和食の美味しさの要!「みりん」
みりんは、和食に欠かせない調味料ですよね。料理にコクのある甘みや照り、つやを与えてくれます。ただこの調味料には、醤油や砂糖と大きな違いがあります。それは、酒税法上「酒類」に分類されるということ。
みりんの主原料は「もち米」。もち米やうるち米に、米麹、焼酎などのアルコールを添加して、糖化・熟成させて造られます。そのため14%前後のエタノールが入っているので、実はアルコール度数は日本酒とあまり変わらないんです。販売するためには酒類販売業免許が必要です。
みりんの起源は諸説ありますが、約500年前の室町時代には、甘い高級酒として飲まれていたようです。江戸時代に入ってからも甘い酒として飲まれることが多く、調味料としての使い方が確立したのは江戸時代後期、醤油と出会ってからだそうです。それによってそばつゆやうなぎのたれといった甘辛味の料理が誕生し、今私たちが思い浮かべる和風の味になったというわけです。
当時の人にとっても、みりんの糖分と醤油のアミノ酸の掛け合わせから生まれる、香り、つや、うま味はとっても食欲をそそったことでしょう。我々も煮物などを炊いているとき甘じょっぱい香り、焼き鳥など焼きもののちょっと焦げた香りも、あ〜美味しい香りだなぁと思いますよね。
現代に続く和食の美味しさは、みりんを調味料として使うようになって進化したのですね。
3つのタイプに分けられる、みりん
みりんとして使われる調味料には、「本みりん」・「みりん風調味料」・「発酵調味料」があります。どんな違いがあるのか3つの種類についてご紹介します。
「本みりん」
焼酎などの醸造アルコールに、もち米やうるち米、米麹を加えて造られる、甘みのある酒。アルコール度数14%前後のため「酒類」に分類されます。飲んでも美味しいです。
「本みりん」の中でも伝統製法のものは、もち米、米麹、本格焼酎のみで造られますが、多くの「本みりん」は、水あめを加えたり香味を調整して短時間で造られています。伝統製法のものの方が甘みが上品でお酒としても美味しいです。酒類のため未成年は購入することができません。
「みりん風調味料」
米や米麹のほかに、水あめ、ブドウ糖、砂糖、うま味調味料などを入れて、みりんに近い風味を出したもの。アルコールは1%未満です。糖分が多いので、料理の仕上げに使うと照りと風味をつけることができます。
「発酵調味料」
雑穀、醸造用アルコール、塩などを使って、みりんに似せた調味料。アルコールを含みますが、塩を加えているため酒類の分類ではなく、飲むには適していません。
おすすめは「本みりん」。味が美味しいだけでなく調理上の効果も高く、アルコールが入っているので保存性の面でもおすすめです。
料理に合わせて適したみりんを使い分けましょう。
みりんを使ったとっておきのレシピ
しっとりやわらか!鶏の照り焼き
https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/494310
醤油・みりん・砂糖。基本の調味料のみで作れるごく普通の照り焼きですが、調味料を加える順番を意識するだけでしっとりやわらかくつやがあって、ワンランク上の仕上がりに。骨付きもも肉で作ればクリスマスにも喜ばれますよ。
●詳しいレシピはこちら
柔らかくツヤツヤに仕上げる「鶏の照り焼き」
ふっくら仕上がる!ぶりの照り焼き
https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/494314
ぶりの照り焼きは、フライパンで焼いてからたれをからめるだけの短時間で作れて手軽な料理ですが、崩れたり臭みが残ったり、パサパサになったり、仕上がりがイマイチになることも多いと思います。ふっくら照りよく仕上げるには調味料の使い方がポイント。冷めてもかたくならないので、お弁当にもおすすめですよ。
●詳しいレシピはこちら
ふっくらテリテリ「ぶりの照り焼き」
みりんにスパイスを漬け込む手作りお屠蘇
https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/473330
お正月に飲む「お屠蘇(とそ)」は、みりんにスパイスを漬け込む「薬草酒」。これは中国の古い慣習の影響で、病よけのために祝酒の中に花椒を入れて飲んでいた名残だそうです。年末になると、屠蘇散というミックススパイスが薬局などで市販されますが、家にあるスパイスをブレンドしても作れます。 作り方は日本酒とみりんにスパイスを漬け込むだけ。 お正月を手作りお屠蘇で迎えてみませんか?
●詳しいレシピはこちら
手作りお屠蘇
みりんは甘みとアルコール分を合わせ持った調味料。同じく甘みをつける調味料の砂糖と、どのように使い分けたらいいか迷うところだと思います。
みりんの甘みは、麹の酵素によって米のデンプンやたんぱく質が分解されて生まれるので、砂糖のような強い甘さではなく、まろやかでうま味があります。煮詰めると照りが出てつやのある仕上がりになります。
アルコールは蒸発の際に素材の臭みを取る働きをします。また、たんぱく質の凝固を促すので、煮崩れしやすいものの身を引き締め、うま味を閉じ込める効果もあります。その代わりかたくなるので、やわらかく仕上げたい料理には向いていません
つまり、
・しっかり甘みをつけたい場合ややわらかくしたいときは「砂糖」
・煮崩れたくない場合や照りを出したい場合は「みりん」
ということになります。
肉をやわらかく仕上げるには砂糖、魚の煮崩れを防ぐにはみりん、と覚えておくと良いでしょう。
照りやうま味、そして素材の風味を引き立てる力を持つみりんは、和食に欠かせない調味料です。上手に使うことで、食感や見た目にも違いが生まれ、料理全体の完成度が高まります。みりんの奥深い魅力をぜひ料理に生かして、より美味しい一品を作り上げてくださいね。
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