日本独特の酢である黒酢
「黒酢」はご存じの通り、黒っぽい色をしたお酢です。主に玄米を原料にし、米酢や穀物酢にあるようなツンとした刺激のある香りがあまりなく、まろやかでうま味があるのが特徴です。
日本の酢は古墳時代の400年ごろ、中国から酒造りの技術とともに伝わったといわれています。黒酢は江戸時代後期、現在の鹿児島県霧島市福山町のあたりで作られたのが発祥。今も福山町では200年以上続く独特な製法「かめ壺(アマン壺)仕込み」で黒酢が作られています。
一般的なお酢がどのように作られるか簡単に説明すると、まずはなんらかの農作物から酒を造ります。その酒に酢酸菌を加えると、菌の力でアルコールが酢の成分である酢酸に変わり(発酵)、その後寝かせて(熟成)から調味料として使える酢となります。
「かめ壺仕込み」では一連の作業が同一の容器内で行われます。壺の中に原料の玄米、米麹、水を入れ、時間をかけて自然発酵させて作る方法で、気温や湿度、微生物の力などを使って作られ、ほかの製法よりアミノ酸量が多くなるそうです。
私は、黒酢の色やコクを生かして、主に甘酢炒めや甘酢煮込み、餃子や春巻きのタレなど中華風の料理に使っていますが、中国の黒いお酢「香醋(こうず)」とは原料や製造法が異なるとのこと。「黒酢」は日本独自のお酢なんですね。
使いやすい「かめ壺仕込み」をぜひお試しあれ!
黒酢は今は各地のメーカーで作られていますが、調味料好きなら一度は試したいのが伝統的な「かめ壺仕込み」のお酢ではないでしょうか。黒酢と呼ばれていますが、褐色で透明感があり、まろやかでうま味があり普段の料理に使いやすいです。いくつかメーカーがありますが「かめ壺仕込み」「酢」で探せば、Amazonでも手軽に購入できますよ。
黒酢を使ったとっておきのレシピ
時短で本格的な味!豚こま黒酢酢豚
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豚こま肉で作る、お安く短時間でやわらかしっとりに仕上がる酢豚です。ケチャップを使わず、黒酢と醤油で味付けする本格派。黒酢はまろやかでうま味があるので、ケチャップに頼らなくても美味しく仕上がりますよ。
●詳しいレシピはこちら
時短で本格!『豚こま黒酢酢豚』
作り置きにもおすすめ!焼き野菜の黒酢マリネ
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定番の夏野菜を黒酢を使って、ご飯のお供にもなるさっぱり味のおかずにしました。なすは少量の油で揚げなす風に。とろりとしたなす、シャキッとしたピーマン、ホクホクかぼちゃの食感の違いも楽しいです。お酢が入っているので食材が傷みにくくなり、作り置きにもおすすめです。
●詳しいレシピはこちら
作り置きOK『焼き野菜の黒酢マリネ』
うま辛!豆腐と豆苗の酸辣湯風スープ
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パパッと作れる具だくさんの酸辣湯(サンラータン)風スープです。酸味は黒酢でマイルドに、辛味はあとから加える作り方なので、お子さんの分も一緒に作れます。具はお好みでアレンジOK。しいたけやたけのこを加えるのも美味しいです。
●詳しいレシピはこちら
さっぱり旨辛『豆腐と豆苗のサンラータン風スープ』
黒酢でさっぱり!手羽元の黒酢しょうが煮
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お酢の酸味としょうがの風味でさっぱりと食べられる煮物です。ムシムシした時期にぴったり! お酢は黒酢を使うことでまろやかに。独特のコクが醤油との相性も良く、短時間でうま味ある味に仕上がります。鶏もも肉や手羽先で作ってもOK。
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さっぱり味のうま煮『手羽元の黒酢しょうが煮』
私だけかもしれませんが、透明感のある「米酢」より精製されていなさそうな「黒酢」の方が、古くから作られている歴史あるお酢だと思っていました。黒酢が江戸時代後期の発明と知ったときは驚きました。
しかも「黒酢」という名称は1970年代ごろからの呼び名だそうで、昔は「アマン」や「福山酢」という名前で呼ばれていたそうです。ごく一部の地域の調味料だったものが、現代になって広まったということでしょう。
伝統的な製法を続けられているメーカーさんのサイトには、青空の下にずらりと並ぶ黒いかめの写真を見ることができます。圧巻ですのでぜひ見てみてください。
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