世界遺産になった食文化「地中海式ダイエット」
ギリシャはバルカン半島の南に位置し、地中海、イオニア海、エーゲ海という3つの海に面した海産物の豊富な土地。
それに加えて、農業や牧畜も盛んなので、古くからさまざまな野菜や乳製品、肉類に恵まれてきました。
その一方、土地がやせており、穀物などは育ちにくいので、特産のオリーブやワインを輸出して穀類を輸入したり、育てやすい羊や山羊の乳から作ったチーズやヨーグルトを料理の中に取り入れたりとさまざまな工夫も凝らしています。
では、ギリシャ料理とはどんな料理かというと、オリーブオイルやヨーグルトをふんだんに使ったとてもヘルシーなもの。
2010年にはギリシャ、スペイン、イタリア、モロッコの4か国合同申請により、その食文化は「地中海式ダイエット」という名前でユネスコの無形文化遺産に登録されました。
話題のギリシャレストランが日本初出店
野菜がたっぷりでおいしくて、しかもヘルシー。
そんな話題のギリシャ料理は、日本でも確実に注目度が増しています。
今年の春にはオーストラリアで大人気のギリシャ料理レストランが日本に初出店するなど、2016年一番の注目の的と言われているのがギリシャ料理なんです。
では、そんな話題の「ギリシャ料理」、いったいどんなお料理なのでしょうか? その魅力を探ってみましょう。
ギリシャ料理の魅力とは?
ズバリ、ギリシャ料理の最大の魅力は、野菜でもお肉でも魚介でも乳製品でも、その素材の持ち味を最大限にいかす調理法にあります。
もともとギリシャは、地理的にも歴史的にも、地中海をはさんだ西側のヨーロッパ、南側のアフリカ、そして東側の中近東文化圏と、さまざまな食文化に触れられる環境にありました。
そのため、ハーブやスパイスをふんだんに使うことも多いのですが、その中でもひとつひとつの素材をしっかりといかし、むしろそれを思い切り楽しめるような形で仕上げることが多いのです。
そしてもう一つの特色は、毎日の食事の中に野菜と乳製品をたっぷり使うということ。そのベースとなるのは、もちろんあの特産のオリーブオイルです。
そんなギリシャ料理、なんだか聞いているだけでも一度食べてみたくなりませんか?
では、具体的にギリシャの有名な料理を見ていきましょう。
おうちでも作れる!ギリシャ料理レシピ
ギリシャ料理は、実は日本のご家庭でも案外簡単に作れます。
よく使う食材としては、乳製品(羊や山羊の乳が原料のものがあればなおよい)。野菜からは、トマト、レモン。そしてハーブのオレガノです。
以下は、簡単なものからちょっと本格的なごちそう感のあるものまでさまざまですが、ギリシャ料理の特色がよくわかる料理ばかりになっていますので、よろしければご覧くださいね。
野菜の甘みをいかす料理
ギリシャ正教を信仰する人が多いギリシャでは、宗教的に肉の食べられない期間に野菜を中心とした食生活を送ることも多いので、野菜を使った料理が豊富です。
野菜は後述のサラダのように生でもいただきますが、じっくり熱を加えて旨みと甘みを引き出し、ジューシィさを楽しみます。
『ムサカ (ギリシャ風 なすとミートソースのグラタン)』
ギリシャ料理といったら一番にこれを思い浮かべる方も多いはず。ギリシャ風なすとミートソースのグラタン「ムサカ」です。
中にはオリーブオイルで焼いたなすとじゃがいもが入っていますが、なすはジューシィ、じゃがいもはホックホクで、素晴らしくおいしいですよね。
ミートソースとベシャメルソース、2種類のソースで焼き上げますが、それでも主役はひき肉というより、むしろ野菜。一度食べたら、その意味、しっかり実感できると思います。
『ブリアム (ギリシャ風 たっぷり野菜のオーブン焼き)』
続いては、野菜をこれでもか!と使ったオーブン焼き、「ブリアム」。
野菜の上から、トマトとオリーブオイルのソースをかけ、オレガノやにんにくで香りづけしています。
シンプルながらも、じっくり時間をかけて焼き上げた野菜はジューシィで甘くて絶品です。いかにもギリシャの家庭料理らしい、野菜メインの一皿。
『コロキソケフテデス (ギリシャ風 ズッキーニの揚げ団子)』
ギリシャやトルコを含む、東地中海からアジアにかけての地域には、さまざまな食材を揚げ団子のようにして食べる習慣があります。
ギリシャではそれを「ケフテデス」と言いますが、その材料は肉や魚介、野菜などいろいろで、こちらはズッキーニを材料としたその揚げ団子。
チーズやハーブ、にんにくの旨みに加え、ぎゅっと詰まったズッキーニの甘みとジューシィさがたまりません。
旨みたっぷりの魚介の料理
海に恵まれたギリシャは魚介類も豊富。
小魚を上手く料理に使ったり、大きな魚も食べますが、たこ、いか、海老などの甲殻類も人気です。
『海老のサガナキ (ギリシャ風 海老のトマトチーズ煮)』
ギリシャにはアニスというスパイスで香りづけしたウーゾというお酒があります。
こちらは本来それで香りづけして煮た海老のトマト煮。
ギリシャ特産のフェタチーズとペコリーノチーズという羊の乳を原料としたチーズも使っているので、とにかく濃厚、深いコクがあります。
脂が少なくジューシィな肉料理
ギリシャ人に愛されている二大肉料理といえば、スブラキとギロス。
スブラキは、脂身少なめのお肉を串に刺してグリルしたもの。
ギロスは、ふんわりしたギリシャ独特のピタパンに、脂を落としながらあぶり焼きにした焼き肉を野菜やヨーグルトソースと一緒にはさんだファストフードとしても有名です。
どちらも、ジューシィながら重たさがなくヘルシーで、とてもおいしいですよ。
『豚肉のスブラキ (ギリシャ風 串焼き肉)』
『ギロス風 焼き肉 (ギリシャ風スパイシー焼き肉)』
豊かなコクと深み、乳製品を使った料理
ギリシャのチーズとして一番有名なのが、フェタチーズ。
ギリシャは昔から、羊や山羊の乳や肉を食すことが多かったので、料理の中にもその味わいがしっかりと生きています。
羊や山羊のチーズは独特の風味があるため、それがこっくりとした深いコク、旨みとなって、料理がさらにおいしくなるんです。
そして、もう一つ有名なのがギリシャヨーグルト。
日本でも最近人気ですが、水分が少なく、濃厚で味が濃いのが特徴ですね。こちらもそのまま食べるだけでなく、お料理にもよく使われます。
『ホリアティキ・サラタ (ギリシャ風 田舎サラダ)』
色とりどりの野菜とオリーブ、オレガノ、そして最後にフェタチーズをトッピングしたギリシャの定番サラダ。
塩、こしょう、オリーブオイルとシンプルな味付けですが、フェタチーズやオリーブのコクと旨みがあるので案外食べごたえがあります。
『ザジキ (ギリシャ風 ヨーグルトときゅうりの万能ディップ) 』
上でご紹介したどんな料理にもピッタリ合うのが、このギリシャヨーグルトを使った万能ディップ。
中に入っている刻んだきゅうりが食感のアクセントに、クリーミーで濃厚なヨーグルトとにんにくの香りが食欲をそそり、ついつい食がすすみます。
このままパンやクラッカー、サラダにつけたり、肉や魚のソースにしてもおいしいですよ。
以上、いかがでしたか?日本ではまだあまり知られていないギリシャ料理。素材をいかしたシンプルなおいしさを、ぜひこの夏、みなさんも楽しんでみてくださいね!