「葉」「花」「実」、季節ごとに楽しみ方が変わる山椒
山椒は日本原産のスパイス。「山椒は小粒でも、ピリリと辛い」といわれるように、しびれるような辛味と爽やかな香りをもつスパイスです。
山椒には季節ごとの楽しみがあります。
春の新芽や若葉は「木の芽」と呼ばれ、料理にあしらいとして添えて、若々しい香りを楽しみます。初夏の青くやわらかい若い実は、「実山椒」や「青山椒」と呼ばれ、昆布と合わせて佃煮や、ちりめんじゃこと合わせてちりめん山椒、塩漬けにして、爽やかでピリリとした風味を活かします。秋に完熟した実は、外皮を乾燥させて粉末にします。これが「粉山椒」で、薬味として使われます。
このように、春から秋までさまざまな部位を余すことなく使う(枝はすりこぎに使われます)日本料理の名脇役、山椒。日本で最も古いスパイスだそうで、なんと「魏志倭人伝」に山椒が自生していたことが記載されており、10世紀にはすでに薬や薬味として山椒の葉が利用されていたそうです。
うなぎだけではもったいない!山椒の活用法
家庭で多く使われているのは「粉山椒」。うなぎの蒲焼きには欠かせませんね。でも、この「粉山椒」、余らせがちではないでしょうか。私も、長野県の山間に暮らすおばさま方に習うまでは、うなぎの薬味以外の使い道が分かりませんでした。
あちこちに山椒の木がある山間では、鹿やイノシシは山椒煮が定番。鯉の山椒煮も食べたことがあります。クセの強い食材の臭みを取って風味を良くしてくれるので、春、夏、秋とそれぞれの時期の山椒を冷凍や塩漬けなどにして保存し、料理に活用していました。味噌や醤油と好相性で、味噌汁、吸い物、照り焼き、味噌炒めなど幅広く日本の料理に合うんですよね。
そこでの経験のおかげで、今では粉山椒を余らせることなく使うことができるようになりました。粉山椒を余らせて困っている方が使い切れるよう、普段の料理に取り入れやすい使い方をご紹介します。
挽きたての山椒の香りを試してみてください
山椒は挽いてある粉状のものが多いと思います。粉は香りが飛びやすいので、なるべく早く使い切れる小さなサイズを選ぶことをおすすめします。
また、実のままのものを見つけたら、ぜひそちらを選んでみてください。使うたびに挽けば、香りが長持ちしますし、挽きたての香りは格別ですよ!
山椒を使ったとっておきのレシピ
ご飯が止まらない!山椒そぼろご飯
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味噌味のコクのある鶏そぼろに、爽やかな山椒の風味をプラスした、ふりかけのように食べてほしいそぼろです。そのままかけてそぼろご飯にしたり、ご飯に混ぜておにぎりにしたり、レタスで包んで食べても美味しいです。
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山椒そぼろごはん
爽やかな香りを楽しめる、大根のじゃこ山椒サラダ
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ちりめんじゃこと粉山椒を加えたたれで和える、大根サラダ。ピリリとした辛味とコクのあるごま醤油味で、大根をもりもり食べられ、おつまみやおかずにもなります。たれはほかの野菜にかけたり、豆腐にも合いますよ。
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大根のじゃこ山椒サラダ
山椒としょうがの風味が◎!豚肉の山椒焼き
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しょうが焼きならぬ山椒焼き。いつものしょうがの代わりに、パパッと粉山椒を加えて、香り良い和風の豚肉おかずにしました。しょうがとはまた違った爽やかなスパイシーさが、ちょっと大人の味のおかずです。
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豚肉の山椒焼き
お正月に欠かせないお屠蘇(とそ)を手作りで
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お正月に飲む「お屠蘇(とそ)」は、日本酒やみりんにスパイスを漬け込む「薬草酒」。その中には山椒が入ります。これは中国の古い慣習で、病よけのために祝酒の中に花椒(ホアジャオ)を入れて飲んでいた名残だそう。年末になると、屠蘇散というミックススパイスが薬局などで市販されますが、家にあるスパイスをブレンドしても作れます。作り方は日本酒とみりんにスパイスを漬け込むだけ。来年のお正月は手作りお屠蘇で迎えてみませんか?
●詳しいレシピはこちら
手作りお屠蘇
ところで、中華料理などの使われる「花椒」と「山椒」の違いはご存じでしょうか? 「山椒」は日本原産、「花椒」は中国原産というだけではなく、同じミカン科の植物ですが、種類が異なります。
どちらにもしびれる辛味がありますが、山椒は辛さがマイルドで爽やかな風味、花椒はしっかりとしたしびれと辛さがあります。同じ料理でも「山椒」と「花椒」を使い分けると、和風と中華風に料理の雰囲気を変えることができておもしろいですよ。どうぞ、試してみてください。
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