料理に欠かせない基本調味料「砂糖」
砂糖は料理やお菓子作りに欠かせない基本調味料のひとつですね。甘い調味料であることはみなさんご存知の通りですが、「甘み」という味の面だけでなく、料理にとってさまざまな良い効果もあります。
日本で一般的に使われている砂糖といえば、サトウキビから作られた上白糖ですね。上白糖はサトウキビから砂糖の結晶を取り出す工程で、ブドウ糖と果糖を成分とした糖液でコーティングします。しっとりとした感触なのはそのためです。
もうひとつよく使われる砂糖にグラニュー糖がありますが、世界的に砂糖といえばグラニュー糖が一般的。上白糖はほぼ日本独自のものです。作る工程はどちらもほぼ同じですが、糖液をかけて作る上白糖はコクとしっかりとした甘さを感じ、純度が高いグラニュー糖はすっきりとした甘さを感じると思います。
また、上白糖は加熱するとメイラード反応を起こしやすく、焦げ色がつきやすいという特徴があります。焦げ色がつきやすいということは煮物や照り焼きなどを作るのに適している、といえます。日本が独特な上白糖を使うのは、料理や味覚に合っていたからかもしれません。
料理がもっと美味しくなる!砂糖の調理効果と活用法
砂糖は甘いだけでなく、調理上の効果がたくさんあります。よく聞く「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)」も調理効果をよく表しています。これは、調理の際に加える順番に並んでおり、この順に加えると美味しくなるといわれていますね。
一番初めは「砂糖」。砂糖には、甘みをつけるだけでなく、素材をやわらかくする、ほかの調味料の浸透を良くするという働きもしてくれます。
例えば、肉の場合、先に加えておくとタンパク質が熱でかたくなることを抑えて、しっとりやわらかく仕上がります。野菜の場合、水分を抜いて味の浸透を良くしてくれます。
簡単に調理上の効果を上げると、
保水作用
砂糖は水との相性がよく、抱え込んだ水分を離さないため、タンパク質やデンプンなどをしっとりさせる効果があります。
脱水作用
砂糖は水に溶けやすいため、ほかの食材の水分を奪い取る効果があります。水分を抜いた後は味が染み込みやすくなります。
デンプンの老化防止
米は加熱するとデンプンの効果でもっちりとします(糊化)が、時間が経つとボソボソとかたくなります(老化)。砂糖を加えるとそれが和らぎます。酢飯が時間が経ってもかたくなりすぎないのは、すし酢に加えられている砂糖の効果です。
酸化防止
油の中の水分が砂糖と結びつくことで酸化しにくくなります。
防腐効果
ジャムや砂糖漬けなど砂糖をたくさん使うことで腐りにくくします。
などがあります。
私は肉を焼くときや漬物をつけるときには、先に砂糖をまぶしておくようにしています。甘くなることを心配されるかもしれませんが、大量でなければ問題ありません。むしろ塩などの調味料の浸透が良くなり、少量でしっかりとした味をつけることができるので、甘いというよりは塩気を強く感じるでしょう。
砂糖の調理効果は絶大なので、うまく取り入れてみてください。
砂糖の種類と特徴を理解して、美味しさアップ!
料理のレシピに書かれている「砂糖」は基本的には「上白糖」を指しますが、ほかにもさまざまな種類がありますので、違いを見ていきましょう。
砂糖は<分蜜糖>と<含蜜糖>の2タイプに分かれます。
<分蜜糖>
サトウキビやてん菜(サトウダイコン)のしぼり汁を結晶と糖蜜に分けて、結晶部分を取り出した砂糖のこと。
上白糖
日本で最もポピュラーな、サトウキビから作られる砂糖。結晶は細かく、製造工程でビスコという糖液をかけるため、しっとりとしていて、コクのあるしっかりとした甘さを感じます。ちなみに、白砂糖といいますが実は透明で、光の反射により白く見えています。
グラニュー糖
サトウキビを原料とした純度が高い砂糖。上白糖より粒が大きくサラサラとしています。結晶部分のみなので、すっきりしたクセのない甘さで、日本ではお菓子作りに使うことが多いです。世界では砂糖といえばグラニュー糖の国が多いです。
三温糖
上白糖やグラニュー糖の結晶を取り出した後の糖液を煮詰めて作られます。褐色なのは加熱によりカラメル色がつくため。カラメルの独特の風味とコクのある甘さで、煮物や佃煮に適しています。
粉砂糖
グラニュー糖をすりつぶしてきめの細かいパウダー状にしたもの。粒子が細かいので甘みを感じやすく、また混ざりやすいので、菓⼦作りに適しています。
<含蜜糖>
結晶と糖蜜に分けず、糖蜜を含んでいる砂糖のこと。
和三盆
上白糖などと同じサトウキビを原料にした淡⻩⾊の砂糖。手間のかかる⽇本の伝統的な製法で作られ、結晶が⾮常に⼩さく、⼝溶けが良いのが特徴です。⾼級和菓⼦に使われます。
黒砂糖
サトウキビのしぼり汁をそのまま煮詰めたもの。濃厚な甘さと強い特有の⾵味があります。かりんとうや駄菓⼦に使われます。ほかにアジア料理や煮物にしっかりとコクを加えたいときに使用するのもおすすめです。
砂糖の種類はさまざま。作る料理に合わせて、使い分けてみましょう!
砂糖を使ったとっておきのレシピ
電子レンジで作る!「いちごジャム」
https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/499180
果物に砂糖と酸を加えて加熱すれば、余計な食品添加物が入らないジャムができあがります。加熱は電子レンジが◎。色が鮮やかで香りも飛びにくく、鍋で煮るより美味しく仕上がります。酸っぱいいちごもジャムにすると美味しくなりますよ。
●詳しいレシピはこちら
色鮮やか!丸ごといちごの「いちごジャム」
やわらかくてツヤツヤ♪「鶏の照り焼き」
https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/494310
醤油、みりん、砂糖、基本の調味料のみで作るごく普通の照り焼きですが、肉の下ごしらえに砂糖を揉み込むと、保水作用によりしっとり仕上がります。また加熱することで砂糖がカラメル化して美味しそうな色、香りが生まれる、砂糖の効果がとてもよくわかる料理です。
●詳しいレシピはこちら
柔らかくツヤツヤに仕上げる「鶏の照り焼き」
あっという間に完成!「即席白菜キムチ」
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すぐに食べても美味しい、具と調味料を和えるだけキムチです。白菜に砂糖を先にまぶすのですばやく水気が抜け、調味料がなじみやすくなります。砂糖の脱水効果を利用したレシピです。和えたてはあっさり、 1晩置くとしっかりとキムチらしい味になりますよ。
●詳しいレシピはこちら
即席白菜キムチ「ペチュコッチョリ」
砂糖を最初に作ったのはインドといわれています。紀元前1世紀にはサトウキビから砂糖が作られていたそうで、英語の「SUGAR(シュガー)」は、古代インドの言語、サンスクリット語の「SARCARA(サルカラ)」が語源とされています。インドのサトウキビや砂糖は、西はペルシャ(現在のイラン)やエジプト、東は中国へと伝えられていきました。
ヨーロッパ地域への伝播は、11世紀から13世紀にかけて。とても貴重だった砂糖は、薬を扱う店に置かれていたそうで、当時の絵画にも描かれています。日本には中国経由で奈良時代8世紀には伝えられたとのこと。大仏に献上された薬の目録に、砂糖が記されているそうです。砂糖は日本でも薬として扱われていたのですね。
肥満や病気の原因になるのでは? あまり体によくないのでは? と思われがちな砂糖ですが、昔は薬だったというのは驚きですね。
砂糖は体に必要なエネルギー源。体内でブドウ糖と果糖に分解されますが、このブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源です。なんでもそうですが、過度に摂取すれば毒になり、適度に摂取すれば薬になる、ということだと思います。料理にも体にも上手に取り入れたいですね。
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