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    • 公開日2025/02/16
    • 更新日2025/02/16

    ヤミーさんに教わる!あの調味料のとっておきの使い方Vol.36|塩

    世界を旅する料理研究家として、雑誌やテレビを中心に活躍している、Nadia Artistのヤミーさん。主宰する料理教室「Yummy's Cooking Studio」では、世界の料理を気軽に学べると人気です! そんなヤミーさんに世界中の調味料のとっておきの使い方を教えてもらうこの連載。第36回は「塩」。ぜひチェックしてみてくださいね。

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    ヤミーさんに教わる!あの調味料のとっておきの使い方Vol.36|塩

     

    世界の食文化を支える塩の力

    塩は世界中の料理に欠かせない調味料ですね。味を付けるのはもちろん、食品の保存や発酵調味料にも欠かせません。調理の面では、食材の水分を抜いたり臭みを取ったり甘みを引き立てたり、変色を防いだり、さまざまな場面で使用します。

    みなさんご想像の通り、塩は最も古い調味料のひとつ。紀元前6000年ごろのメソポタミア文明や中国文明で、塩を食品保存や調味に使用していたとみられる形跡があるそうです。

    いつどこでどのように塩が作られるようになったのかの推論には、狩猟から農耕にシフトしていった人類史の話に広がるので、ここではとどめておきますが、塩を含んだ水から塩を取り出すという大発明をするには、よっぽど必要性があったのではないかと思います。

    「たばこと塩の博物館」のホームページには、「生理的な必要性」と「味覚としての欲求」が動機ではないかと推察されています。私は食いしん坊なので“塩をつけたら味が違う”という、それまでの腹をただ満たすだけの食事から、美味しい楽しみも含んだ食事に変わったのではないかと妄想しています。

     

    塩加減が料理の決め手

    日本ではちょうど良い具合のことを“塩梅(あんばい)”と言いますが、この語源は漢字の通り、塩と梅が由来。昔は料理の味付けに塩と梅酢を使っており、この配分で味が決まるため、ちょうど良い加減だったときに「塩梅がいい」と言ったことが始まりだそうです。

    今は梅酢を使うことはあまりありませんが、塩加減をちょうどいい具合にするのが料理の決め手であることは変わりません。

    私の料理の塩の量は、だいたい材料の重量の0.5〜0.8%で考えています。素材の組み合わせによって増減しますが、この範囲であると私にはちょうど良い塩梅だと感じます。これが決まっていると味にブレがなく、いつでも安定して料理を作ることができます。

    これは仕事柄ということもあるので、ご家庭でみなさんにやってくださいとは言いませんが、試しやすい例を書いておきます。

    鶏もも肉1枚が250gだったら(パックに重量が書いてありますね)、0.8%の塩は2g。2gは約小さじ1/3なので、1枚に対して小さじ1/3の塩をもみこんで焼いてみてください。適当にふりかけたのとはひと味違うと思います。

     

    塩は選び方より使い方!美味しさは量で変わる

    最近はスーパーでもさまざまな塩を見かけますよね。それだけでも何を買えば良いか迷うのに、この塩は美味しい、これがおすすめとあちこちから情報が入ってくるので、ますます悩むことと思います。では、どんな塩を選べば良いか?

    1発でその悩みを解決する方法があります。それは”どれも同じ”ということです。

    少々乱暴なまとめ方ではありますが、塩をそのまま口にするということはほぼないと思います。調理に使うことを考えると、塩それぞれの味よりも、どのくらいの量を使うかの方が味に影響を与えます。多過ぎれば塩辛いし、少な過ぎれば物足りない、というように。

    先に言った通り私は基本的に材料の重量の0.5〜0.8%としていますが、それはその量がしょっぱくなく、でもしっかり味がついていて美味しいと自分が感じる味だからです。

    塩写真

    どれを選んでも正解! いろいろ試してみましょう。

    とはいえ、塩によって味に違いがないわけではありません。塩の主原料は塩化ナトリウムとにがりと呼ばれるミネラル分。一般的ににがり(ミネラル)が多いと複雑さやコクが増して、塩辛さが抑えられます。

    また、「粒の大きさ」「粒の形」でも味の違いを感じます。粒が大きいものはまろやかに感じ、細かいものはさっと口の中に広がるので塩けを強く感じます。このふたつの要因が主な味の違いになります。

    ここまで読んで、あれ? と思った方もいるでしょう。肉には「岩塩」魚には「海塩」とか、「天日塩」が良い、「藻塩」が良い、など聞いたことがあると思います。実は製法や原料による違いははっきりとしておらず、単純に「この製法だからこういう味」とはいえないそうです。

    だからどれを選んでも失敗はないので、気になったものを買ってみて、これは好きだったな、これはそうでもないな、くらいの感覚でいいのではないでしょうか。料理には大きく影響しないと考えて、安心していろいろ試してみるのが塩の楽しみ方だと思っています。

     

    塩を使ったとっておきのレシピ

     

    塩だけで絶品!皮パリチキンソテー

    塩だけで絶品!シンプル「皮パリチキンソテー」https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/497893

    塩が肉の中心までしっかり入って、それでいてしょっぱくない基本の皮パリチキンソテーの作り方です。分量の塩をお肉にしっかりすり込んで、中に浸透するまで30分以上置いておくだけで、安いお肉でも臭みがなく美味しい仕上がりに!

    ●詳しいレシピはこちら
    塩だけで絶品!シンプル「皮パリチキンソテー」

     

    冷めても美味しい!絶品塩むすび

    塩分0.5%で絶品になる「塩むすび」https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/497895

    おにぎりの塩を量って作ることはなかなかないと思いますが、一度計量して作ってみると、びっくりな美味しさに! 米の甘みを感じる、冷めても美味しいおむすびになります。料理教室で生徒さんたちが絶賛した塩むすびの作り方です。

    ●詳しいレシピはこちら
    塩分0.5%で絶品になる「塩むすび」

     

    韓国風大根の甘酢漬け「サンム」

     韓国風大根の甘酢漬け「サンム」https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/497896

    砂糖、塩、酢という基本調味料だけで作れる簡単な韓国の漬物です。さっぱりとしてお肉料理のとても良い付け合わせになります。たっぷり作って作り置きにもおすすめ!

    ●詳しいレシピはこちら
    韓国風大根の甘酢漬け「サンム」

    最後に、調理に役立つ塩のお話をしておきます。

    レシピには「少々」や「ひとつまみ」という言葉がよく出てきますよね。この違いはわかるでしょうか?

    「塩少々」とは、親指と人差し指でつまんだ分量、小さじ1/10(約0.5g)、「塩ひとつまみ」とは、親指、人差し指、中指の3本でつまんだ分量、小さじ1/5(約1g)が目安になります。

    また、下ごしらえや調理には焼塩タイプのサラッとして手につかないタイプが使いやすく、塩をそのままつけたりサラダや野菜にふりかけて味わう場合は、粒が大きめでミネラルが多いものが、まろやかに感じるのでおすすめです。ぜひ、試してみてくださいね。

    これまでの連載はこちら!

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