秋を感じるひと口の贅沢、栗の渋皮煮
秋の味覚といえば栗。栗仕事の秋がやってきました! いろいろな食べ方がある栗料理の中でも渋皮煮はなんだかワンランク上のような特別感があります。マロングラッセでも甘露煮でも出せない栗の風味は渋皮が付いていればこその美味しさ。"ひと口の贅沢"というフレーズがこれほど似合うお料理はなかなかないと思います。
鬼皮をむいたり、何度もゆでこぼしたり想像するだけで骨が折れるー! と思っちゃう人ほど実はハマってしまうのではないでしょうか。栗仕事はがんばりすぎず、ほどほどに。皮むきや下ごしらえもまったりとコーヒーを飲みながらゆるくやるくらいがちょうどいいのです。今回は秋を感じる手仕事、栗の渋皮煮の作り方をご紹介します。
栗の渋皮煮
【材料(作りやすい分量)】
栗 1kg
重曹 小さじ1
きび砂糖 420g(下処理済の栗の60%の重さ)
作り方
1.栗を用意します。皮にツヤがあってずっしりと重いものが良いです。渋皮煮は食べごたえのある2L~3Lサイズの大きい栗で作るのがおすすめ! 穴が空いてあるものは除いてください。
2.栗は低温で寝かせることで甘みがアップします。時間がある方は3日ほど寝かせると甘みが2倍に! 新聞紙などに包んでからポリ袋に入れて0~3℃のチルド室で寝かせます。※拾ってきたもの、燻煙処理されていないものだと寝かせている間に虫が食べてしまうことがあるので80℃のお湯で1分ゆでて"虫止め"してから熟成させると良いです。
3.鬼皮をやわらかくしてむきやすくしていきます。鍋でお湯を沸かし、栗を入れて再沸騰したらざるにあげ、水気を切ります。温かいうちがむきやすいので、むき終わったらゆでる、を何回かに分けて行うと作業がスムーズですよ。
4.やわらかくなった鬼皮をむいていきましょう。粗熱が取れたら栗のお尻の方から包丁の刃元を使ってむいていきます。
むき始めは包丁を浅く差し込んで、削り取るようにして渋皮が残るようにむきます。栗の実まで傷つけてしまうと煮る際に崩れやすくなってしまうので気を付けて行いましょう。
5.半分くらいむくと残りの皮はカパッと外れてきますので、そのあとは意外と簡単にむけます。鬼皮をむき終わったら、重さを計っておきます。今回は690gでした。
6.鬼皮をむき終わったら、鍋に栗と栗が浸るほどの水、重曹を入れて強火にかけます。沸騰したら栗が躍らない程度の火加減にして15~20分ゆでます。
7.優しくざるに上げて、上から水をかけてアクを流します。
8.渋皮の掃除をしていきます。竹串を使って大きなすじを外します。
9.細かな渋皮は水を張ったボウルの中で優しくこすり洗いします。
10.きれいにした鍋に、栗と栗が浸るほどの水を入れて火にかけます。沸騰したら栗が躍らない程度の火加減にして10分ほど煮て重曹を抜きます。鍋ごと流し台に持っていき、鍋の上から優しく水を流して煮汁を入れ替えます。栗がやわらかくなるまでゆでこぼしていきます。※この作業をさらに3回ほど行います。目安はゆで汁が澄んできて、飲んでみてアクが気にならない程度までです。
11.栗が一段で入るくらいの大きさの鍋に栗を並べ、浸る程度の水と半量のきび砂糖を加えて中火にかけます。沸騰してきたら栗が躍らない程度の火加減に落として10分煮ます。
12.残りの砂糖を加えて、クッキングシートなどで落とし蓋をしてさらに10~15分煮ます。
※アクが出た場合は除きましょう。
13.ひとつ取り出してみて、味見をしつつ火の入り具合を確認すると良いです。
14.シロップに浸けたまま1日置き、味をなじませます。
●レシピはこちらをどうぞ
栗の渋皮煮
保存は冷蔵庫で10日ほど。長期で保存したい場合は煮汁に浸かった状態で瓶詰めし、脱気すると常温で1年ほど持ちます。保存にはしっかりかぶるくらいの量の煮汁が必要なので、長期保存をしたい場合は最後の煮る工程の水ときび砂糖を倍量にすると良いですよ。
仕上げにブランデーを加えたり和風にお醤油で香り付けするのも美味しいですが、栗の個性を味わうには何も加えないのもおすすめです。
自分の手でひと粒ひと粒、秋の宝石に仕上げていく楽しさ。あぁ、やっぱり手仕事はいいなぁとしみじみ感じます。
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