世代を問わずに愛される「タッカンマリ」
今回のテーマは『タッカンマリ』です。タッカンマリは韓国語で鶏を意味する「タッ(닭)」と、一羽という意味の「ハンマリ(한마리)」を組み合わせた言葉。その名の通り、鶏を丸ごと一羽使った鍋料理を指します。
鶏を一羽丸ごと水炊きにし、具材にはじゃがいもや長ねぎなどを加え、特製のつけダレで味わうのが一般的です。お店によっては、漢方食材を加えて煮込むこともあります。
タッカンマリは、1960〜70年代にかけてソウル特別市の東大門(トンデムン)周辺で誕生したといわれています。当時は鶏が非常に貴重だったため、一羽丸ごと食べるのは特別な機会に限られていました。
その後、韓国の養鶏産業が発展したことで、鶏を安定して提供できる環境が整い、一気に普及がすすみました。現在、衣類の卸売店が並ぶ東大門の裏手には、数十年もの歴史を持つ名店がひしめく「タッカンマリ通り」が存在します。
もともとは、市場などで働く労働者たちが「手頃な価格で食事ができ、お酒も飲める場所」として通い始めたのが人気のきっかけでした。1970〜80年代になると、仕事帰りの会社員たちも加わり、疲れを癒やす憩いの場として東大門はおおいににぎわいました。
同僚と鍋を囲み、語らいながら疲れを癒やす。そんな何気ないひとときが人々に支持され、タッカンマリ文化はソウルから韓国全土へと広がっていきました。今では世代を問わず愛される、韓国を代表する鍋料理のひとつとなっています。
心も体もポカポカに。韓国の知恵が詰まった「タッカンマリ」
乾燥した気候の韓国では、体を温め、喉を潤すために温かいスープを飲む習慣が根付いています。タッカンマリは、まさにそうした食文化から生まれた料理です。
鶏肉のたんぱく質やコラーゲン、にんにく、ねぎ、じゃがいもといった具材は、冬は冷え対策に、夏は滋養補給に役立つ「補身(ポシン)」として、古くから親しまれてきました。
タッカンマリの最大の魅力は、自家製のタテギ(合わせ調味料)を加えて、自分好みの味に仕上げられる点にあります。澄んだスープの優しい味わいから始まり、徐々に辛味とコクが増していく変化を楽しめるため、最後まで飽きることがありません。
一鍋を囲むだけで心までポカポカに満たしてくれるタッカンマリ。日本の食材で手軽に楽しめる再現レシピをご紹介します。
スーパーで手に入る食材で作る!基本の「タッカンマリ」レシピ
鶏もも肉と手羽元の2種類を使うことで、ジューシーな食べごたえと濃厚なコクを両立。一度ゆでこぼす丁寧な下処理により、透き通った雑味のない黄金スープに仕上げました。最大の特徴は、ピリッと辛い自家製の「タテギ」。お好みの薬味野菜と一緒に、味を変えながら最後まで飽きずに楽しめる、おもてなしにもぴったりのお鍋です。
材料(4~6人分)
鶏もも肉 2枚
鶏手羽元 8本
A 水 2000ml
A 酒(無塩) 大さじ4
にんにく 8かけ
玉ねぎ 1個(正味160g)
ねぎ(青い部分) 2本分
長ねぎ(白い部分) 2本分(正味190g)
じゃがいも 3~4個(正味350g)
塩 小さじ1弱
B 粉唐辛子(キムチ用) 大さじ5
B 醤油 大さじ3
B 酢 大さじ2
B きび砂糖(砂糖)・にんにくのみじん切りまたはすりおろし 各大さじ1
B 辛子 小さじ1
キャベツの千切り・長ねぎの薄切り・玉ねぎの薄切り・にらなど 適量
酢醤油や辛子酢醤油など お好みで
1. タテギの材料を混ぜておく

Bを混ぜておきます(タッカンマリ用のタテギ)。
2. 鶏肉を下ゆでする

鶏もも肉は皮と身の間の黄色い脂肪を取り除き、鶏手羽元と鍋に入れ、たっぷりの水を入れて強火にかけ、煮立ったら中火にして1分ゆでます。
3. 下ゆでした鶏肉を洗う

下ゆでした鶏肉はざるにあげて流水で洗います。
4. 野菜の下準備をする

玉ねぎは縦4等分のくし切りに、にんにくは皮をむいてヘタを切ります。
5. 鶏肉と野菜を煮る

同じ鍋に戻し、Aを入れ、玉ねぎ、にんにく、ねぎの青い部分を加えて強火にかけ、アクを取り除いてからふたをしないで弱めの中火~中火で約30分煮ます。
6. じゃがいもとねぎを切る

煮ている間に、じゃがいもは1.5cmの輪切りに、長ねぎ(白い部分)は10cm位に切って縦に切ります。
7. ねぎとじゃがいもを加えて仕上げる

青ねぎを取り出し、じゃがいもと長ねぎも加えてさらに10~15分煮たら塩で調えます。
8. 薬味を添えていただく

卓上鍋に移し、1のタテギ、酢醤油、薬味(キャベツ、ねぎ、にら等)を添えます。お好みでタテギにスープを足してつけダレを作ったり、具材を薬味と絡めたりしていただきます。
※もも肉は食卓でキッチンバサミを使って切り分けると、より本場感が出ます♪
●このレシピをお気に入り保存する
鶏もも肉と手羽元で作る。おうちタッカンマリ♪
体の芯からあったまる♪タッカンマリのアレンジレシピ
骨付き鶏もも肉で贅沢に!簡単タッカンマリ
https://oceans-nadia.com/user/45109/recipe/428093
骨付きもも肉を主役にしたタッカンマリです。1時間じっくり煮込むことで、骨から溶け出したコラーゲンとうま味がスープに凝縮され、透き通るような黄金色の絶品スープに仕上がります。しっとりジューシーな肉質は、まさに骨付きならではの贅沢感。特製のにらたっぷりタテギを添えれば、最後の一滴まで止まらない美味しさです。
【主な材料】
骨付き鶏もも肉
じゃがいも
長ねぎ
にんにく
にら
ごま油
●詳しいレシピはこちら
骨付き鶏もも肉で簡単タッカンマリ
魚介のうま味をプラスして奥深く!あさりを足したタッカンマリ
https://oceans-nadia.com/user/45109/recipe/517814
基本のタッカンマリに「あさり」の濃厚なエッセンスを凝縮させました。ひと口飲めば、鶏のふくよかなコクの後に、あさりの芳醇な磯の香りが追いかけてくる、奥行きのあるスープに仕上がりました。貝のミネラルが鶏の甘みを引き立てます。最後の一滴まで飲み干したくなりますよ♪
【主な材料】
鶏もも肉
鶏手羽元
あさり
にんにく
玉ねぎ
じゃがいも
●詳しいレシピはこちら
鶏もも肉と手羽元で作る。あさりの旨味を足した『タッカンマリ』
いかがでしたでしょうか、材料、作り方はシンプルなのに、食卓に並べるとちょっと特別感が出るのがタッカンマリのうれしいところ。鍋に入れてコトコト煮るだけなので、家族がそろう週末にもぴったりです。タテギや薬味を添えれば、家族それぞれが「自分の味」で楽しめるのも魅力。
その日の気分や体調に合わせて辛さを調整できるので、子どもから大人まで同じ鍋を囲めます。体を内側から温め、栄養もしっかり取れるタッカンマリ。ぜひいつもの鍋レパートリーに加えてみてください。
今回で、この韓国家庭料理教室連載は最後になります。「韓国料理は大変そう」というイメージが、この連載を通して「日本のスーパーで手に入る食材で、こんなに簡単に作れるんだ!」という楽しさに変わっていただけたなら、これほどうれしいことはありません。これからもみなさんの食卓が、愛情たっぷりの美味しいものであふれることを心から願っています。またどこかでお会いできるのを楽しみにしています。
これまでの連載はこちら!



















