おせち料理の定番!「昆布巻き」
「よろこぶ」の語呂合わせから、昔から縁起が良い食材として用いられる「昆布」。お祝いの意味のほかにも「養老昆布(よろこぶ)」とも書けることから、不老長寿の願いも込められています。
また、にしんは「二親(にしん)」から子どもに恵まれるという意味もあり、昆布とにしんを合わせた「昆布巻き」は、末永い健康や子孫繁栄を願った新年のお祝いにふさわしい縁起物のひとつです。
今回は、そんなおせち料理に欠かせない昆布巻きの、「かんぴょうが切れてしまう」「昆布がかたい」「味が濃くなり過ぎる」…などのお悩みを解決する作り方のポイントから、余ったかんぴょうの保存方法までを詳しくご紹介します。今年のおせち料理は、ひと味違う「手作り昆布巻き」に挑戦してみませんか?
基本の「にしんの昆布巻き」の作り方
【材料(8本分)】
身欠きにしん(ソフト使用) 2本
昆布(日高昆布使用) 4枚(10cm×20cm)
かんぴょう 1袋(30g)
緑茶(番茶でも) 大さじ1
塩(かんぴょう用) 小さじ1
A昆布の戻し汁 600ml
A料理酒 50ml
A酢 大さじ1
B砂糖 大さじ3
Bみりん 大さじ1
醤油 大さじ3
【作り方】
●昆布の下処理
1.昆布は熱湯に浸けて10分置いて戻し、布巾やキッチンペーパーでぬめりを取って平らにのばす。
【ポイント】
・昆布巻きに使う昆布は厚みが薄くてやわらかい、食べるのに適した「日高昆布」、「早煮昆布(竿前昆布)」、「長昆布」などを使用してください。時短で作りたい場合は早くやわらかくなる早煮昆布を選んでくださいね。
・使う昆布によって戻し時間が変わります。昆布のかたさをみて調整してください。
・昆布にぬめりがあると巻くときにすべって巻きにくいので、しっかりぬめりを拭き取ってください。
・昆布の戻し汁は昆布巻きを煮るときに使うので捨てずに取っておいてくださいね。
2.縦に半分(5cm幅)に切る。
【ポイント】
今回は小さな巻物のような昆布巻きが仕上がるように、5cmの昆布に4cmのにしんを巻いて作っています。長い昆布で作りたい場合は、昆布を半分に切らずに作ってください。
●かんぴょうの下処理
1.ボウルにかんぴょうを入れ、水でサッと洗って汚れを落とす。塩を振り、かんぴょうがしんなりするまでよく揉む。
【ポイント】
かんぴょうを塩で揉むと(1)かんぴょうを漂白するときに使う二酸化硫黄が抜けて臭いが取れ(2)かんぴょうの繊維に塩が入り込み、煮るときに水分を吸収してやわらかく煮上がります。
2.水で塩を洗い流し、絞る。
【ポイント】
かんぴょうが太い場合は縦に半分に切ってください。長さはそのままで大丈夫です。
●身欠きにしんの下処理
1.ボウルに水を入れてにしんを洗い、ウロコを取る。
【ポイント】
身欠きにしんは半乾きのソフトタイプを使用しています。本乾の身欠きにしんを使用する場合は米のとぎ汁に(1〜3日、できれば毎日水を替えて)つけてもどしてから使用してください。半乾きのソフトタイプならサッと湯がいて油を抜くだけで使えます。
2.にしんのカマを切り落として4等分(4cm)に切る。
【ポイント】
・カマのかたい部分を切り落としてから4等分に切ってください。
・今回は巻物のような見た目が楽しめる仕上がりにするため4等分にしています。長い昆布で作る場合は、使う昆布の幅に合わせてにしんを切ってください。
3.腹骨を包丁ですき取り、細かい骨を抜き取る。
【ポイント】
・にしんは小骨が多いので、しっかり骨の処理をすることが美味しさのポイントです。まず、背と腹の間の腹骨を包丁で薄くはぎ取るように切り取り、身の中央にある血合い骨のほかに、すぐ横にも細かい骨があるので両方を骨抜きで丁寧に抜いてください。
・骨抜きは100円ショップでも売っていますよ。
4.縦に半分に切る
【ポイント】
にしんを縦に半分に切って細くすることで巻きやすくなり、昆布とにしんの隙間ができず煮崩れしにくくなります。
5.鍋に緑茶を沸かし、沸騰したら4を入れて2分ゆで、水気を切る。
【ポイント】
・にしんには脂分が多く含まれ、干している間に脂が酸化し独特な臭みや渋みが出ます。お茶で煮ることで一度にしんの脂を溶かし、余計な脂や臭みを取り除いてから調理することで美味しく仕上がります。
・お茶はお茶パックに入れてからゆでると、にしんに茶葉がつかずラクちんです。急須などで入れたお茶でゆでても大丈夫ですよ。緑茶や番茶、ほうじ茶、ウーロン茶など家にあるお茶を使用してください。
・ゆでることで取れていなかったウロコが取れやすくなるので、残っている場合は取り除いてください。
●にしんを巻いて煮る
1.にしんの背側と腹側を重ねて昆布の手前に置き、隙間なくきっちり巻く。
【ポイント】
・巻くときに隙間があると、煮ている間ににしんが外れてしまうので隙間なく巻いてください。特に最初のひと巻をキュッときつく巻くのがポイントです。
・身欠きにしんの「身欠き」は、戻したにしんが筋ごとに取れやすいことから言われています。あまり力を入れて巻くと身が崩れてしまうので気を付けてくださいね。
2.昆布の巻き終わりを下にして置き、かんぴょうで結ぶ。これを8本作る。
【ポイント】
・煮ると昆布とかんぴょうが膨らむので、あまりきつく結ぶと煮ている間にかんぴょうが切れてしまいます。切れないように少し緩めに固結びで結んでください。箸などを間に入れると結びやすいですよ。
・かんぴょうは先に切らず、結んでから切ると無駄なく使えます。
3.鍋に結び目を上にして重ならないように昆布を並べ、Aを加えて火にかける。
【ポイント】
・昆布巻きが重ならないように並べられる大きさの鍋を使用してください。今回は直径18cmの鍋を使用しています。
・やわらかい昆布巻きを作るには、調味料を入れる前にまず酢水で煮るのがポイントです。酢には酸味をつけるだけでなく物をやわらかくする効果があり、お酢を入れて煮ることで昆布の繊維質がやわらかく仕上がります。
4.沸騰したらアクを取り、Bを加え5分煮る。醤油を加え、落とし蓋をして弱火で昆布がやわらかくなるまで50〜60分煮る。
【ポイント】
・使う昆布によって煮込み時間が変わってきます。袋に記載してある時間を参考に、昆布のやわらかさを確認して時間を調整してください。
・昆布はしっかり味で煮ています。薄味がお好きな方は砂糖と醤油を大さじ2で、甘めがお好きな方は砂糖を増やして作ってください。
・昆布がまだかたいのに煮汁がなくなっているときは水を足してください。
・落とし蓋を使うことで煮汁が対流しやすくなり、少ない煮汁で短時間に味を染み込ませることができます。
・昆布巻きは、清潔な容器に入れて冷蔵庫で1週間。冷凍する場合は、小分けにラップできっちり包み、ジッパー付き保存袋に入れて保存し2週間を目安に食べ切ってください。
余ったかんぴょうは冷凍保存がおすすめ!
下処理したかんぴょうを使いたい料理に合わせた長さに切り、ラップで小分けに包んでジッパー付き保存袋などに入れて冷凍してください。
冷凍したかんぴょうは、味噌汁の具や和え物、炊き込みご飯などいろいろな料理に使えますよ。冷凍保存で1か月を目安に食べ切ってください。
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おせちに*基本のにしんの昆布巻き
定番のにしんのほかにも、鮭やぶり、ししゃも、豚肉や牛肉、野菜などアレンジも自在な「昆布巻き」。おせち料理で残ってしまった場合も、炊き込みご飯やパスタ、おにぎりの具材として手軽にリメイクが楽しめます。
また、美味しく食べられるだけでなく、昆布にはビタミンやミネラル、食物繊維、にしんには青魚に含まれるEPAやDHA、カルシウムなどが豊富に含まれ栄養満点。おせち料理だけでなく、ぜひ普段のおかずや常備菜にも活用してご家族の健康生活に役立ててくださいね。
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・本当に美味しい数の子|何度も作りたい定番レシピVol.178
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