取る→身までそがないよう慎重に
尾から腹にかけての、トゲが連なったような部分がぜいご。硬くて食べられないので切り取ります。
尾側の端に包丁を平行に入れ、手前に引くように切ります。慣れるまでは、身をそがないよう少しずつ慎重に切りましょう。
下処理3:エラを取る→頭を残して調理する場合は必須!
エラがついたまま調理すると、口当たりが悪く、くさみも出てしまうので必ず取りましょう。
エラぶたをめくり、エラの両端の付け根に包丁で切り込みを入れ、ぐるりとそぎ切りを。柔らかいので包丁の刃先でやさしく切ります。
下処理4:わた(内蔵)を取る→菜箸で引っぱり出せる!
あじの頭を右に向けて置き、胸ビレの下あたりに切り込みを入れます。
そこから菜箸や指を入れ、ひっかけるようにして引っぱり出すのがコツ。奥のほうは残りやすいので、一気に取ろうとせず何度かに分けて丁寧に行います。
下処理5:中をキレイに拭き取る→水分が残ると傷む原因に
1~4までの下処理を終えたら、腹の中をキレイに拭いて完了。4で切り込みを入れたところから、キッチンペーパーなどで血や水分を拭き取ります。
もし魚全体を洗いたいときは、水道水では傷む原因になるので、海水と同じ5%の塩水で。
下処理のあとは保存できる?
新鮮なあじがたくさん手に入ったときは、下処理をしてから保存を。
はじめにうろこを取ります(ぜいごはつけたまま)。次に頭を切り落とし、内蔵部分を取り除きます。
水分で傷むのを防ぐためペーパータオルを中に詰め、空気に触れさせないようラップで包んで冷蔵庫へ。ぜいごを切ると断面の色が変わりやすいので、ぜいごは残したままでOK。これで、翌日までは鮮度を保てます。
※刺身の場合は1~2日を目安にできるだけ鮮度が良い状態でお召し上がりください。また、加熱調理する場合、頭と内臓を取っても少しずつは傷んでいきますので、2日間冷蔵庫で保存し、その日に使わない場合は、三枚におろして冷凍するのがおすすめです。(解凍する場合は自然解凍がおすすめ)
下処理で取ったエラやわたは、ニオイが漏れない工夫を
魚の下処理で出たゴミは水気をとって、ビニール袋を2重にするなどしてゴミ箱へ。防臭効果のある新聞紙にくるんでからビニールに入れれば、さらに効果的です。
キッチンの衛生面が気になる夏場。ニオイを出さない生ゴミの処理方法を、ぜひ実践しましょう。
魚の下処理はしたことがないという人も、一度チャレンジしてみれば意外と簡単なことがわかるはず。魚料理の楽しさがぐんと広がりますよ!
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