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    • 公開日2023/07/14
    • 更新日2023/07/14

    ヤミーさんに教わる!あの調味料のとっておきの使い方Vol.21|梅肉

    世界を旅する料理研究家として、雑誌やテレビを中心に活躍している、Nadia Artistのヤミーさん。主宰する料理教室「Yummy's Cooking Studio」では、世界の料理を気軽に学べると人気です! そんなヤミーさんに世界中の調味料のとっておきの使い方を教えてもらうこの連載。第21回は「梅肉」。ぜひチェックしてみてくださいね。

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    ヤミーさんに教わる!あの調味料のとっておきの使い方Vol.21|梅肉

     

    疲れを癒やしてくれる梅干し。「梅肉」で手軽に取り入れて

    スーパーに行くと、わさびやしょうがといったチューブスパイスが並んでいるあたりに「梅肉」のペーストを見かけますよね。梅干しから種を取り除いてペースト状にしたもので、メーカーによっては多少調味料が入っているものもあります。種がない分、おむすびや梅和えなど料理に使いやすくて便利というだけでなく、角のとれた塩味と酸味、そしてうま味のある調味料としても活用できます。

    もとになる「梅干し」は、いつから作られて食べられるようになったかは定かではありません。梅の実自体は奈良時代には生菓子として楽しまれていたそうです。「梅干し」は、文献上では平安時代に登場します。948年、村上天皇の病気治療のために、“梅干しと昆布を入れたお茶”が用いられ、それによって回復したという記録があります。梅の木は中国から伝来したといわれてますが、その中国では2000年も前から梅にはさまざまな効能があるとされており、日本でも昔は薬として用いられていたそうです。

    戦国時代になると、梅干しは兵糧食として人気だったそうです。日持ちがして軽くかさばらないので携帯しやすく、これだけでご飯のおかずになる梅干しは、便利だったのでしょうね。このおかげで疲れがとれ、武士たちの栄養補給ができた、ともいわれています。

     

    貴重で、最上のおもてなしだった梅干し

    一般庶民の食卓に梅干しが登場するようになるのは江戸時代。中期になると梅干しが売られるようになり、庶民の口にも入るようになったそうです。それまでは、貴重で貴族や武士といった力のある人たちの食品だったんです。

    実は、梅干しが貴重なものとされていたのは、そんな大昔のことではありません。私の祖母は昭和ひと桁生まれですが、若いころ、特別な来客へのお茶菓子は、梅干しを丸々1粒だったそうです。それに砂糖をかけて出すと、最上のおもてなし。梅干しをひとりで1粒食べるのは、昭和の中ごろでも贅沢だったなんてちょっと驚きです。この話を聞いて、手軽にスーパーで買える梅干しを、祖母が毎年せっせと漬けていた意味が分かりました。

    貴重で効能があるとされる梅干しですが、特に夏場に食べると、その酸味と塩味で疲れが癒やされますよね。丸のままの梅干しだと、種をとったり叩いたり、ちょっとひと手間に感じるかもしれませんが、梅肉ペーストは料理に取り入れやすいので、試してみてください。

     

    梅肉ペーストは、自家製も簡単!

    梅肉ペーストは、自家製も簡単!

    梅干しをおむすびに入れる場合も、種は取り除かれていた方が便利で食べやすいので、家にある梅干しは、種を取り除いて自家製梅肉ペーストにしてみるのはいかがでしょう。種を取り除き、実の方は包丁やフードプロセッサーなどでペースト状にして、消毒した瓶などの保存容器に入れます。

    実は種にもうま味があって、汁物に使うととても美味しい! 鍋に水1カップと梅干しの種2〜3個を入れてだしをとるように煮出します。わかめやねぎなどの具を加え、味をみて塩や醤油などで塩分をととのえてください(減塩の梅干しの場合は種の量を増やしてください)。

    冷凍保存もできますので、買うと案外高い梅干しを余すことなく活用しましょう。

     

    梅肉を使ったとっておきのレシピ

     

    梅肉の酸味と塩味が効いた、水羊羹

    梅肉入り『梅の水羊羹』https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/464294

    ご飯のお供というイメージの梅干しですが、お茶請けとしても親しまれていました。祖母が若いころ、梅干しに砂糖をかけたものが最上のおもてなしだったという話から発想を得たレシピです。酸味と塩味がバランスよく調和した、夏にぴったりの水羊羹です。

    ●詳しいレシピはこちら
    梅肉入り『梅の水羊羹』

     

    梅風味の甘味噌が食欲そそる、揚げなす

    揚げ油不要!『揚げなすの梅味噌和え』https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/464297

    油をまぶして揚げ焼きにしたなすを、梅肉を加えた甘味噌で和えました。ご飯がすすむ夏野菜おかずです。作り置きにももってこい。お弁当のおかずにもおすすめです。冷やして食べても◎!

    ●詳しいレシピはこちら
    揚げ油不要!『揚げなすの梅味噌和え』

     

    暑い日に食べたい、さっぱり味のとんかつ

    サッパリ味の夏トンカツ『焼き梅カツ』https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/464296

    薄切りの豚肉の間に梅肉を塗ってサンドして、衣をつけて揚げ焼きに。薄いので少ない油でカラッと揚げ焼きにできます。梅の味でさっぱり食べられる、夏におすすめのとんかつ。火の通りも早いから、パパッと手早く作れるのもおすすめポイントです。挟んだ梅肉が外に出ないよう、衣は手で押さえてしっかりとつけてください。

    ●詳しいレシピはこちら
    サッパリ味の夏トンカツ『焼き梅カツ』

     

    野菜たっぷり、ほんのり酸味のスープカレー

    ほんのり酸味のスープカレー『とうがんのサンバル』https://oceans-nadia.com/user/14317/recipe/323316

    南インドで毎日のように食べられている「サンバル」を夏野菜の冬瓜でアレンジ。本場ではタマリンドという酸っぱいペーストを使うのですが、その代わりに梅肉を使用して、日本でも作りやすいレシピにアレンジしました。酸味とスパイシーさで食がすすみますよ。

    ●詳しいレシピはこちら
    スパイシースープカレー、とうがんのサンバル

    梅肉レシピ、いかがでしたか? 昔は体に良い効果があるものとして食べられ、貴重で庶民には手が届かなかった梅干しですが、今は梅肉ペーストとして気軽に料理に取り入れることができるようになりました。塩味+酸味+うま味の調味料と考えると、使い方の幅が広がると思いますので、甘いものからインド料理まで、いろいろと楽しんでください。

    これまでの連載はこちら!

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    ヤミー

    世界を旅する、料理研究家。輸入食材店に勤務しながら料理ブログをスタートして話題となり、現在はテレビや雑誌、企業のレシピ開発で活躍の他、ベストセラーとなった著書多数。近著に『ヤミーさんのおうちで世界一周レシピ』『ワンボウルクッキング』(いずれも主婦の友社)。NHK「きょうの料理」や、冠番組「ヤミーのレシピ帖」(長野朝日放送)などのテレビ出演、少人数制料理教室「Yummy‘s Cooking Studio」を主宰するなど、輸入食材の知識を活かして、世界中の料理を日本の家庭で作れる簡単レシピにするのが得意。 最近は日本一のカルディマニアとしてもテレビやラジオ、雑誌などでも活躍している。

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