脂肪が少なくて低カロリー、しかも疲労回復物質を豊富に含む優秀食材、鶏むね肉。お値段はお手ごろなのですが、「かたい」「パサパサする」などの理由から、ジューシィで食べごたえのある鶏もも肉に比べると、男性・子どもからの人気はいまひとつ。
今回は、そんな鶏むね肉をおいしく調理するコツについて考えていきたいと思います。
鶏むね肉はなぜ火を入れるとかたくなるのか?
まずはこの基本的な問題。
同じ「鶏肉」だというのに、鶏むね肉はもも肉に比べて、火を入れるとどうしてあんなにもかたく、パサパサした食感になってしまうのでしょうか?
それはひとえに、むね肉の最大の特徴である「脂肪の少なさ」からくるもの。
むね肉はもも肉に比べて脂肪が少ない分、水分がとても多いので、火を入れるとその水分が抜けてあんな食感になってしまうのです。
つまり、鶏むね肉をおいしく調理するには、その水分をできるだけ逃さないように仕上げるのが大事というわけ。
●むね肉は水分が多く、加熱で水分が抜けることでパサパサ食感に
●おいしく調理するには、水分を逃さないように仕上げる工夫を!
水分を逃さない!鶏むね肉の上手な調理法
特別な道具や調味料を使わず、最も簡単に鶏むね肉をやわらかく仕上げる方法は、ズバリ次の3つです。
【1】あらかじめ水分を補う
わが家の場合、鶏むね肉を使うときは、だいたい下味ついでに「酒」と「砂糖」をもみ込みます。
砂糖には、保水力(=水分を抱え込む力)があり、酒と一緒に肉にもみ込んでおくと、火を入れてもかたくパサパサになりにくいんです。
「酒」や「砂糖」なら、比較的、味付けの邪魔をしにくいですし、肉の臭みを取ったり、食べた時のふんわりした風味にもつながりますのでこれはとてもおすすめですよ。
【2】肉は必ず常温に戻し、長く加熱しない
鶏むね肉を強い火で長い時間加熱すると、当然水分はどんどん外へ出て行ってしまいます。ですから、鶏むね肉の調理は、ガンガン煮たり焼いたりせずに、やさしくやさしく扱うというのがとても重要。
「余熱で中まで火を入れる」くらいの感じで、少し短めの加熱を心がけましょう。
そのためにも、鶏むね肉は調理の30分以上前には冷蔵庫から出して、常温に戻しておくことがとても大事です。
電子レンジ調理で「ほどよく」加熱する方法
レンジ調理の場合、加熱ムラができないよう、厚さを均一することが大切です。おすすめは、観音開きにしてから使うこと。
お肉の大きさにもよりますが、だいたい600Wで2分~2分30秒ほど加熱すれば、あとは自然に冷ましながらの余熱で火が入ります。
レンジで作る鶏むね肉レシピ「ねぎだくだれのレンジ蒸し鶏」
https://oceans-nadia.com/user/26/recipe/126520
こちらは中に具材を巻き込んで一緒に加熱する場合です。
お肉の大きさにもよりますが、こちらもだいたい600Wで2分ほど。粗熱をとる過程で余熱で中まで火を入れるのは同じです。
レンジで作る鶏むね肉レシピ「電子レンジ4分* 梅だれレンジチキンロール」
https://oceans-nadia.com/user/26/recipe/130190
フライパン調理は「ぎりぎり」加熱でしっとり!
たとえば、鶏むね肉で作るステーキ。これはもう、むね肉不人気の最大の原因であるあのパサパサ感をごまかすことができません。
ではどうするかというと、やり方は大きく分けて2つ。
まず一つは、最初に中火くらいの火で皮面に焼き色をつけて、あとは裏返して蓋をして弱火にし、「中まで火が通った!」というギリギリのところで加熱をやめるという方法。
フライパンで作る鶏むね肉レシピ「しっとりジューシィ * 鶏むね肉の塩麹ハーブステーキ」
https://oceans-nadia.com/user/26/recipe/138348
そしてもう一つは、強火でいっきに肉の全面に焼き色をつけ、あとはアルミホイルに包み、余熱でじんわり中まで火を通すというやり方です。
(フライパンでローストビーフを作る時と同じやり方ですね。ただこちらの場合、粗熱を取る過程で火を入れますので、熱々をいただきたい時は不向きです)
【3】衣をつける
あまり細かいことは考えずに、とにかく簡単においしく鶏むね肉をいただきたい! 育ちざかりのお子さんや、おなかをすかせたお父さんのために、むね肉でボリュームのあるおかずを作りたい!
そんな時は、衣をつけて調理するというのも手です。
これも水分の流出防止になりますし、片栗粉をまぶして揚げ焼きにすれば中華系のおかずに、卵などをまとわせればちょっと洋風になります。
たとえばわが家の旦那さんの大好物のおかずは、こちら。
「鶏むね肉で作る * 油淋鶏 ユーリンチー」
https://oceans-nadia.com/user/26/recipe/124672
他にも、水分の多いたれをかけたり、スープや雑炊などの汁ものに入れる方法もあります。大事なのは、パサパサ感を防止し、淡白な鶏むね肉にジューシィさをプラスすること。
脂肪が少ない分、良質なお肉本来の深い味わいが感じられる鶏むね肉。みなさんもいろいろな調理法を工夫してみてくださいね!