甘辛いたれがたまらない!帯広の郷土料理「豚丼」
香ばしい香り、キラキラ輝く甘辛いたれ、そしてジューシーな豚バラ肉が食欲をそそる丼ぶり飯。北の大地、帯広の郷土料理といえば…そう! 今回のテーマは「豚丼」です!
フライパンひとつで簡単なのに、まるでグリルで焼いたようなジューシーさ。今回は「手軽さ」と「美味しさ」、一見相反する条件を両立した、豚丼の作り方をご紹介します。
豚丼の作り方のポイント
レシピに入る前に、まずは作り方のポイントをご紹介します。
【1】肉を切る方向 (食感のやわらかさに作用)
肉は大別すると、赤身と脂身に分かれますが、今回意識したいのは赤身の部分。
赤身は筋肉なので、繊維があります。その繊維を「断ち切るように切る」ことで、厚切りしても、やわらかい食感を得ることができます。
(参考:咀嚼時に筋が残りづらく、食感が良くなるため、スーパーで売っている薄切り肉や刺身にもこの切り方が採用されています)
【2】肉を片面だけ焼く (グリルで焼いたような香ばしい風味を醸成)
肉の美味しさを語るうえで重要な要素、それはメラノイジンです。平たく言うと、肉を焼いたときにできる「焼き色」のことで、焼肉のいい匂いも、この物質によるもの。
(参考:肉を焼く際160〜180℃に達すると、肉に含まれる糖とタンパク質が「メイラード反応」を起こします。このメイラード反応によって生成する「焼き色」のことをメラノイジンと呼びます。)
このメラノイジンをしっかりと生成することで、まるでグリルで焼いたような香ばしさを醸成します。しかし、両面ともしっかり焼いてしまうと、肉がパリパリにかたくなってしまうので、香ばしさと肉感の良いとこどりをするために片面だけを焼きます。
【3】たれの作り方 (甘辛い味の決め手)
ジューシーな肉に負けない「風味の強いたれ」を作るために、醤油の風味を活かしたたれを作ります。
その際、和食の古典的な技法である「煮切り」をします。料理酒、みりんに含まれるアルコールをあらかじめ蒸発させることで、醤油の香り飛びを最小限におさえられ、風味がしっかり残るわけです。
簡単絶品ジューシー!基本の豚丼の作り方
【材料(2人分)】
豚バラ肉(ブロック) 300〜400g
サラダ油 大さじ1
砂糖 大さじ2
料理酒 大さじ4
みりん 大さじ4
醤油 大さじ4
【作り方】
1.切る
豚バラ肉を5mm程度の厚さに切ります。1人前あたり、並盛りで150g、大盛りで200gです。もし切るのが面倒な場合は、焼肉用の厚めのものでも大丈夫です。
ポイント【1】肉を切る方向
筋繊維を断ち切るように切りましょう。写真のような「脂身がさしのように入った肉」の場合はわかりやすいですが、そうでない肉もあります。その場合、赤身をよく見れば、繊維が見えるはずです。
2.焼く
フライパンにサラダ油を引き、豚バラ肉を片面だけ、強火で焼きます。
ポイント【2】肉を片面だけ焼く
片面だけに焼き色をつけることで、香ばしい肉のうまさと、食べごたえのある肉感を両立します。
3.取り出す
焼き色がついた肉から順に、一度取り出します。
4.拭き取る
フライパンに残った油を拭き取ります。
※たれに油が多く残ると、クドさが強くなるためです
5.煮切る
フライパンに砂糖、料理酒、みりんを入れ強火で加熱します。30秒ほど煮立たせてアルコールを飛ばします。
ポイント【3】たれの作り方
ここでアルコールを飛ばしておくことで、この後に加える醤油の香りが飛ぶのを最小限におさえます。
6.煮詰める
フライパンに醤油を加え、少しとろみが出るまで煮詰めます。
※量が2/3ぐらいになるころを目安にしてもらうと分かりやすいと思います
7.煮絡める
フライパンに、片面だけを焼いた豚バラ肉を戻し、たれを煮絡めます。あまり時間はかけず、両面に軽くたれが絡む程度を目安にしてください。
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掴め!男の胃袋!簡単絶品ジューシー豚丼
基本的には切って焼くだけのシンプルな料理ですが、ポイントをおさえることで、格段に美味しく仕上がります。調理の各工程が「どのように美味しさに作用」するのか。これが分かれば、ほかの料理にも応用できますので、ぜひ、お試しください。
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