実は難しい!?生チョコレート
やわらかくなめらかに溶ける食感が特徴の生チョコレート。ココアパウダーをまとったシックで整った見た目、ひと口でチョコレートの香りが口いっぱいに広がり濃厚な味わいを楽しめる生チョコは贈り物にも最適です。材料、工程が少なめなので、手作り初心者さんでも挑戦しやすいお菓子だと思います。
でも、簡単に作れるといわれる生チョコにも実は落とし穴がいっぱい! 知らないと失敗の原因となってしまうポイントがあるんです。
失敗しないためのポイントは材料選びから始まっています!
材料の「チョコレート」はどれを選んでもいいの?
生チョコでメインとなる材料はもちろん「チョコレート」です。このチョコレート選びの時点ですでに戦いは始まっています!
実はプロのレシピに書かれた「チョコレート」は「クーベルチュールチョコレート」という純度の高いチョコレートを指す場合がほとんどです。
でもクーベルチュールチョコレートは製菓材料専門店などでないと手に入りにくいので、代わりに板チョコを選ぶこともあると思います。そもそもクーベルチュールチョコレートを知らなければ板チョコ一択だと思いますし、好みでホワイトチョコを選ぶこともありますよね。
でも、それが失敗の原因になってしまうことがあるんです・・・
生クリームって植物性ホイップと同じ?
生チョコの基本材料のもうひとつは生クリーム。
「生クリーム」というのは動物性脂肪のもののことです。スーパーに行くと値段の高い生クリームと並んで、半分くらいの値段で「植物性ホイップ」というのが売られていると思います。どちらも泡立ててケーキのデコレーションなどに使えるものなので、どちらを選んでも違いはないように思いますが、これらは性質が全く違うものです。
とはいえ、板チョコや植物性のホイップだと作れないというわけではないのでご安心ください。このことを知らずに作ると失敗の原因になることがあるということをまずは知っておいてくださいね。
基本の生チョコの作り方
【材料(パウンド型1台分/できあがり17×7×1.8cm1枚)】
クーベルチュールチョコレート(カカオ分58%) 150g
動物性生クリーム(脂肪分35%) 80ml
はちみつ 5g(※なくても作れます。水あめで代用可)
ココアパウダー 20g(ミルクや砂糖の入っていないもの)
※チョコレートのカカオ分は多少違っていても大丈夫です。
※今回のレシピでは、比較的手に入りやすく、使用する材料も少なめで作れる点からパウンド型を選びました。使用する型に決まりはないので、バットやプラスチック製容器など手持ちの物で代用可能です。
※型の大きさが異なる場合、チョコレート:生クリームの割合は2:1を基本として分量を調節してください。
【作り方】
<下準備>
・チョコレートを細かく刻みボウルに入れておく。
・パウンド型にオーブンシートを敷きこむ。(高さは2cmくらいあれば大丈夫です)
1.生クリームとはちみつを鍋で沸騰直前まで温める。
【ポイント】
沸騰するまで温めてしまうと分離しやすくなるので、鍋肌からふつふつしてきたくらいでOKです。
2.刻んだチョコレートのボウルに温めた生クリームを一気に回し入れる。
【ポイント】
分量が少なく、温度が下がりやすいのでチョコレートは細かく刻んでおかないと溶けにくいです。また生クリームは少しずつ注ぎ入れると温度が下がってしまうので一気に入れます。
3.中心から静かに混ぜる。
【ポイント】
空気を含ませないように静かに混ぜて、少しずつ乳化させていきます。
4.チョコレートが溶け、なめらかでつやのある状態になればOK。
【ポイント】
すべてのチョコレートが溶け、生クリームとつながるとなめらかでつややかな状態になります。
5.用意した型に流し入れ、トントンと打ち付けて空気を抜き冷蔵庫で2時間以上冷やし固める。
【ポイント】
チョコレートや生クリームの種類によっては固まるのに時間がかかることがあります。
6.固まったら取り出し、温めたナイフで好みの大きさにカットする。
【ポイント】
ナイフは湯につけて温め、キッチンペーパーで水気をしっかりふき取ってからチョコレートをカットします。
7.ココアパウダーをまぶしてできあがり。
【ポイント】
ココアパウダーは砂糖やミルクの含まれていないものを使ってください。
生チョコレートは水分の割合が多く傷みやすいので、冷蔵庫で保存し、できるだけ早く食べきることをおすすめします。
チョコレートが溶け残ってしまった場合
室温が低いときや、ボウルが冷たいときは溶け残ってしまうことがあります。そのままでは口当たりが悪くなってしまうので電子レンジ600Wで10秒加熱して混ぜ、完全に溶けるまで10秒ずつ加熱して混ぜるのを繰り返します。加熱しすぎると分離して、なめらかにならない原因になるので注意してください。
少量で作りたい場合
少量で作りたいときは、生クリームの温度が下がりやすいので、それを防ぐために温めた生クリームの入った鍋の方へ刻んだチョコレートを加える方法もあります。
ただしこの方法で行う場合は特に、少量だとあっという間に沸騰してしまうため生クリームの温めすぎに注意してください。
沸騰した生クリームへチョコレートを加えると分離しやすかったり、固まった生チョコレートに白いまだら模様が浮き出ることがあります。
別のチョコレートや植物性ホイップを使う場合
板チョコを使う場合
レシピの分量そのまま置き換えで板チョコを使っても作ることができます。クーベルチュールチョコレートを使った場合に比べ、やややわらかめの食感でねっとり感が強くなります。
またミルクチョコレートは固まりにくいのでブラックチョコレートを選んだ方が失敗が少なく作れます。
下の写真は左がブラックチョコレート、右がミルクチョコレートを使ったものです。(違いがはっきり分かるように生クリームの量はこのレシピより増やしています)
右のミルクチョコレートの方がやわらかいのがお分かりいただけるでしょうか。
「チョコレート」とひと口に言っても、ブラックチョコを使うかミルクチョコを使うかで、味わいだけでなく仕上がりにこれだけ違いが出るんですよ。
ホワイトチョコを使う場合
このレシピ分量をそのままホワイトチョコに置き換えてはだめです! 冷やしても冷やしても全く固まらず、途方に暮れてしまいます…。
ホワイトチョコはカカオ分が少ないので、生クリームの量が多いと固まらないんです。ホワイトチョコ:生クリームの割合は3:1か4:1にまで生クリームを減らして作ります。
もし、間違えてすでに2:1の割合で作ってしまったあとなら、もう一度湯煎でゆっくりと溶かして、ホワイトチョコレートのみを追加します。
ホワイトチョコで作る場合、生クリームの分量が少ないので、温めた生クリームをホワイトチョコへ加える方法ではチョコが溶けずうまく作ることができません。
刻んだホワイトチョコと生クリームをレンジ対応のボウルに入れ、電子レンジ600Wで10秒加熱して混ぜることを数回繰り返す方法で作るとうまく作れると思います。
ホワイトチョコは分離しやすいので、加熱しすぎにはくれぐれも注意してください。電子レンジの自動温めモードの使用や、10秒以上まとめての加熱、1000Wなどでの加熱は避けてくださいね。
植物性ホイップを使う場合
クーベルチュールチョコレートと植物性ホイップであれば、2:1の割合で問題なく作ることができます。
板チョコと植物性ホイップでは少し分離しやすい印象がありました。特にホイップの温度が高くなってしまうと分離しやすくなるようです。
少量で作る場合、鍋の方へチョコレートを加える方法で、やや分離する確率が高かったです。
チョコレートをゆっくり低い温度(チョコレートが完全に溶けた時の温度が50℃以下になる温度)で溶かし、そこへ人肌程度に温めた植物性ホイップを加えて混ぜる方法だと分離しにくかったです。
もし分離してしまったときは…
やわらかいチョコレートの塊と油が分かれている状態、これが分離です。こうなってしまったときは…
・温度が下がってきたら静かにゴムベラで混ぜてみてください。もう一度つながってなめらかに戻ることがあります。
・混ぜてみてもなめらかにならなければ、牛乳を小さじ1加えて混ぜてみてください。これでなめらかになることもあります。
・牛乳を加えたことで、かえって冷えて分離が強くなってしまったときは少し温めてから混ぜてみてください。(鍋ならとろ火で、レンジなら600Wで10秒ほど)
分離したままどうにもならなければ…
いろいろやってみても分離したままでどうにもならないときは…
リメイクしちゃいましょう♪
チョコクッキーやカップケーキへのリメイクが可能ですよ! レシピ内に簡単なリメイクレシピを記載しています。
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基本の生チョコレート
濃厚な味わいとくちどけの良さからバレンタインの贈り物に選ばれることも多い生チョコレート。材料、工程が少なく気軽にチャレンジできます。あらかじめポイントを知っておくことで、失敗なく美味しい本格的な生チョコレートが作れますよ。
これまでにご紹介した【何度も作りたい定番レシピ】はこちら
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