ほんの少しかけるだけで、風味を豊かにしてくれるごま油
ごま油は、香ばしい良い香りがとても食欲をそそりますよね。ほんの少しかけるだけで料理の風味が華やかに、そして美味しくなる調味料です。
主に中華や韓国料理で使うイメージがあるかもしれませんが、原料であるごまの原産地はアフリカ、ナイル川流域といわれています。
古代エジプト、メソポタミア、古代インドでごまが利用されていた形跡があり、中国でも紀元前3000年ごろの遺跡から出土しているそうです。古代文明のころにはすでに広い地域に伝播していたことからも、とても価値のある農作物だったことが想像できます。
そして、ごまは食用だけでなく灯り用の油や薬としても利用されていた記録があるのが驚きです。ごまは脂質が多いので油を絞るのに適していて栄養価も高いのですが、そのことを古代の人も知っていたということです。
日本では、縄文時代末期の遺跡から発見されているそうですが、食用として広まったのは奈良時代に搾油技術が中国から入ってきてから。
ごまを使った料理についての記録は非常に少ないそうで、どのように食べられていたかは未知の部分が多いですが、平安時代、米や麦などの粉の生地をごま油で揚げた、かりんとうのようなお菓子があったとのこと。その再現と思われる揚げ菓子がNHK大河ドラマ「光る君へ」に登場していました。
料理にごま油を使うと一気に中華や韓国料理らしくなりますが、日本でも古来から使われている伝統調味料。それだけでなく、私が旅したなかでは、南インドでもごま油を使っていました。
紀元前のはるか昔からさまざまな地域で活用され続けているごま油が、今日本の家庭の調味料のひとつになっているのは、ちょっとロマンがありますね。
「焙煎ごま油」と「太白ごま油」を使い分ける
ごま油には茶色いものと透明なものがあります。
茶色いものは「焙煎ごま油」。一般的に「ごま油」というとこのタイプです。火でごまを煎る「焙煎」をしてから絞っているもの。これがあの独特の香ばしい香りになっています。加熱しすぎると香りが飛ぶので、生かしたい場合は仕上げにかけるのがおすすめです。
透明なものは「太白(たいはく)ごま油」。生のままのごまを絞ったもので、焙煎をしないので独特のこうばしい香りはなく、強い風味がないためすっきりした味わいです。天ぷらに使われるのはこちらのタイプ。クセがないので、バターの代わりにお菓子に使ったり、和食洋食のジャンルにこだわらず使うことができます。
料理に合わせて使い分けを楽しんでください♪
ごま油を使ったとっておきのレシピ
丸ごと楽しむ!焼きピーマンの焦がし醤油和え
https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/492986
材料3つで作れるヤミー家定番、作り置きレシピです。ピーマンをヘタもタネも取らずにこんがり丸焼きにして、ジュッと醤油をまわしかけたら、最後にごま油をまぶします。ごま油はただの油ではなく調味料であることを感じる一品。
●詳しいレシピはこちら
ピーマン丸ごと!「焼きピーマンの焦がし醤油和え」
ベタッとしなくてやみつき!もやしナムル
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もやしナムルはレンジなどで簡単に作れるレシピがたくさんありますが、これは野菜のうま味を引き出して、少ない調味料で美味しく仕上げる作り方です。ベタッとしにくくとても美味しい仕上がりですよ。
●詳しいレシピはこちら
シンプルだけど奥深い!「もやしナムル」
小麦粉、卵、乳製品不使用!ごま油と米粉のスコーン
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アレルギーのある生徒さんのお孫さんのために考えた、太白ごま油と米粉で作るスコーンです。卵を入れないので膨らみは悪いですが、サクサクと軽い食感が美味しいですよ♪
●詳しいレシピはこちら
小麦粉、卵、乳製品不使用「ごま油と米粉のスコーン」
古代から食用や灯明用に使われてきたごま油。それは茶色いものではなく、太白ごま油のように透明なただ絞っただけの油です。今も欧米では生搾りのサラダ油としての使用が多く、焙煎したごま油が好まれるのは中国や韓国といった東アジアが中心。
アフリカから東アジアにたどり着いて焙煎という技術で香り高くなったごま油は、ただの油ではなく調味料になったのだなと感じます。香ばしいごまの香りが料理に加わると、中華や韓国料理らしいと感じるのはそういうわけです。
サラダから炒め物まで、ごま油を使い分けて料理を楽しんでくださいね。
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