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    • 公開日2021/11/26
    • 更新日2021/11/26

    本当に美味しいチョコレートの湯煎の仕方|何度も作りたい定番レシピVol.237

    チョコレートのお菓子作りで必ずといっていいほど出てくる「チョコレートの湯煎」。ですが、正しい湯煎の仕方を知っていますか? ひと言で書かれていますが、実は意外と難しいチョコレートの湯煎の仕方を詳しく解説します。失敗の原因となる例も紹介しますので、これまでなかなかうまくできなかったという方はぜひ読んでみてくださいね。チョコレートの香りや味わいを活かす湯煎の方法を学んで、さらに美味しいチョコレート菓子を作りましょう! Nadiaで人気の料理研究家が自信を持っておすすめする定番レシピシリーズです。

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    本当に美味しいチョコレートの湯煎の仕方|何度も作りたい定番レシピVol.237

     

    意外と難しい「チョコレートの湯煎」

    ガトーショコラやブラウニー、生チョコなどチョコレートを使ったお菓子を作るとき必ずといっていいほど出てくる「チョコレートを湯煎で溶かす」という工程。サラッと書いてあるので簡単な工程なのかと思いきや、ぼそぼそになってしまったり、溶けムラができたりと実は意外と難しい作業だと思います。

    私自身、ガトーショコラを作ろうとして「チョコレートを溶かす」という簡単に書かれた序盤の工程でつまずいて心が折れたことがあります。

    簡単に思える「チョコレートを溶かす」という作業ですが、ちょっとしたことが失敗の原因につながったり、生地の状態や仕上がりに影響することもあります。

    失敗しない溶かし方、それはチョコレートの香りや味わいを活かすためのポイントでもあります。今まであまり気にせずなんとなく溶かしていたという方にもぜひ知ってもらいたい、チョコレートの香りや味わいを活かすためのポイントをご紹介します!

     

    基本のチョコレートの湯煎の仕方

     

    【材料】

    板チョコ 1枚(約50g)

     

    【作り方】

    <下準備>
    チョコレートを包丁で刻む。

    【ポイント】
    かたまりのままでは溶けにくいだけでなく、温度のムラも生じやすいので刻んでおきます。

    1.刻んだチョコレートを熱伝導の良いボウルに入れる。チョコレートのボウルと同じか少し小さめのボウルに50~60℃の湯を入れる。湯を入れたボウルにチョコレートのボウルを重ねる。

    【ポイント】
    ・チョコレートを入れるボウルは熱伝導の悪いプラスチック製やポリカーボネート製の物を使う場合、湯の温度を高くしないといけないのでここではステンレス製の熱伝導の良いものを使用しています。
    ・チョコレートのボウルの方が小さいと、中に湯が混ざってしまうことがあります。(湯が混ざると失敗の原因になることがあります)
    ・温度計を使わない場合、熱湯と水道水を半々で混ぜ合わせるとだいたい50~60℃の湯を作ることができます。
    ・測る必要はありませんが、チョコレート自体の温度は22~24℃くらいです。

    2.チョコレートがだんだん溶けてくるまで触らずに待つ。

    【ポイント】
    早く溶かしたくてもここは少し我慢! すぐに混ぜると温度のムラができ、なめらかに溶けないことがあります。

    3.チョコレートが溶けてきたら(目安として1分ほど経ったら)、ゴムベラなどで静かに混ぜる。

    【ポイント】
    ぐるぐる激しくかき混ぜると分離することがあります。
    均一に溶けたらできあがり!

     

    早く溶かしたい!その焦りが失敗の原因に!?

    「チョコレートを溶かす」という一見簡単な工程。ガトーショコラなど、その先に難しい工程がたくさん待っていると、ここはサッと済ませたくてつい早く溶かしたいと思ってしまいますよね。

    ちょっとしたことですが、以下は失敗につながりやすい例です。

     

    刻む手間を省き、電子レンジの自動あたためモードで溶かした場合

    加熱ムラによって、一部がぼそぼそしてしまいました。

    ほかはうまく溶けているように見えるので、混ぜてみましたが、つぶつぶの食感が残って口当たりが悪いです。おまけに少し焦げ臭いにおいも。

     

    熱湯で湯煎した場合

    では溶かす時間を短縮するため熱湯で湯煎してみます。

    鍋に湯を沸かし沸騰させた状態で、小さめのボウルにチョコレートを入れて溶かしてみました。

    あっという間に溶け、うまく溶けたかに思えました。が、混ぜると急に固まりはじめ、ぼそぼそに。

    もう一度ボウルの底を湯に当てて溶かそうとしましたが、溶けないどころかどんどんぼそぼそしてしまいました。

    こうなると本来の目的には使えないことが多いです。ただし、もしこのような状態になっても美味しく食べられる可能性があるので捨てないで!(後述しています)

    また高温で溶かしたチョコレートは、冷やしても固まりにくくなることがあります。
    こちらは熱湯で湯煎して溶かしたチョコレート。

    一見うまく溶けているようですが…

    左はゆっくりと低い温度で溶かしたチョコレートをコーティングしたもの。
    右は熱湯で湯煎して溶かしたチョコレートをコーティングしたもの。

    右の高温で溶かしたチョコレートは固まったように見えてもべたべたしているのがわかります。このように固めて使いたい場合は特に温度に注意してゆっくり溶かすことがポイントになってきます。

     

    お湯が混ざってしまったら即アウトなの!?

    チョコレートを湯煎するときの注意点として「お湯が混ざらないように気をつけてください」というのをよく見かけます。そのため重ねるボウルの大きさがポイントになるのですが、本当に少しでも湯が混ざったら失敗なのでしょうか。

    今回、溶かしている最中のチョコレートにお湯を混ぜて、実験してみました。

    ゆっくりと混ぜると分離することなくガナッシュのようになめらかな状態になりました。

    湯が混ざった時点でチョコレートの状態が変わってしまうので、レシピによってはそのあとの工程には進められない場合もあります。だからお湯が混ざらないように注意と書いてあるのです。

    だからといって、もし湯が混ざってしまったとしても、慌てて捨てる必要はありません。ガナッシュのようになめらかな状態になれば、チョコレートスプレッドとしてパンやクラッカーに付けて食べることができます。

    高温で溶かしてぼそぼそしてしまったチョコレートも同じです。この状態では美味しくないので、もう食べられないと思ってしまいますよね。でもちょっと待って!

     

    ぼそぼそしたチョコレートには生クリームを混ぜてみて!

    高温で溶かしてぼそぼそしてしまったチョコレートに、温めた生クリームを少しずつ加えてなめらかになるまでゆっくりと混ぜてみてください。

    焦らず少しずつ生クリームを足して混ぜていくと、こちらもガナッシュのようななめらかな状態になりました!

    温めた牛乳を加えれば濃厚な味わいのホットチョコレートドリンクに。冷やし固めて小さく手で丸め、ココアをまぶすとトリュフのように楽しむことができますよ。

    「チョコレートを溶かす」その温度が一番のポイントだとお分かりいただけたのではないでしょうか。

    ●このレシピをお気に入り保存する
    温度計なしでも失敗しない!チョコレートの湯煎の仕方


    「チョコレートを湯煎で溶かす」レシピ内ではたったひと言の工程。でもそのポイントを知っていれば失敗を防げるだけでなく香りや味わいを活かした美味しいチョコレート菓子を作ることにもつながります。チョコレートのお菓子作りに、ぜひお役立てください。


    これまでにご紹介した【何度も作りたい定番レシピ】はこちら



    ●こちらのコラムもチェックしてみてくださいね。
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    六車樹里(むぐるまじゅり) ひらかた独歩ふぁーむ、広報(SNS周りや旬のレシピ担当) 大阪府出身、在住 2歳年上の主人と、男子3人の5人家族 看護師を経て、お菓子、パンのレシピやコラム作成を数年したころ自己免疫の肝臓疾患を発症するとともに精神的にも底の状態が1年以上続き家からほとんど出られない状態に。 大好きだったお菓子やパンを作ることも苦痛になりレシピサイトはおろかパソコンを開くことすらつらく、人と会うことも外出も避ける日々・・・ そんな中、市の広報に掲載された地域活性化を目指して奮闘する農家の記事を読み、農業を通じた地域活性化の取り組みに興味が沸き、農業への関心が高まりつつあった矢先、偶然先の農家さんの食育に関する講演のチラシを手にすることに。 気にはなったものの当時は精神的に外出が難しい状態で、何とか配信期限ぎりぎりに、講演を記録した動画を見ることができる。 その中で話されていた「自分が農業を続けることで、その風景を守っていきたい」という想いに感銘を受ける。 さらにその方の作る野菜の持つ力強さや味わいの濃さ、甘み、食感すべて、人生で一番と言い切れるほどの美味しさにただただ感動。 すぐにこの農家さんに連絡を取り、翌月からその農家さんの元で働くことに。 畑で働くようになって、みるみるメンタルが改善。自分でも驚くほどに毎日が楽しく生き生きと過ごせるように。 あれほど苦痛だったお菓子を作ること、レシピを作ることも仕事として再開、野菜そのものの持つ旨味や食感を生かしたレシピを考案し消費者の方に向けて発信中。 遠くから運ばれてくる有名どころの野菜より、鮮度が大切な野菜の地産地消のメリットは大きいことを日々実感するとともに、地域で採れたばかりの野菜の魅力を知ってもらいたいと奮闘中です。

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