刺身の盛り合わせに彩りを加える、だけじゃない!
普段、刺身パックから何気なく器に移し替えている「つま」と「薬味」。大根、しそ、わさびなど様々な種類がありますが、それぞれどんな役割があるのかご存じでしょうか?
じつは「つま」と「薬味」には、刺身の盛り合わせに立体感を出したり、彩りを加えるといった見た目の効果はもちろん、もっと深〜い存在意義があるんです。
知れば刺身がもっと美味しくなる、「つま」と「薬味」の関係についてご紹介しましょう!
【つま】=妻!? 主役の刺身を引き立てる名脇役
「つま」は、刺身を美しくするために欠かせないもの。主役の刺身を引き立てることから、“妻”が語源という説も。
代表的な「つま」には、千六本に切った大根、縦または横にスライスしたみょうがなどがあります。刺身の下に敷いたり、刺身に立てかけて使い、立体感のある美しい盛りつけを完成させます。
また、春にはうど、秋にはゆずなど、旬の野菜をあしらって日本料理らしい季節感を演出するのも「つま」の仕事。海藻やラディッシュなども、色味のバランスをとるのに使われます。
主な「つま」の種類:大根、みょうが、大葉、海草類、食用菊など
【薬味】魚の生臭さを消し、薬効と風味をプラス
「薬味」には生魚独特のくさみを消す役割が。わさびやしそ、しょうがなど、風味のある食材が使われます。また、わさびには抗菌効果、しそには抗酸化作用があるなど、それぞれの薬効も期待できます。
青魚に合わせる薬味
アジにしょうが、さんまに大根など、青魚の臭みを消し、爽やかな香味を足す食材を薬味として使用。長ねぎ+しそ+みょうがを混ぜたものもおすすめ。
白身魚に合わせる薬味
ふぐやひらめの薄造りにもみじおろし、長ねぎなど。爽やかな香りと辛みが、白身魚の淡白な味と相性抜群。もみじおろしに使われる唐辛子には、体を温める効果が。
貝類に合わせる薬味
独特のくさみがあるほたてや牡蠣は、レモンの爽やかな酸味を加えると食べやすくなる。しぼって果汁をかけるほか、薄切りにしたものを貝に挟んでも。
赤身魚に合わせる薬味
臭みが気になる赤身魚のにおい消しには、わさびやしょうがを。うまみもプラスできるにんにくは、かつおによく合う。ゆずやすだちの皮を散らしたり、しょうゆに絞っても。
冷蔵庫の野菜でオリジナル薬味をつくろう!
大根+しそ、きゅうり+みょうが+玉ねぎなど、数種類の野菜を混ぜても。細切りにして混ぜ、ふんわり盛ると使いやすい。
よく見るあの薬味の名前は?
お店で食べる刺身などに添えられているこれらの薬味の名前をご存知でしたか? 写真左上の薬味は「芽ねぎ」。香りがよくやや辛味があるのが特徴です。中央の赤い薬味は「たで」という薬味です。口に入れるとピリッとした辛味があります。右上は「木の芽」。山椒の若芽を摘み取ったもので、独特の香りとほろ苦さが特徴。刺身だけでなく、煮物に添えられることも多いです。
知っているようで意外と知らない、「つま」と「薬味」の世界。日本食の奥深さに感激しつつ、常備野菜でオリジナル薬味をつくるのも楽しいですよ!
写真:吉田朱里 文:芝 真紀子