初夏の訪れを教えてくれる「そら豆」
ゆでたてのそら豆のほくほくと甘く青い味わいは、深まる春からひと足早く初夏の訪れを感じさせてくれます。その歴史は古く、世界最古の農産物のひとつといわれる「そら豆」。日本には奈良時代に伝わり、江戸時代には「さやが空に向かってなることからそら豆の名が付いた」と書かれた文献が残っています。
今回は、そんな「季節のごちそう」そら豆を簡単に美味しく仕上げるゆで方とともに、新鮮なそら豆の選び方、保存方法もご紹介。どのゆで方が一番自分好みか、ぜひ試してみてくださいね。
そら豆の選び方のポイント
そら豆は「そら豆3日」と言われるほど鮮度が落ちやすく、収穫後の賞味期限は1〜3日しかないので、できるだけ新鮮なものを選ぶのが美味しさのポイントです。
さやつきの場合は(1)さやがきれいな濃い緑色のもの(2)筋やさやが茶色く変色していないもの(3)表面に白いうぶ毛が生えているもの(4)ずんぐりと厚みがあり、外皮から見てくっきり豆の粒が揃っているもの(5)持ったときに重量感があり、ハリがあるものを選んでください。
むき豆の場合は、きれいな緑色でしわがなく、豆の大きさが揃っているものを選んでくださいね。
本当に美味しい「そら豆のゆで方」
そら豆のゆで方には【1】むき豆をゆでる【2】さやごとゆでる【3】レンジでゆでる方法があります。購入後、できる限り早くゆでることで、新鮮でホクホク、甘みとうま味がギュッと詰まった美味しいそら豆を楽しめますよ。
【1】基本のそら豆のゆで方(むき豆をゆでる方法)
【材料(3〜4人分)】
そら豆(さやつき) 500g
水 1L
塩 20〜30g(水の2%〜3%)
【作り方】
1.そら豆をさやから出す。
【POINT】
・そら豆は、さやから出して空気に触れるとどんどん鮮度が落ちていくので、さやつきのものを購入しゆでる直前にさやから出してください。
・布巾を絞るようにさやをねじったり、つなぎ目の筋部分に指を入れたりしてさやを開きます。
2.そら豆の黒いツメ部分(おはぐろ)の反対側にひとつずつ浅く切り込みを入れる。
・そら豆に味が染み込みやすく、食べやすくするために切り込みを入れます。
・おはぐろ部分に切り込みを入れると包丁が安定して切りやすく、反対側に入れると食べるときに指でつまむとスルッと豆が出て食べやすいです。お好きな方に切り込みを入れてください。
・皮ごと食べたいときは、おはぐろ部分が黒くかたければ切り取ってください。
・そら豆に「珠柄(しゅへい)」(さやから豆に栄養を送る部分)が付いている場合は取り除いてください。
【そら豆の食感の違いとゆで時間の見分け方】
・おはぐろ部分のラインが緑色のそら豆は、まだ実が若く、水分と糖分が多く含まれみずみずしい「しっとり食感」→ゆで時間目安2分
・おはぐろ部分のラインがしっかり黒いそら豆は、発芽に向けて糖分がでんぷんに変わり「ほくほく食感」→ゆで時間目安3分
3.そら豆の中心に包丁のアゴ(刃元部分)で切り込みを入れる。
【POINT】
・そら豆は急激な温度変化に弱いので、ザルにあげたときにしわが寄ってしまいます。しわ防止のために中心に切り込みを入れてください。
4. 鍋に水と塩を入れて沸騰させ、そら豆を入れて2〜3分ゆでる。
【POINT】
・塩を入れることでお湯の沸点を上げ、短時間で色良くゆで上がるようにします。
・そら豆はぐらぐら沸騰させてゆでると豆がかたくなってしまうので、豆がゆらゆら揺れるくらいの静かに煮立つ状態でゆでてください。
・そら豆をゆでるときの塩分濃度は2%(大さじ1強)です。塩味を強めにつけたい場合は3%(大さじ1と1/2)加えてください。
・そら豆の青臭さを取りたい場合は料理酒を加えてゆでてください。
5.2分経ったらそら豆をひとつ食べ、良いかたさにゆで上がっていたらザルにあげる。
【POINT】
・ひとつ食べてまだかたい場合は30秒〜1分、様子を見てゆで時間を追加してください。(余熱で火が通るため、少しかためにゆで上げてください)
・そら豆が「しっとり食感」か「ほくほく食感」のどちらのそら豆かを見て、ゆで時間は調整してください。
・そら豆はゆで上がりを水にさらすと豆が水っぽくベチャッとした仕上がりになってしまうので、絶対に水にさらさずに冷ましてください。急いで冷ましたい場合は、うちわなどであおいで冷ますと色良く仕上がります。
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初夏の味!しわなしホクホク!基本のそら豆の茹で方(むき豆)
【2】さやごとゆでる方法
【材料(3〜4人分)】
そら豆(さやつき) 500g
水 1L
塩 20〜30g(水の2〜3%)
【作り方】
1.鍋に水と塩を入れて沸騰させ、そら豆をさやごと入れて2分ゆでる。
【POINT】
・そら豆がさやごと入る鍋を使用してください。
・さやごとゆでることで、さやから出さないので豆の鮮度が保たれ、ゆで上がりのしわが寄らず、ゆで汁に豆の栄養が逃げないので豆本来のうま味が凝縮した仕上がりになります。
・塩味を効かせたい場合はさやの端をキッチンばさみで少し切り落としてください。
2.火を止め、そのまま5分置いて冷ます。
【POINT】
・さやごとそら豆をお湯につけたまま冷ますことでそら豆にしわが寄らずふっくら仕上がります。
・冷ましてから豆を取り出さないとしわがよるので注意してくださいね。
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ふっくらしわなし!さやごと茹でるそら豆の茹で方
【3】レンジで茹でる方法
【材料(2人分)】
そら豆(さやつき) 10本
塩 1〜2つまみ
【作り方】
1.そら豆はさやから出す。おはぐろ部分の反対側にひとつずつ切り込みを入れ、豆の中心に包丁のアゴ(刃の根元部分)で切り込みを入れる。
【POINT】
・レンジでゆでる場合は、豆の分量が多いと加熱ムラが出やすいので少量ずつゆでてくださいね。
2.電子レンジ600Wで2分30秒加熱する。水気を切って違う器に移し、塩を振って混ぜ合わせ、ラップをして少し置いて冷ます。
【POINT】
・余熱でそら豆に熱が通り過ぎてしまわないよう、違う器に移し、しわが寄らないようにふわっとラップをかけて冷ましてください。
・先に塩をして加熱するとそら豆から水分が出てしまいかたくなるのと、出てきた水分で味が薄くなるので加熱後に塩を振って味付けしています。まず少なめに塩を振り、味を見て足りなければ増やしてください。
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レンジで簡単!そら豆の茹で方
そら豆の保存方法
そら豆はとても鮮度が落ちやすいので、購入後すぐに食べない場合は冷凍保存するのがおすすめです。
・生のままさやごとジッパー付き保存袋に入れて冷凍します(できるだけ空気を抜いて、ジッパーをしっかり閉めて冷凍してください)。使うときは電子レンジで軽く解凍し、さやから豆を取り出して塩ゆでするか、さやごとゆでたりグリルで焼いたりしてください。
・さやから豆を取り出し、切り込みを入れてからジッパー付き保存袋に入れて冷凍します。使うときはそのまま塩ゆでするか、調理にそのまま使用してください。
塩ゆでしたそら豆を冷ましてから冷凍しても◎。ゆでてから冷凍する場合は、ゆで時間を1分にし、かためにゆで上げて冷凍するのがポイントです。どの場合も1か月を目安に食べ切ってくださいね。
春から初夏にかけて出回る「そら豆」は、ビタミンやたんぱく質、カリウムなども豊富に含み栄養満点。4月の「走り」の時期は若くみずみずしいのでシンプルに塩ゆでや塩焼きで。6月の「名残り」の時期は甘みがありホクホクとした食感なのでスープや炒め物に。ぜひ、日々の食卓に積極的に取り入れて、さまざまな食感や風味を余すことなく楽しんでくださいね。
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